■「昔のまんま」ぜいたくな天ぷら
ところで、100年前の東京ではどんなグルメがはやっていたのでしょうか。取材班は興味深い本を発見しました。

それが「食行脚」。100年前の大正14年に出版。記者が食べ歩いた名店を紹介している、今でいうグルメガイド本なのですが、調べたところ少なくとも22軒が今も都内で営業を続けているようです。
というわけで、100年前のグルメ本に載っていた人気店は今どうなっているのかを取材しました。


まずは浅草の天ぷら店「天麩羅 中清」。浅草きってというよりも東京名うての天ぷら屋。「ケチな根性がない素晴らしい店」と称賛されていました。100年前と同じ場所で営業を続ける「中清」は、今も変わらず客足の絶えない人気店です。
店を切り盛りするのが6代目・中川敬規さん。

「創業当時から“江戸前天ぷら”で始めまして、東京湾でとれた魚介類をごま油で揚げるのが江戸前天ぷら」

こだわりは魚介類をごま油で揚げることが特徴の江戸前天ぷら。昔ながらの天ぷら定食は新鮮な穴子に大きなクルマエビなどなど、甘めの天つゆが素材の旨味を引き出します。そして人気の海老天丼には、ぜいたくにクルマエビが5本!
「今はカラカラの天ぷらが多い。中清は昔のまんま」

創業当時から素材にこだわり続けてきたこの店では、今も穴子は江戸前。身が淡泊で上品な旨味に満ちている東京湾産にこだわってます。
そして100年前のグルメ本では「手間を省いてまでもうけに走らない」姿勢がこう称賛されていました。
「『手間のかからぬやう少しでも儲(もう)けを多くなるやうにと、吝嗇(けち)な根性を出したら最後、それで名物の脈は揚がつたりである』と書いてあるんですけども…」
「いい食材を仕入れて、いいごま油を使って、そういった実直な商売をし、目先の利益にこだわらずやりなさいと、代々教えられています」
100年前のグルメ本「食行脚」の存在を知らず初めて見たと言います。本には天丼や天ぷらの記述はありましたが、100年前にはあったはずの名物メニューが紹介されていないことに気が付きました。

「裏メニュー的に、常連さんにお出ししていた。食行脚に書いていただいた時には『雷神揚げ』としては載っていない…」

その名も「雷神揚げ」。100年以上愛され続ける名物。直径17センチに厚さは7センチ。中には芝エビと貝柱がぎっしり詰まっています。
「まわりはサクサクなんですけど中はふわふわです。本当にどこを食べてもエビと小柱が入っていて魚介の旨味も凝縮していますね」
九州産の芝エビと北海道産の青柳の小柱、10分間ほどかけて火を通すことでサクふわの仕上がりに。
「きょうは、かき揚げ(雷神揚げ)を食べたくてここに来た。感無量です」

「最初は賄いとしてみんなで食べていたのを常連様にお出しした。好評に応えどんどん大きく。現在のような形になったと聞いております」
客の声に応え、進化を続ける名物でした。


プロバイダならOCN















