3月17日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「トルコ大地震 知られざる闘い〜独占密着!ニッポン医療チーム〜」。
2月6日に発生したトルコ・シリア大地震は、死者5万2000人を超える大災害となった。
「ガイア」は、現地に渡った日本の医療チームに密着。過酷な現場での苦悩...それでも患者のために最善を尽くす日本の医療従事者たち、そして、復興に向けて立ち上がる日本企業の闘いを追った。

日の丸医療チームの総力でトルコの傷ついた人々を救え!


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2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の死者は5万2000人を超え、未曾有の被害となった。12年前、東日本大震災の時、トルコの救助隊は約3週間に渡って被災地を救ってくれた。そして今回日本の医療チームが、いち早くトルコの最前線へ。

NPO法人TMATとは、日本最大の医療法人・徳洲会がつくった被災地医療の専門チーム。地震の2日後には先遣隊が現地に入り、活動を開始した。
現地の要請を受け、第2陣のメンバーに志願した中から選ばれたのは、福岡徳洲会病院で救急医として働く町田崇さん。町田さんは元々薬剤師だったが、「途上国の人々を助けたい」との思いから医学部に入り直し、40歳を過ぎて医師になった。

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2月18日、成田空港。トルコに向かうのは、町田さんを含め、医師・看護師・薬剤師など9人。隊長は、数々の被災地で活動してきた災害医療のエキスパートで、整形外科医の當麻俊彦さん。医師は當麻さんと町田さんの2人だ。

翌日、震源地に近いバーチェに到着。多くの建物が倒壊し、町は甚大な被害を受けていた。唯一の病院は機能しておらず、その前には、TMATの拠点であるテントが建てられている。

町田さんは、すぐさま治療に取り掛かる。初めての患者は、瓦礫で手を切った50代の男性。傷口を縫おうとするが手の皮が厚く、小さな針が入らない。日本から持ってきた針で、なんとか対処した。

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続いて、めまいで動けないという高齢の女性のもとへ。女性と家族は「余震が怖い」と、崩れかけた家ではなく、庭にテントを張って暮らしていた。体中が痛いと訴える女性の診断結果は、尿路感染症の疑い。腎臓に持病を抱えていることもわかった。
「日本なら入院」と伝える町田さんに、「行きたくない」と訴える女性。理由は「先生(町田さん)ほどきちんと診てくれる人がいなかったから」。町田さんは女性を説得し、応急処置のため、感染症を抑える抗生剤を入れた点滴を打つことに。

地域の医療は逼迫していたが、町田さんは入院先を探すよう、現地スタッフに指示。すると1時間後、なんとか近くの町の病院に搬送することができた。町田さんは「常に迷いながらやるしかない。迷いながらでも決断してやらざるを得ない」と話す。

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キャリア24年のベテラン看護師・伊豫田かなえさんも、これまでの経験を被災地での医療に生かしたいと志願した。
この日、伊豫田さんが寄り添っていた女性は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負い、食事ものどを通らず、衰弱していた。地震から2週間、体の傷だけでなく、心の傷にも対処する必要がある。「だからこそ、笑顔で頑張ろうと思います」と伊豫田さん。

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TMATのテントに毎日やってくる4歳の少女・メリエンちゃんは、就寝中に地震に襲われ、家が崩れて瓦礫の下敷きになり、右手を失った。父・ムスタファさんによると、6時間閉じ込められていたそうで、自身も娘を守り、同じく右手をなくした。メリエンちゃんは、当時のことを覚えていないという。

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メリエンちゃん一家は、町の郊外にあるテント村で避難生活を送っている。母と弟、妹は、瓦礫から2時間で救出され、無事だった。
ムスタファさんはシリア難民で、12年前、逃れて来たこの町で平穏な生活を手に入れた。それを地震が奪ったのだ。ムスタファさんは、「左手での食事は慣れました。腕をなくしたことはものすごく悲しい。でも、メリエンのことを思うともっと悲しい。まだ幼いから」と嘆く。
それでも未来を信じる。ムスタファさんは「私たちは乗り越えられる。普通の生活に戻れると信じています」と力を込めた。

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地震から2週間経った2月22日。閉鎖を余儀なくされていた地元の病院がようやく再開され、TMATは病院でも治療ができるように。
しかしこの時、伊豫田さんたちは思わぬ事態に直面していた。狭いテント生活を強いられ、やけどが急増していたのだ。寒さをしのぐストーブの火や沸かしたお湯で、やけどする人が後を絶たない。

86歳の女性は、足に大やけどを負っていた。包帯をはがす時、傷口に張りついてしまい、強い痛みが走る。

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「日本なら傷を保護する材料、専用の処置をする物がいろいろあるが、トルコにはない。どうするのがベストか」。

ベテラン看護師・伊豫田さんが出した答えとは......。TMAT活動最終日までの奮闘を追った。



発生から1カ月 復興へ立ち上がる人々を救うニッポン企業


バーチェからほど近い工業団地に、日本のメーカー「東洋鋼鈑」の工場がある。作っているのはブリキで、地元の企業と共同で運営している。その敷地に広がるのは、200ものテント。会社が被災した現地スタッフのために整備したのだ。

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「よく眠れてますよ。子どもは震災の恐怖を忘れられたような気がします」
「幸運なことに、ここは自分の職場です。その安心感はとても大きい。温かい食事があるし、お風呂もトイレも整っている。ここの外ではそれが得られない人もいる。本当に感謝したいです」

工場の責任者・大神敬史さんは、「地震が予想以上に大きくて被害も甚大ということで、会社として従業員を保護したい、助けたいという気持ちから」と話す。

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トルコへの支援のフェーズは、復興へと移っている。そこで問題になっているのが、瓦礫だ。トルコ国内だけで2億トン以上発生すると言われており、東日本大震災の10倍になるという。そこで「コマツ」は「丸紅」と共同で、油圧ショベルを7台無償貸与。今も、トルコの被災地域にある500台もの重機がフル稼働している。

「ガイア」は、被災地で貢献する日本企業の取り組みも取材した。

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