仕事の活力向上や組織の活性化が期待できる、と経済産業省などが「健康経営」をすすめています。全従業員の健康診断の受診や食生活、喫煙に関する対策など、条件を満たせば優良法人に認定されます。

自治体や企業が取り組む健康経営への支援や、啓発活動を行う明治安田健康開発財団の小川将司さんに詳しく話を聞きます。

朝礼でのラジオ体操や毎月第3週を減塩週間にする取り組みも

健康経営

小川将司さん:
「うつなどで会社に来れなくなる従業員が出たり、勤務中に突然死した人がいたり。背景を掘り下げていくと過重労働やコミュニケーションの問題といった従業員にとって働きやすい環境ではなかったことがあります。それを改善するきっかけとして健康経営を取り組み始める企業が多くあります。

例えば社内旅行や社内運動会などのコミュニケーションを促進していたり、朝礼でラジオ体操やっていたり、毎月第3週は減塩週間として『ラーメンやうどんのスープを全部飲まないようにしましょう』といった注意喚起をしたりして、食の取り組みの認定要件がクリアできます。そして健康状態が改善していくと、従業員が生き生きと元気に働くことができます。結果的に会社の企業価値が上がったり、仕事がうまく進み収益の増加につながったりして、経営者に非常にうれしい効果が現れていきます」

取引先との関係が悪化するなどが起きかねない

健康経営優良法人の申請数

健康経営優良法人の申請数は、大規模法人、中小規模の法人ともに年々増加しています。

小川さん:
「昨今は戦略的に従業員を大切にするという会社としての姿勢を示すことで、健康経営に取り組んでいることを、新卒生などの対外的なPRになると考えて実施するところもあるのではないかと思います。

中小企業だと技術を持った職人がいて、その人たちが高齢化していきます。その人たちに健康でいてもらい、定年後も元気に働いてほしいという思いから健康経営を始めるという話もあります」

健康経営が拡大する一方で、すぐに取り組みを始めることが難しい中小企業もあります。「健康経営がもとで、いずれ問題が起きるのでは」と小川さんは指摘します。

小川さん:
「健康経営に取り組んでいないと、取引先との関係が悪化するなどが起きかねないのではないかと思っています。取り組みの姿勢を『見える化』するために、健康経営の優良法人があります。自治体が出している健康経営の認証など、取り組みやすいものもあるかと思います。そのような自治体で行っていることに参加をしているといった各企業も見える化をしていくことで、少しクリアしていくことができると思います」