地方の名産品などが手に入り、節約にもなる「ふるさと納税」。控除対象額を超えなければ、実質2,000円ほどの負担額で、普段はなかなか手が出ない豪華食材などが返礼品として届く。

例年12月末の締め切りを前に、多くのメディアから駆け込みでの利用を促す記事が出るが、ギリギリのタイミングでは人気の返礼品が手に入らなかったり、手続きが間に合わずに翌年の扱いになったりすることも。そこで「テレ東プラス」では、一足早くふるさと納税企画を実施。

最も多く返礼品の事業者を取材した上で情報掲載を行っているという、ふるさと納税専門誌『ふるさと納税ニッポン!』編集長の嶋田周一郎さんに、「初めてふるさと納税をする人への注意点」や人気の返礼品を取材。さらに、嶋田さんの「おすすめ返礼品ジャンルBEST5」を聞いた。

furusato_20221122_01.jpg画像素材:PIXTA

まずは控除対象金額をしっかりチェック


――多くの人が活用しているふるさと納税ですが、初めて制度を利用する人が注意すべきポイントは?

「ふるさと納税は地方自治体への寄付金額が所得税や住民税から控除されることで、実質負担額が2,000円ほどになります。控除される金額は収入に比例して変わり、その上限を超えた分は控除の対象にならないため、普通に『寄付をした』状態になってしまいます。

ふるさと納税のポータルサイトには、所得額や扶養家族の条件から控除上限額を簡単に確認できるシミュレーターがあるので、まずはしっかり使える金額をチェックしてください。先に欲しい返礼品を選んでからの金額確認だと、『どれかあきらめないと...』としょんぼりすることも起きます。返礼品に目を奪われる前に、設定金額を把握するようにしましょう」

――控除申請に関して、気をつけることはありますか?

「給与所得者で確定申告しない人向けに、手軽に申請できるワンストップ特例制度があります。この制度を利用する場合には2つ注意点があり、1つ目は5つの自治体までしか申請できないこと。返礼品が6つ以上でも同じ自治体へ複数寄付をするなど、5自治体以内で完結できれば問題ないです。ただし、別々の自治体だと適用条件から外れるため、ワンストップ特例制度は利用できません。その場合でも、確定申告で控除を申請できますが、利用サイトのマイページで履歴を確認し、特例の範囲内かチェックするといいですね。

もう1つワンストップ特例の条件は、寄付をした自治体へ申請書を提出する期限が、翌年1月10日までに必着ということ。年末ギリギリの申し込みだと、自治体からの書類交付が間に合わないケースがあります。申請用のフォーマットを用意しているサイトが多いので、そちらを利用して締切りに間に合うようにしましょう。もし期限内の提出が間に合わない場合は、確定申告すれば控除されます」

――やはり年末ギリギリの申し込みだと、申請手続きで慌てることもあるのですね。

「さらに注意しないといけないのが、ふるさと納税の寄付は決済された日が基準で、申し込み日ではない点です。コンビニ払いなら支払いをし、決済情報が記録された日付。カード払いですと、カード会社によって決済確認のタイムラグで日付をまたぐ可能性もゼロではありません。
大晦日でも間に合わないことはないですが、年内の控除目的で申し込むなら、余裕を持って対応するほうが間違いないですね」

コロナ禍で利用者が拡大し、新たな返礼品需要も


――人気の返礼品の傾向など、変化はあるのでしょうか?

「総務省が行った『ふるさと納税に関する現況調査』によると、2008年の制度開始から利用者は増え続け、コロナ禍でまた格段に寄付の件数が増加しています。以前から人気の高い食材などの申し込み増は、お家時間が増えたことが要因と考えられますが、これまで注目されなかったトイレットペーパーなどの日用品を選ぶ人が多くなった印象です。

物流が滞って一時的に紙製品が不足した際だけでなく、その傾向が続いていることから『節約になるふるさと納税で日用品も』と思う人が増えたのではないかと考えています」

――今回の「おすすめ返礼品ジャンルBEST5」には入らないものの、これまで多数の取材をしてきた経験や読者の反響から、おすすめしたい返礼品はありますか?

