コロナ禍によるマスク生活も3年。海外で"脱マスク"が進む中、日本でマスクを外せる日はいつ頃になるのでしょうか?

「テレ東プラス」では、「Yahoo!ニュース」を通じて、全国の10〜60代以上の男女2000人に「マスク着用」に関するアンケートを実施(2022年8月1日)。結果をもとに専門家に話をうかがいました。

マスク着用基準に準じてマスクを外している?


今年5月、政府は、新型コロナウイルスの感染対策としてのマスク着用について、「屋外では原則不要。屋内でも2メートルを目安に周りとの距離がとれ、会話をほとんど行わない場合には必要ない」とのルールを提示。それから約5ヵ月たった10月、政府は新たに"屋外脱マスク"をPRしました。現在のマスク着用の実情や考え方について探るため、アンケートを行いました。

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「ルールに該当する場合はマスクを外していますか?」の質問は、「マスクを外していない」(48.2%)、「マスクを外している」(20.4%)、「感染拡大状況、場所など場合による」(31.4%)と、ルールではマスクを外せる場合でも半数近くがマスク着用しているという結果に。

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「マスクを外さない理由」については、「感染対策のため」(66.3%)が多いものの、「周囲の目が気になるため」(35,5%)とマスク着用への考え方の違いによる摩擦を防ぐためというものも。また、「マスク生活が長いため慣れてしまった」(22.8%)、「顔が隠れるためメイクなど美容の面で楽だから」(12.4%)など感染対策以外の理由もありました。

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「マスクをし続けることによる心配、問題は?」という質問には、「呼吸が苦しい」(69.9%)、また夏場は「熱中症」(61.4%)が圧倒的。また「人の顔が覚えられない」(20.1%)、「表情が伝わりづらい」(20.1%)など、顔の半分以上が見えないマスク生活による対人関係の心配もありました。

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また、マスク着用基準に準じての「脱マスク」への考え方は、「賛成」(33.1%)、「反対」(26.6%)と、どちらも過半数に満たない状態。

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マスク着用基準に準じての「脱マスク」について「いつ脱マスクしますか?」の質問には、「感染がある程度収束したら」(80.3%)が圧倒的。マスク生活はまだ続きそうな結果となりました。



日本の"脱マスク"は、いつ頃になる?


アンケート結果をふまえ、感染症分野の専門家、東京大学医科学研究所先端医療研究センター・四柳宏教授に、お話をうかがいました。

Q.政府によるマスク着用の基準は、どのように決められているのですか?

「ウイルスを含んだ呼吸や吐息が、どのような状況でどのくらい離れた方の鼻や喉に到達するかという研究結果に基づいて方針が立てられています。屋外と屋内で基準が違うのは、屋内では換気によりウイルスを含んだ空気を外に出すことも必要になりますし、会話や飲食の機会も増えるためです。また、夏場は熱中症予防の観点から、人と人との距離が保てる屋外では外すことを推奨しています。しかし、どこでどういう形で他の方の吐息を浴びるかわかりません。特に基礎疾患がある方、重症化の危険がある方は、ご注意が必要です。状況と、ご自身のリスクと、他の人の吐息を浴びる可能性を個々で判断していただき、マスク着用を考えられるのがいいのではないでしょうか」

Q.マスクを着用している日本で感染が収まらないのはなぜですか?

「オミクロン株は鼻や口からの感染力が強くなったため、これまで感染に関して優等生だった日本をはじめアジアやオセアニアの国々で多くの感染者を出しています。これは今までの感染対策では防ぎきれなくなってしまったということです。一方、欧米諸国は最初に多くの感染者が出たため、感染した後にできる抗体を持っている人の割合がイギリスやアメリカでは70%くらいと、多い。そうすると二度目三度目と感染しても症状は弱くなってきます」

Q. 海外で"脱マスク"が進む中、日本での"脱マスク"はいつ頃になりそうでしょうか? また、どんな基準で判断していけばいいのでしょうか?

「難しいですね。新型コロナウイルス感染症は、どの国を見ても大きな感染の波をいくつか経て、亡くなってしまう方もいて、それを乗り越えて新規発生者の数が減っていきます。先ほど申し上げた欧米諸国は国民の多くが感染したことで、約2年くらいかかって脱マスクを迎えています。日本の場合は、少しでも感染者の数を減らして、犠牲になる方の数を極力減らすという考え方ですので、そうすると期間が長くなるわけですよね。この先、コロナがインフルエンザのように流行のパターンが収まってくれば、流行時以外はマスクを外せる時も来るのだろうと思います。

また、感染予防だけでなく、後遺症の問題もあります。オミクロン株は以前と比べると後遺症の頻度はおそらく下がってはいますが、数%の人は後遺症が出る可能性があります。今一番多い後遺症は喉の痛みと全身のだるさで、仕事や勉強に身が入らず続かないという悩みを抱える方もいらっしゃいます。若い方から60代の方まで年代を問わず同じ頻度で出ているので、若い方でも後遺症が出る可能性があることを知った上で行動していただきたいです。ワクチンを打つことによって後遺症の頻度は減ります。今までは"感染しない"という観点でワクチンを打っていたと思いますが、それだけではなく、もし感染した場合に"後遺症"で貴重な人生を無駄にしないように、ワクチンを打っていただきたいと思います」

Q.今後、新たな治療薬が出てくると違ってきますか。

「全然違いますね。抗原検査キットをコンビニやネットでも買えるようにするという話がありますが、体調に異変を感じたらご自分で診断して、陽性ならば医療機関にご相談をしていただいて、薬をすぐにもらえるようになれば、インフルエンザと同じで軽くなるまでの時間が短くなります。今は、重症化リスクのある方、61歳以上の人方、基礎疾患のある方以外は薬も飲めない状態にありますが、ものすごく早いスピードで薬が出てきているのは確かです。来年になれば少し見える光景が変わってくるのではないかと思っています」

取材協力:四柳宏教授 (よつやなぎ・ひろし)
東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野教授。東京大学医科学研究所附属病院・病院長。長年、感染制御・臨床感染症について研鑽を積む。穏やかな語り口と笑顔で、緊張しがちな時も人の気持ちが和む話を心がけることに加え、毎日の血圧・体重測定、発酵食品の摂取が健康維持の秘訣。

画像素材:PIXTA