袴田巌さんの再審=やり直しの裁判の9回目の公判が静岡地裁で行われました。裁判の最大の焦点ともいえる犯行着衣とされた「5点の衣類」の「血痕の赤み」について、検察側が新たな証拠を示し、あらためて「色合いに不自然な点はない」と主張しました。

(杉本 汐音 記者)

「9回目の公判に向け弁護団らが静岡地裁に入ります」

14日に続き、2日連続で開かれた袴田さん再審の第9回公判。15日朝、浜松市内には静岡地裁へ向かう袴田巌さんの姉ひで子さんの姿が。

(袴田ひで子さん)

「まあ7回も8回も裁判所に行って話を聞いているだけだから、いつもと変わりない。5月22日が最後ですけどね、最終だと思って気を張っていきます」

1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。

2023年10月から始まった再審公判で、検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。

一方、弁護団は「事件は強盗殺人ではなく、怨恨による殺人で、犯人は複数犯」などと指摘し、無罪を主張しています。

15日の公判では、最大の焦点ともいえる犯行着衣とされた「5点の衣類の血痕の色」について審理されました。「5点の衣類」は、事件から1年2か月後に血痕が付着した状態で現場近くの、みそタンクの中から見つかりました。

15日の公判では、検察側が新たな証拠として、7人の法医学者の共同鑑定書などを示し、5点の衣類の血痕の「赤み」について主張立証しました。

これまで、弁護団は「1年以上みそ漬けにすれば血痕の赤みが消える」と主張していますが、検察側は、15日の公判で、弁護団の専門的知見は「血痕におこる化学反応を具体的に検討していないため根拠を伴っていない」と反論。さらに、弁護団が行った独自のみそ漬け実験について「酸素濃度など血痕の色の変化に影響を及ぼすあらゆる条件を検討していない」として「赤みが残ることがないという見解は根拠を欠いている」と反論しました。

一方、検察が独自で行ったみそ漬け実験については、あらゆる条件を想定して行われていて「長時間みそ漬けされた血痕に赤みが残る可能性が認められ、1年余りみそ漬けされた5点の衣類の血痕に赤みを感じられたことに不自然な点はない」と主張しました。

【スタジオ解説】

あらためて整理します。9回目となる15日の公判では、再審請求審でも最大の争点となったといえる5点の衣類の「血痕の色」についてです。

事件から1年2か月後にみそタンクから見つかった「5点の衣類」には血痕の赤みが付着していました。

これまでの裁判で弁護団は、独自の実験を行った結果から「1年以上みそ漬けにすれば血痕は黒くなる」5点の衣類はねつ造されたものだと主張。

一方、検察側は、長期間みそ漬けにされた血痕に「赤身が残ることはある」と主張していました。

15日の公判で、検察側は、7法医学者による鑑定書などを新たな証拠として提出し、改めて、5点の衣類の色合いについて不自然な点はないと主張しました。血痕に残っていたとされる「赤み」については、カラー写真など客観的証拠がなく、見た人の説明に頼るしかないが照明などの状況により見え方、説明が異なると主張。また、弁護団が行った独自のみそ漬け実験については「酸素濃度など血痕の色の変化に影響を及ぼすあらゆる条件を検討していない」として「赤身が残ることがないという根拠にはならない」と反論しました。