9月2日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「令和流...次世代の育て方」。
イマドキの若者を自由な枠組みで育てる企業を特集。現役学生に任せた店づくりや、年功序列を撤廃し、若手が新規事業を生み出す挑戦を取材した。

創業306年の老舗「中川政七商店」が手掛ける"学生が本気で経営する"店


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300年以上続く老舗の工芸雑貨店「中川政七商店」(全国50店舗)。日本の工芸の技術・素材にこだわった商品が売りで、幅広い世代から支持を得ている。お店を全国規模にまで拡大させたのが、13代目「中川政七」の、中川淳さん。そして次の一手として考えたのが、現役学生に店づくりを託すこと。自身の経営ノウハウを学生に伝授し、店の運営を任せるというのだ。

なぜ学生主導の店をつくろうとしているのか。中川さんは、地方の工芸メーカーが衰退していく中で、「経営のできる優秀な若者が地元に戻ってくれることで、日本の工芸を元気にすることができる」と話す。

「地方の工芸メーカーがなぜダメかというと、究極、社長がダメ。社長が全然経営のことを分かっていない。学生の方が、下手したらできたりするかもしれない」と話す。

3月下旬、中川さんのもとに、約200人の候補者の中から選ばれた18人の学生がやってきた。彼らは中川さんが新たに始める店「アナザー・ジャパン」の運営メンバー。「中川政七商店」が給与を払い、実践で経営のいろはを身に付けてもらう。

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店は、東京駅から歩いて5分ほどのところにある「トウキョウトーチ」の一画で、広さは約20坪。地方の特産品を集めたセレクトショップとして1年間営業する。
学生たちは出身エリアごとに3人でチームを組み、地域と品ぞろえのコンセプトを2カ月ごとに入れ替える。

立候補とくじにより、重責を担うトップは九州に決まった。メンバーは安見茜音さん(福岡出身)、山口晴さん(長崎出身)、比嘉涼夏さん(沖縄出身)。8月2日のオープンまでに、商品選びから交渉、仕入れまでを3人で行う。

4月下旬、山口さんと比嘉さんは、リサーチのため鹿児島に。最低300種類の商品を集めるのがミッションで、まずはSNSで見つけた鹿児島の産品などを集めているショップへ。翌日は熊本へ移動し、安見さんも合流。手作りにこだわった雑貨店や、地元の作家が作った焼き物の店などを見て回る。3日目は佐賀から福岡を横断し、実り多い出会いを重ねた。

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東京に帰ると、九州チームは自分たちが目指す商品コンセプトを中川さんと運営メンバーの前で発表することに。3日間のリサーチで記憶に残った、土砂降りの中よさこいを踊る人たちの姿や、比嘉さんの地元・沖縄の集まり好きな文化も含め、店のコンセプトを「宴(うたげ)」に決めた。

「全部に共通している言葉が"宴"。"キュウシュウという宴があなたを待ってる"これが、私たちが考えたアナザー・キュウシュウのコンセプトです。」

九州チームのコンセプトに、中川さんも高評価。「宴」に合わせた商品選びが始まり、5月中旬、3人は別行動で九州を回る。

鹿児島・長崎を担当する山口晴さん(20)は、鹿児島空港へ。経費節約のためにできるだけ歩き、まずはリサーチ時に見つけた"火山灰を使った器"を作る陶磁器工房「ワンキルン」に向かう。

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山口さんにとっては人生初の仕入れ交渉だ。しかし、「宴」のコンセプトを説明して取引を交渉するが、窯元・城戸雄介さんの答えは「セレクトしているものが見えない。」
結局山口さんは具体的なセレクト商品を提示することができず、初めての商談は契約に至らなかった。

6月上旬、今度は山口さんの地元・長崎のガラス工房「瑠璃庵」へ。しかしここでも、目をつけていた手作りグラスの納期が今からでは間に合わないと言われ、断られてしまう。

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一方、「中川政七商店」など社会人組の定例会議では、こんな意見も出ていた。
「はっきり言ってひどいレベルというか...。学生だなという(外部への)メールがあって」と話す担当者。どこまで学生たちに口を出していいのか、悩んでいた。そこで中川さんが発した一言とは......。果たして学生たちがつくる店は、無事にオープンすることができるのか。



年齢、部署は関係無し!「住友商事」次世代社員の育て方とは...


大手商社「住友商事」では去年4月、従来の制度に残っていた年功序列的な要素を撤廃した。その背景には大手商社が近年、優秀な若者の流出に危機感を抱いていることにある。この人事制度の大幅な刷新により、年齢に関係なく、スキルに応じた人材を登用することで会社を活性化する狙いもだ。
その潮流に乗り、仲村将太朗さんと榎本太一さんは、日本の農家が抱える問題を解決しようと立ち上がった。

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小規模農家は自力で運ぶには時間と労力がかかり、さらに高齢化が進む中、売れ残った作物を捨てざるを得ないことも多いという。
そこで2人が作ったのが、農家と配達ドライバーのマッチングサイト「CLOW」。
農家が出荷したい野菜情報を入力すれば、登録しているドライバーとマッチング。都心のレストランや野菜がほしい人に届けてくれる。このサービスを全国的に展開し、新たな農業の物流網を生み出そうと考えていた。

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この考案は、「住友商事」の社内起業制度「ゼロワンチャレンジ」で約300件の応募の中かから採用された。アイデアを出したのは、当時まだ20代だった仲村さん。赴任先のブラジルでシステム化された農業に触れ、日本でも生かせないかと考えたのだ。
これに賛同したのが同期の榎本さん。農業とは無縁の不動産の部署にいたが、協力を申し出た。

農産物の新たな流通を模索する2人は、この夏、「CLOW」を使った新たな企画「セルフなマルシェ」を進めていた。
田舎で見かける無人の野菜販売所を都会で大々的に展開しようというもので、榎本さんが不動産の部署にいたことを生かし、「住友商事」グループが所有・管理するマンションなど13ヵ所で試験的に出店することに。

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仲村さんは「無人になることによって採算が取れる可能性がある。生活導線上に新鮮な野菜を置くことで消費者は新鮮な野菜を買えてWIN。農家も自分で運ばなくていいのでWIN。『住友商事』としても利益を出せるからWINで三方良し」と狙いを話す。

7月中旬、仲村さんと榎本さんは「小田急電鉄」(東京・新宿区)を訪れ、飛び込み同然の交渉をした。小田急の担当者は、駅での無人販売に不安を示すも、仲村さんたちの熱意に触れ、「やってみよう」と承諾する。

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喜ぶ2人は、「住友商事」本社(東京・大手町)で新たな試みの進捗状況を直属の上司、物流事業部の最勝寺史行さんに報告。黙って報告を聞いていた最勝寺さんは、最後に一言
「初めはみんな興味があってスタートさせてくれるけど、それを継続できるかどうかは結果次第」と伝えた。若手に自由を与える反面、最後は成果を求める...それが「住友商事」の次世代の育て方だ。

今回小田急が提供してくれたのは、乗降客が多い下北沢駅の構内。東京近郊7軒分の農家の野菜も到着し、午後2時、下北沢駅で「セルフなマルシェ」が開店した。旬のフルーツに定番の夏野菜など、朝採れたばかりの農家の自信作が並ぶが、そこには波乱の予感が......。

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