「この暑い中、気の毒に」そんな風に私が同情していたのは月曜日、ポスエロ((マドリッド近郊)にある裁判所に出頭するクリスチアーノ・ロナウドが駐車場から建物に入り、脱税疑惑に対する証言後もそのまま直帰。正面玄関前にはスピーチ台まで用意されていたというのにコメントどころか、その姿も見ることができず、待ち構えていた記者200名、TVカメラ40台が無駄足を踏んだとお昼のニュースで知った時のことでした。というのも午前中はまだ、気温はそれ程ではないんですが、スペインの真夏の日差しはこの世のものとは思えない強さ。

丁度、その朝はヘタフェ(マドリッド近郊)に柴崎岳選手の練習を見に出かけた私も日焼け止めと帽子で紫外線対策はしていたものの、このまま通い続けたら、土方焼けするのは時間の問題かと。それでもトレーニングを選手やコーチの声も聞こえる距離で追えるため、まだ救いはありますが、あちらは炎天下で2時間以上待機ですからね。挙句の果てに何も聞けない、撮れないんですから、いえ、「Si no me llamara Cristiano Ronaldo no estaria aqui/シー・ノ・メ・ジャマラ・クリスティアーノ・ロナウド・ノー・エスタリア・アキー(自分がクリスチアーノ・ロナウドという名でなければ、ここにいなかっただろう)」というのはマスコミが漏れ聞いた、当人の裁判官への返答の一節だそうですけどね。まさにそれって、待ちぼうけを喰らった取材陣の方が言いたかったかも。

まあ、その辺はロナウドも予想通り、2011年から2014年の間の自身の肖像権収入をタックスヘーブンの会社に移し、1470万ユーロ(約19億円)の脱税を図ったと言われても、それは2004年から同じでイギリスでは合法、脱税の意図はないと嫌疑を否認していますし、とにかく裁判沙汰ですから、決着するのにかかる時間も年単位ですからね。今は置いておくとして、先にマイアミでの今季最初のクラシコ(伝統の一戦)がどうだったか、お話しすることにすると。うーん、そのロナウドと足首をネンザしたクロースを除き、ベストメンバーでスタートしたレアル・マドリーでしたが、もしかして、これまでのプレシーズンマッチ2試合を右耳の具合が良くなく、欠場していたセルヒオ・ラモスがいきなり先発したのがマズかったんですかね。

前半3分、自陣近くでラモスがメッシを逃すと、相手がボールを持ち込んでシュート。これがバランに当たってGKケイロル・ナバスの頭上を越え、早速先制点を奪われているのですから、たまったもんじゃありません。そしてマドリー守備陣の不手際は7分にもリピートされ、今度はネイマールのパスをルイス・スアレスはスルーしたものの、フリーのラキティッチに決められているって、まさに「Esto significa que falto concentracion/エストー・シグニフィカ・ケ・ファルトー・コンセントラシオン(これは集中力が欠如していたことを意味している)」というジダン監督の言葉通りじゃないですか。

ただ、まだ練習を開始して2週間そこそこのため、バルサの方も全てが完璧という訳ではなく、14分には伏兵、コバチッチがドリブルで数人かわしてエリア前からシュートを決め、マドリーは追い上げを開始。更に36分にはその日、イスコに代わってスタメンに入っていたアセンシオにラストパスを送り、2点目のアシストもしているんですから、実はこっそり成長を遂げていた?これでハーフタイム前に2-2とスコアをタイにした彼らでしたが、後半5分、CBがラモスとバランからナチョとバジェホに代わっていたせいもあったんでしょうかね。セットプレー時のマークが全然なっておらず、ネイマールのFKをピケに楽々シュートされ、勝ち越し点を奪われるとはこれ如何に。