「季節要素があるため、今回野菜や果物は見送りましたが、生産者の方がこだわって作っている姿を数多く取材してきたので、おすすめしたい返礼品がたくさんあります。例えば京都府宇治田原町の九条ねぎは、土や水など育成環境にもこだわり、しっかりとした味わいです。

果物では、茨城県八千代町のアールスメロン。1株に1玉だけで育てられる、とても人気の高い返礼品で数も限られるため、今年もすぐに品切れになりました。もう一つ紹介したいのが、山梨県市川三郷町のシャインマスカット。生産者の方がコンマ何℃の単位で温度調整するなど、丹精込めて育てられている様子を取材しました。実際に出荷するものを食べ、あまりのおいしさに私だけでなく当社の社長も個人的に申し込みしたほど...本当に、挙げ始めるとキリがないです(笑)」

嶋田さん厳選!おすすめ返礼品ジャンルBEST5


「年末に向けて、申し込みもかなり増えていますし、届くまで時間がかかる返礼品もあります。また、人気の返礼品は、品切れになることも少なくありません。今回は人気の高い食品から、おすすめのジャンルを厳選し、具体的な返礼品の例をピックアップしました。目当ての返礼品が品切れだった場合は、バリエーションや近隣自治体の返礼品をチェックしてみてください」

【第5位】調味料
furusato_20221122_02.jpg沖縄県石垣市『ペンギン食堂オリジナル商品詰め合わせセットA』 写真提供:『ふるさと納税ニッポン!』

「豪華食材の人気が話題になりますが、日持ちがする製品で、手に入りにくい地域特有の味が楽しめる調味料は、ふるさと納税の隠れた人気ジャンルの一つです。

例としては、沖縄県石垣市『ペンギン食堂オリジナル商品詰め合わせセットA』(1万円)。以前あまりの人気で入手困難になった『辺銀食堂の石垣島ラー油』を軸に辛味が強い激辛、パスタにも合うニンニク油、かわいい手ぬぐいがセットになっています。
その他、埼玉県川越市『人気3種5本セット』(1万2,000円)。川越市は知る人ぞ知る醤油の産地で、江戸時代からの手法で作られています。蔵元では機械に頼らず、ほとんどの工程が職人の手づくり。計2年も木桶で熟成された醤油は、食にこだわる人にも支持されています」

【第4位】鍋セット
furusato_20221122_03.jpg北海道紋別市『紋別産本ずわいがに使用 7種の海鮮塩鍋』 写真提供:北海道紋別市

「これからの季節、人気が高まるのが鍋セット。ご自宅で作られることの多い鍋料理でも、食材による違いが感じられると思います。手頃な寄付金額では、徳島県海陽町『丸本特製阿波尾鶏 水炊きセット もも・つみれ 700g』(1万2,000円)。

ごちそう気分を味わうなら、北海道紋別市『紋別産本ずわいがに使用 7種の海鮮塩鍋』(2万円)。利尻昆布を使った出汁に、ずわいがに、帆立、牡蠣など7種類の海鮮がセットになっています。また、大阪の料亭などでも提供され、関西で人気の鯛しゃぶは、兵庫県姫路市『プロが選んだめちゃうま鯛しゃぶセット』(2万円)がおすすめ。刺身や煮つけとは違う、しゃぶしゃぶならではの身のしまり具合を楽しめます」

【第3位】海鮮
furusato_20221122_04.jpg北海道白糠町『北海道海鮮紀行いくら(醤油味)』 写真提供:北海道白糠町

「鍋の食材と重なる部分もありますが、ふるさと納税の返礼品として外せないジャンルの一つが海鮮。とりわけ人気の高い蟹から選んだのが、北海道網走市『美味極太生冷凍タラバ蟹ポーション300g』(2万円)。自然解凍で刺身としても楽しめる他、ポーションなので殻を剥く必要もなく、焼きや鍋・雑炊にして手軽に食べられます。

