【袴田事件三者協議】袴田さんの出廷を免除する考えを弁護団に伝える 29日(静岡地裁)
裁判のやり直しが決まった、いわゆる「袴田事件」の三者協議で、29日、静岡地裁が弁護団に袴田さんの出廷を免除する考えを伝えたことがわかった。一方、有罪を立証するかどうか注目される検察側の方針については…。

裁判のやり直しが決まった、いわゆる「袴田事件」の三者協議で、5月29日、静岡地裁が弁護団に袴田さんの出廷を免除する考えを伝えたことがわかった。一方、有罪を立証するかどうか注目される検察側の方針については…。

29日、静岡地裁で開かれた2回目の三者協議。裁判所・検察・弁護団による話し合いには、袴田巌さんの姉・ひで子さんも出席した。

1966年、旧清水市で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」では、袴田巌さんの死刑が確定していたが、3月に東京高裁が裁判のやり直しを認め、再審公判が開かれることが決まった。

29日の三者協議で、静岡地裁は弁護団に対し「再審公判で袴田さんを強制的に出廷させる考えはない」ことを伝えたという。ひで子さんは裁判所に対し、袴田さんが長年拘置されていた影響で、今も日常的な会話が難しい状態であることなどを訴えたという。

(姉・ひで子さん)

「巌の現状を説明してほしいというので、10分ぐらい丁寧に(裁判官に)話をした」「大変熱心に聞いてくださった」「隣同士で話すような会話をする、そういうことが全然できない」

(小川 秀世 弁護士)

「率直に言ってうれしかった」「一つは回復の可能性がないと診断書にある、もう一つは強制的に出廷させることは、巌さんに悪影響を与えることも書いてある」「これらが大きく影響したと思っている」

そして、もう一つ注目されたのが、再審公判で検察が有罪を立証するかどうかについて。4月の三者協議で、検察は「立証方針の決定に3か月かかる」考えを示していて、29日も方針を明らかにしなかったという。また、弁護団は検察が方針を決める予定の7月10日までに、検察と弁護団の双方が整理した争点を説明する冒頭陳述の案を提出するよう裁判所から求められたことも明らかにした。

(小川 秀世 弁護士)

「特別抗告も断念しているわけですし、まだ何かを考えているかのようなふりをして延ばしているだけ」「怒りを覚えます」「7月10日までに(検察と弁護団の)双方が冒頭陳述の案を提出してほしいと」「弁護団は、その方向で提出しますと約束したが、検察は、要請は確認したが必ずそうすると約束はしなかった」

弁護団によると検察は冒頭陳述の案を提出するかどうか明言しなかったという。次の三者協議は6月20日に開かれる。