「第9波」突入…「新型コロナ」収束の兆し見えないなか 医療の現場では(島根・松江市)
13日に発表された定点あたりの感染者数は、鳥取が17.2人と前の週を下回りましたが、島根は18.9人で前の週の約1.2倍に増加しました。
新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行して4か月、4年ぶりに行動制限のないお盆期間、夏休みシーズンを経て、島根県は「第9波」を迎えたと分析しています。
今も患者と向き合う医療の現場を取材しました。
12日、松江赤十字病院の「コロナ病棟」。
新型コロナウイルスの位置づけが、インフルエンザなどと同じ「5類」に移行して4か月、今も、1日に10人程度のコロナ陽性者を確認しています。
松江赤十字病院 田邊翔太医師:
「19人検査して8人が陽性、半分くらいが陽性という状況。きのうは退院が1人入院が1人です」
「コロナ病棟」で患者の治療にあたっている救急部の田邊翔太医師です。
新型コロナが「5類」に移行される前から「コロナ病棟」を担当してきました。
「5類」移行後、感染拡大は一旦落ち着いたものの、夏以降は、移行前のように多くの患者を受け入れるようになったといいます。
松江赤十字病院 田邊翔太医師:
「お盆、8月の中旬ごろが一番患者のピークだった、1日に50人くらいコロナ検査をして、20人が陽性だったときが、この数か月のピークだと思う」
「5類」移行後の定点医療機関あたりの感染者数は島根県では8月中旬に19.1人と「5類」移行後のピークに達していました。
「第8波」がピークを迎えていた2022年12月の40.5人の半分程度の水準で、決して低い数字ではありません。
定点あたりの感染者数はその後、減少傾向に転じていますが、9月3日の報告数は15.6人。
第8波が峠を越えた1月に並ぶ水準です。
松江赤十字病院 田邊翔太医師:
「それから少しづつコロナの患者が減ってきてという状態ではあるけど、ただゼロになることはなく1人以上はコロナの患者が入院になる。常にコロナ病棟にも10人弱の患者がいる」
こうしたなか、12日、田邊医師が対応にあたっているコロナ病棟の現場を取材することができました。
松江赤十字病院 田邊翔太先生:
「こんにちは、息苦しいですか、大丈夫?胸の音聞きますよ。まだ痰が溜まってますね」
診察したこの患者の状態を次のように話します。
松江赤十字病院 田邊翔太先生:
「よく高齢者であるけどコロナで弱ったところに、普通の肺炎とか尿路感染とかが被ってきて重症化したパターン」
看護師:
「あー口開きますか」
病棟では、今も、看護師が防護服を着て、患者と接しています。
松江赤十字病院 田邊翔太医師:
「決してコロナが5類に落ちたからといって、感染力が弱まったわけではない。移りやすさはむしろ株が変異することによって強くなるかもしれない」
実際に、病棟では新たな変異株「EG.5」通称「エリス」に感染した患者も確認。
これまでの変異株に比べ、さらに感染力が強く、日本国内でも急速に拡大しているとみられます。
島根県感染症対策室 田原研司室長:
「(島根県内では)全体の10%はEG・5が検出されている。人に感染しうる期間が長いという特徴がある。症状が改善された後もしばらく人にうつす」
島根県感染症対策室の田原室長は、今後、EG・5が感染の主流になると分析しています。
また、島根県内の感染状況については。
島根県感染症対策室 田原研司室長:
「お盆が明けて一旦ピークアウトした感があったが、学校がはじまり子どもたちの感染が増えた。第9波としている」
「第9波」に突入したと指摘します。
秋を迎え、これから冬にかけては例年、インフルエンザが流行する季節。
新型コロナの状況によっては「W流行」も心配されます。
松江赤十字病院 田邊翔太先生:
「人ごみに行くときは、マスクをつける手洗いうがいなど、コロナの前からあったインフルエンザや風邪に対する感染対策を徹底していく」
手洗いやうがい、必要に応じてマスクを着用するなど、1人1人が基本的な予防対策を徹底することが、コロナだけでなく、インフルエンザなど感染症の流行を抑えることにつながります。