水素で動くごみ収集車

大分県の「オートポリス」で行われたスーパー耐久レースの第4戦。トヨタ自動車が投入した液体水素エンジン車の進化が注目を集めましたが、進化したのはクルマだけではありません! 今回は九州の水素社会実現に向けた取り組みに迫ります。

トヨタ自動車 中嶋 裕樹副社長

トヨタ自動車は今シーズン、気体ではなく液体の水素を燃料にした水素エンジン車を投入しています。−253度という超低温の液体水素。それを充填する設備を動かすために、地元の九州で作られた水素で電気を作ってしまおうという取り組みが行われていました。

トヨタ自動車 中嶋 裕樹副社長:
「液体水素を給水素とするためには電源が必要です。その電源に使おうと考えました」

再生可能エネルギーから生まれた水素

九州産の水素を酸素と化学反応させて電気を生み出す

使う水素は福岡県「トヨタ自動車九州」の太陽光発電や、大分県「大林組」の地熱発電。そして福岡市の下水から発生するバイオガスなど、いわゆる再生可能エネルギーから生まれたものばかりです。

これらの水素を酸素と化学反応させて電気を生み出す仕組みです。

トヨタ自動車が開発した「FCごみ収集車」

FCごみ収集車

イベント会場で特に注目を集めたのが、トヨタ自動車が開発した「FCごみ収集車」です。車体には「FCEV(燃料電池自動車)」の文字が。水素で作った電気の力で走ります。

最大の特長は、集めたごみを圧縮する際にモーター音しか聞こえないこと。

トヨタ自動車 福永 恒太郎さん
「通常のエンジン車はエンジンを回して、ポンプを回して動かします。しかしFCごみ収集車は燃料電池の電気でポンプを回すので、何にも音がしないのに、ものすごいパワーがあります」

2023年度中に導入する予定

福岡市内のゴミの回収は夜間に行われることが多いのですが、これなら回収車の音もあまり気になりません! 福岡市などでは、FCごみ収集車を2023年度中に導入する予定です。

トヨタ自動車 中嶋 裕樹副社長:
「九州自体が非常に水素に対して積極的に活動を取り組んでいる地域です。市民生活に根ざした水素社会のスタートを決めることができれば、さまざまな日本の都市にも展開できる可能性があります。1つの“原単位”として、取り組みをスタートしていきたいと思います」