【新型コロナ】高齢者への感染が拡大 福祉施設や医療機関では厳戒態勢(鳥取市)
福祉施設では、厳重な感染対策がとられる一方、医療機関では高齢者の入院が長期化し、医療ひっ迫の懸念も増大しています。
鳥取市内の高齢者施設で現状を取材しました。
介助の職員:
「失礼します。ごはんですよ」
高齢者施設を併設している鳥取市の「鳥取産院」。
この施設では、去年、利用者や職員の新型コロナ感染が相次いで確認され、拡大防止へ、今、まさに厳戒態勢が取られています。
職員:
「フェイスシールド着用の徹底。パーティションを利用することもあるが、食事介助がしづらくなるので、(介助の際は)距離をとっての対応を心がけています」
今月1日から16日までに鳥取県内で確認されたクラスターは46件。半数を超える25件が高齢者施設で発生しています。
この施設では、ウイルスを施設内に持ち込まないよう、職員も対策を徹底しています。
鳥取産院・藤田和寿医師:
「これが鳥取県から支給された抗原検査キットですね。出勤前に職員が自主検査します。陰性を確認したうえで出勤という体制をとっています」
第8波への対策として、鳥取県が高齢者施設や医療機関などに無料配布した抗原検査キットを活用、去年12月から来月までの3か月間、全ての職員に週1回の検査を義務付けています。
鳥取産院・藤田和寿医師:
「発熱に対する解熱剤の投与や脱水を起こさないように点滴したりもする。利用者の平均年齢が89歳で、感染すれば生命に関わる。『施設に(コロナを)持ち込まない』を徹底している」
一方、高齢者への感染拡大は医療機関にも影響を及ぼしています。
職員:
「色を合わせて、差し込んでください」
鳥取市の鳥取生協病院。外来から救急医療、リハビリや緩和ケアまでを担う、県東部の中核病院のひとつです。
高齢者などが運動機能の回復を目指し、リハビリに取り組んでいます。
中には、コロナから回復し、日常生活に必要な機能の回復訓練に取り組む高齢者もいますが、第8波に入り、この受け入れにも問題が…
鳥取生協病院・廣田佳世子さん:
「コロナにかかったことによる身体機能の低下。回復するのに時間を要するのが、高齢者の患者に見られる傾向」
感染拡大でリハビリが必要な高齢の患者が急増。リハビリの期間も長期化しているといいます。
さらに…
鳥取生協病院・廣田佳世子さん:
「退院先の施設の状況によっては、受け入れ延長もあると思います」
リハビリを終えても、クラスターの発生などにより、患者が高齢者施設に戻ることができず、退院が先延ばしされるケースも。入院の長期化により、新たな患者の受け入れが難しくなり、病床ひっ迫にもつながりかねないと懸念されています。
鳥取生協病院・皆木真一院長:
「(受け入れが困難な医療機関が)1つならまだしも、2つ重なると、残った病院に患者が集中してしまう。都会で言われている、救急車が来ても出発に時間がかかるとか、受け入れ先が見つからないといったことに、今後さらに感染者が増えることになれば(医療ひっ迫が)起こりうる。それが一番怖い」
こうした現状に、県は…
鳥取県新型コロナウイルス感染症対策課・福田武史課長:
「高齢者施設の協力医にお願いして、入所者にすぐに治療薬を投与いただく。自宅療養している患者についても治療薬を処方いただき、医療機関に入院される方を抑えていく」
県の医師会や薬剤師会と連携、治療薬の早期投与や宅配態勢の整備を急ぐなど、高齢者への感染拡大を抑え込みたいとしています。