
静岡・熱海市の土石流災害で行方不明となっていた太田和子さんの骨の一部が見つかったことを受けて、20日、遺族が会見を開き、捜索を続けた警察などに感謝の思いを述べた。
20日、熱海警察署を訪れたのは、長男の朋晃さんら太田和子さんの遺族。警察署で和子さんの遺骨を受け取った。土石流から1年7か月あまり。会見を開いた朋晃さんは、捜索を続けた警察などに感謝の思いを述べた。
(太田和子さんの長男・朋晃さん)
「大勢の方々に大変お世話になりありがとうございます」「やっと帰ってこられるというのはわかったが」「うれしさと悲しさといろいろでした」
太田さんの骨の一部が見つかったのは熱海港の土砂仮置き場。1月、警察官が土砂の中から15センチほどの骨を見つけ、DNA型鑑定の結果、太田さんの骨と分かった。これで、土石流の犠牲者は災害関連死も含め28人になった。「優しい母親だった」という和子さん。長男の朋晃さんは盛り土を造成した業者や対応が不十分だった行政に悔しさと怒りをにじませた。
(太田和子さんの長男・朋晃さん)
「今までみたいに責任をなすりあったりしないで」「一言でも謝罪していただいて」「どこにどんな責任があったのかだけははっきりさせてほしい」
こうした中、土石流の要因とされる盛り土をめぐっては、行政対応の“再検証”を求める声が上がっている。
先週、静岡県議会の特別委員会がまとめた報告書。盛り土に関する県の対応について「公正・中立な立場から改めて再検証が行われるべき」との提言が盛り込まれた。県議会の提言を受け被災者からも再検証を求める声があがっている。
(土石流災害で被災 太田 滋さん)
「今までの検証が静岡県を守るための検証だったと思う」「自分たちを守るためではなく、住民を守るための検証をもう一度してもらいたい」
(太田さんの妻 かおりさん)
「一から検証はしていかないと、なぜ盛り土は崩れたのか、そもそもなぜ盛り土ができたのか」「ちゃんと真実を導き出してほしい」
土石流の行政対応をめぐっては、2022年5月、県の第三者委員会が「行政対応は失敗だった」とする最終報告を公表。熱海市が当時の県条例に基づき業者への「措置命令」を見送ったことなどを批判した。しかし、熱海市などから「検証が不十分」という声があがり県議会は特別委員会を設置。特別委員会では第三者委員会の委員長から話を聞くなど十分な検証が行われたのか調査していた。そして先週、公表した報告書では「県が所管する森林法や砂防法について十分な検証がなされたものであるとは言えない」と指摘し、「検証の範囲が狭く期間も短かった」と結論付けた。これを受け、川勝知事は…。
(川勝知事)
「われわれの対応が本当に適切だったのかどうか、多くの方が亡くなられているので」「ご指摘に対しては丁寧に対応していく」「いくらでも再検証する体制は整えられると思うが、再検証ありきではない」
「報告書の中身を確認した上で再検証を行うのかどうか
検討したい」と述べるにとどめた。