【シリーズ】Z世代のトリセツ「バズって売り上げアップ」SNS強い味方に(島根・松江市)
シリーズでお伝えしている「Z世代のトリセツ」。
10代から20代前半の若い世代の視点で、ニュースを掘り下げていきます。
岡部楓子アナウンサー:
5月30日の担当は1999年生まれのZ世代、嶋村采音アナウンサーです。
嶋村采音アナウンサー:
生まれたときにはインターネットがあり、生まれながらのデジタル世代であるZ世代。日々の情報収集に「SNS」をフル活用しています。
そのSNSで広く拡散される、いわゆる「バズった」ことをきっかけに売上を大きく伸ばした企業が山陰にもありました。
永江印祥堂・野津寛部長:
「いいねの数が1分ごとに増えていく。もうこわかったです」
松江市の永江印祥堂。
創業50年、印鑑などの製造販売を手がけてきたハンコ屋さんです。
2022年10月、店で作った「あるハンコ」についてつぶやいたところ、瞬く間に拡散され、大きな話題となりました。
岡部楓子アナウンサー:
こちらのハンコ、通常のハンコと大きさは同じですが、ただのハンコではありません。押してみると、この中に87文字が刻まれています。
嶋村采音アナウンサー:
直径1.2センチの印鑑に87文字が刻まれています。
この投稿に約22万の「いいね」。いわゆる大バズりで繊細な職人の技が注目されました。
永江印祥堂・野津寛部長:
うちの職人の技術を全国の皆に伝えられたらと思ってアップした。(大バズりに)正直こちらサイドもびっくりしている。
永江印祥堂では宣伝、広報のツールとしておととしからツイッターを利用、そのきっかけは政府のある動きでした。
永江印祥堂・野津寛部長:
正直かなりの風評被害を受けた。
嶋村采音アナウンサー:
2020年、政府が打ち出した行政のデジタル化、「脱ハンコ」です。
永江印祥堂・野津寛部長:
印章業界の元気がなかったので、(ツイッターで)元気になればなという思い。
嶋村采音アナウンサー:
SNSを活用した結果、ハンコにあまり馴染みがない若い世代にも認知が広がったといいます。
今ではフォロワーは3万6000人。
この広がりを生かして、今年「アイディア溢れるハンコ」を「推して」みました。それが。
岡部楓子アナウンサー:
こちらの印鑑、真上から名前が透けて見えるんです。これなら絶対、失敗しないですね。
嶋村采音アナウンサー:
目で確かめてまっすぐ押すことができるハンコです。
ハンコを押すときにどうしても傾いてしまう、そんな悩みに応えるこのハンコ、つぶやきに対しては。
「これは助かる!」「この発想は素晴らしいです」など賞賛のコメント。
こちらも大バズりです。
永江印祥堂・野津寛部長:
10年以上前からある商品。今までは殆ど売れていなかったのに一気に1週間で500本以上の注文をいただいた。
嶋村采音アナウンサー:
半年に1本ほどしか売れなかったハンコが、1週間で500本!「脱ハンコ」の動きに逆らう売れ行きとなりました。さらに。
ツイッターコメント:
「寿限無さん、ご注文の品です」
永江印祥堂・野津寛部長:
108文字です。
Qこれってもう限界ですか?
永江印祥堂・野津寛部長:
いや、えー、これ以上いけると信じてます。
嶋村采音アナウンサー:
落語でおなじみ「寿限無」さん専用印鑑を発売。
108文字の長ーい名前が見事に収められ、こちらもツイッターで話題に。
SNSを活用した好循環で売上を伸ばしています。
福島睦アナウンサー:
SNSを使った「遊び心」がビジネスに結び付いているんですね。
嶋村采音アナウンサー:
「脱ハンコ」の逆風のなか、「ハンコ」とはあまり馴染みのない若者を、ユーザーとして引き込むことができたのはまさにSNSの力だと思います。
「バズる」という一種のブームが若者から生まれ、やがてSNSとあまり馴染みのない世代にも情報が届く、面白い流れだと思います。
SNSコンサルティングを手掛ける、専門家に聞きました。
NFES・足立敬太社長:
ツイッターはリアルタイムの「今何が起きているか」を収集するのに使われる機会が多い。SNSユーザーとコミュニケーションを取るのが一番重要。
嶋村采音アナウンサー:
SNSは相手の世代を問わず、早く広くメッセージを届けられる大きな武器になっています。
31日はZ世代が重視する「タイパ」、タイムパフォーマンスにスポットを当て、深堀りします。