星野リゾートは、すでに開業している松江・玉造温泉の施設もリニューアルし、11月15日同時にオープンします。今年は国内で11施設を開業させるなど、攻めの姿勢を見せる中、今回のオープンに向けた舞台裏に密着。地方観光活性化の戦略を取材しました。
「界出雲」オープン約2週間前の10月下旬。館内ではあわただしく開店準備が進んでいました。

スタッフ:「大国主の打ち出の小槌をモチーフにしてます。当館オートロックではありませんので、施錠をお願いします」

研修では、宿泊客をアテンドの練習。従業員同士でチェックします。

スタッフ:「ところどころスピードが早くなってしまったり、情報量が多いなという場面がありました」

宿泊客のアテンドについて研修を受けていた2人。今度は。神楽の衣装を身に着ける始まったのは。石見神楽の稽古です。星野リゾートが展開する温泉旅館「界」。ブランドの特色の一つとして打ち出しているのが「ご当地楽」を生かしたもてなし。施設がある地域の文化を従業員自ら身に着け、客に伝え、感じてもらい、その土地に愛着をもってもらう試みです。玉造では、日本酒発祥の地とも言われる出雲地方にちなんで施設に日本酒バーを開設。ここ日御碕では「神話の地・出雲」にちなみ、「神楽」の国譲りの演目を従業員が自ら演じ、客に披露します。浜田の社中から団員を招き、約1か月間、みっちり特訓を重ねました。

界出雲・原田怜実さん:「インプットは多いので頭がいっぱいになることはある。その分、自分の引き出しは多くなるので、お客様に伝えられることは多くなると思っています」

一人一人の従業員が、フロント業務や清掃、ご当地楽まで幅広く担当するのが、「界」のもてなしの流儀です。そんな独自の戦略で星野リゾートを率いる星野佳路代表。観光業界を代表するカリスマ的な経営者としても知られています。

星野リゾート・星野佳路代表:「これまでの10年、観光格差・インバウンド格差はあった。島根とか福井高知は0、数%も来ていないんですよね」

10月オンラインで行われた記者会見でコロナ後の観光を見据えた今後の戦略について説明しました。コロナ禍前のインバウンド、海外からの旅行者について分析。
その約80%が上位10の都道府県に集中、山陰など地方との間で「インバウンド格差」が生じていると指摘しました。

星野リゾート・星野佳路代表:「そういうところ(島根福井高知など)こそ、観光で経済を強くする、正社員を増やす、人口減少を止める、それが観光立国にという政策に期待されてたはずなので、もっと貢献できる会社になっていきたいと考えている」

星野代表は、トップテン圏外の37県での需要の掘り起こしが重要で、その余地はまだ残されていると指摘します。

界出雲総支配人・富井亜美さん:「神話が残っている地域で、お話として残っている景色を実際に見ることが出来る。島根県ならではと思っている。見に来る価値はある」

地方へインバウンドを呼び込む武器として、星野リゾートの施設で取り組んでいるのがあの「ご当地楽」を生かしたたもてなしです。「界出雲」では、神楽の他にも、石州和紙や茶器、藍染など県内の職人が手掛けた工芸品が館内のあちこちに。
島根の文化、地域性をより深く感じてもらう演出です。

界出雲総支配人・富井亜美さん:「今までくる機会が無かった方にも、わざわざ日御碕に足を運んでここでしか知ることのできない文化や景色を見ていただける、とうことが私たちの役割だと思っています」

コロナ禍前の2019年、出雲市を訪れた観光客は、松江市を1割余り上回る約1200万人だったのに対し、宿泊客は松江市の半数にも及ばない約80万人。宿泊客をどれだけ伸ばせるかが、これからの出雲市の観光のカギを握ると言えます。