鮮度が命の刺身では、高知県室戸市『GE016厳選天然マグロ3種セット』(2万円)。船の中で冷凍し、凍ったままさばくなど新鮮さを損なわない工夫がされています。北海道白糠町『北海道海鮮紀行いくら(醤油味)【500g(250g×2)】_K019-0257』(1万9,000円)も、いくらを取り出す前から鮮度にこだわり、味付けから冷凍パックにするまでの時間を極限まで短縮。味が付いているので、冷蔵庫で解凍したら、即おいしいいくら丼ができるのもポイントが高いです」

【第2位】牛肉
furusato_20221122_05.jpg静岡県牧之原市『牧之原特選牛肉 牛ロースしゃぶしゃぶ肉 600g』 写真提供:静岡県牧之原市

「幅広い食材がそろうふるさと納税で、屈指の人気ジャンルが牛肉。静岡県牧之原市『牧之原特選牛肉 牛ロースしゃぶしゃぶ肉 600g』(2万円)は希少なブランド牛肉ということに加え、届くタイミングで食べ頃になるよう調整され、特別感があります。お茶の産地である静岡は水も良く、牛に飲ませる水にも気を遣うなど丁寧に育てられているので、肉質を感じやすいしゃぶしゃぶで味わってもらいたいです。

ブランド和牛では、長崎県佐世保市『S811 長崎和牛サーロインステーキ(3枚) 』(2万円)も。九十九島で育てられた長崎和牛は、サシの脂だけでなくしっかりした肉質も魅力です。また、2万円でこのクラスのサーロインでは2枚が多い中、3枚あるので、ご家族で楽しみやすいのもいいと思います」

【第1位】米
furusato_20221122_06.jpg画像素材:PIXTA

「実は “蟹・肉・米”は『ふるさと納税の三種の神器』と呼ばれるほど、根強い人気があります。物価高が家計を直撃する中、日持ちがして、ほぼ必ず消費する米は定期便を申し込む人も多いです。たくさんのブランド米がありますが、ご家庭や個人で好みの銘柄やこだわりを持つ人も少なくないと思います。

まず新潟県は、返礼品で米に力を入れている自治体が多い県の一つ。その中で選んだのが、新潟県新発田市『【令和4年産】JA北越後コシヒカリ5㎏×2袋(特別栽培米)』(1万5,000円)です。コシヒカリというと魚沼市が有名ですが、新発田市だけでなく、県内では多くの自治体が誇りを持って米作りをしています。

そして別の銘柄米からは、北海道石狩市『令和4年産【新米】 北海道産ゆめぴりか10kg』(1万7,000円)。石狩市は広大な農地があり、水質や気候の面で北海道を代表する米どころとなっています。ゆめぴりかは比較的新しい銘柄ですが、ここ10年で品種改良も進み、ブランド認知に比例して人気が高まっている印象ですね」

現地取材を重ねている嶋田さんだけに思い入れのある返礼品が多く、どのジャンルも絞り込むのに苦労していたのが印象的だった。

「実際に数多くの返礼品を取材してきましたが、農産物も加工食品も作り手の皆さんが、我が子のように丁寧に手間暇をかけて作られているものが多いです。『こんな商品があったんだ!』という発見が楽しめるのも、ふるさと納税の大きな魅力の一つ。節約にもなるので、ぜひ制度を活用してみてください」

【嶋田周一郎 プロフィール】

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「100%取材主義」を掲げるふるさと納税専門誌『ふるさと納税ニッポン!』の編集に加え、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税ニッポン!」の運営を担当。各自治体の魅力や生産者のこだわりなど、返礼品にまつわる情報を現地で取材するため日本全国を飛び回っている。

(取材・文/鍬田美穂)