結局、その1点が返せずにマドリーは2-3で敗北。おかげでバルサはインターナショナル・チャンピオンズカップ(夏に行われる国際親善大会)3連勝で優勝、逆に3連敗のマドリーは最下位というオチになったんですが、いえ、宿命のライバルのキャプテン、イニエスタがハード・ロック・スタジアムでトロフィーを掲げていたって、別に構わないんですけどね。実際、ラモスも「La Supercopa es un titulo y cuando hay un titulo de por medio cambia todo/ラ・スペルコパ・エス・ウン・ティトゥロ・イ・クアンドー・アイ・ウン・ティトゥロ・デ・ポル・メディオ・カンビア・トードー(スーパーカップはタイトルで、タイトルが懸かった時は全てが変わるからね)」と自信を見せていましたが、それってもしや、昨季も時々、あったように、集中力欠如で先制されても、最後はマドリーの伝統芸、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)が発現するから?

まあ、それは冗談ですが、公式戦なら、プレシーズンマッチ恒例の選手総取っ替えもありませんしね。この日もジダン監督はgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)だけは避けたかったか、GKナバスのみフル出場したものの、後半頭から4人、26分には6人と交代させているんですが、ただしそれは相手も同じこと。「ネイマールとユニ交換したけど、ojala sea la ultima del Barcelona, a nosotros nos quitaria un problema/オハラ・セア・ラ・ウルティマ・デル・バルセロナ、ア・ノソトロス・ノス・キタリア・ウン・プロブレマ(バルサではこれが最後だといいね。そしたらウチから問題が1つなくなる)」(ラモス)というのが近々、当人のPSG移籍が決まって、8月13、16日のスペイン・スーパーカップの時点では現実になっていることも考えられるとはいえ、マドリーも幾つか改善が必要なところがあるかと。

だってえ、この3試合で8失点もしているんですよ。ペペが契約満了でベシクタシュに移った後、今季のCBはラモス、バラン、ナチョ、バジェホで賄っていかないといけないんですが、まだ誰も満足いく働きを披露していないのが気掛かりですし、それに対して得点はたったの4。しかもカセミロ、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のオスカル、コバチッチ、アセンシオと全員、MFが決めたもので、ベイルもベンゼマもゴールがないというのはどうしたものか。ただまあ、奇遇にも当人の得点と、同日にあったフランス・スーパーカップでエムバペが火を噴かず、モナコがPSGに1-2と惜敗したのが重なって、BBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)に続くFWは彼でいいんじゃないかという意見が出て来るぐらい、アセンシオはゴールが期待できる選手なんですけどね。

それなら1億8000万ユーロ(約235億円)という超高額移籍金も節約できることですし、クラシコ翌日の日曜をオフにした後、月曜にシカゴに移動。あちらで木曜午前3時(日本時間同午前10時)キックオフとなる、アメリカ遠征最後のMSLオールスター戦を終えて帰国するチームにロナウドが合流すれば、決定力についてはまた別の話になると思いますけどね。何はともあれ、「Lo importante es estar bien el dia 8/ロ・インポルタンテ・エス・エスタル・ビエン・エル・ディア・オチョ(大事なのは8日にいい状態でいること)」とジダン監督も言っていたように、マケドニアのスコピエで開催される今季最初の公式戦、UEFAスーパーカップのマンチェスター・ユナイテッド戦までにはPK練習をよくしておくだけでなく、もっと調子全体が上がっているといいんですが。

え、バルサの方では、バルベルデ監督は「数日前と彼の立場は同じ。Espero que siga asi/エスペロ・ケ・シガ・アシー(このままなのを期待している)」と言っていたものの、クラシコの後、バルセロナに戻るチームメートと別れ、中国での商業イベントに向かったネイマールの移籍話題ばかりだったけど、それが飛び火して、後釜候補にアトレティコのエースの名も上がっていなかったかって?いやあ、確かにネイマールが2億2000万ユーロ(約287億円)で売れれば、契約破棄金額1億ユーロ(約131億円)のグリースマンを獲得するぐらい全然、余裕ですけどね。当人は自身のツィッターにひょうきんなビデオ(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/891600668443762688)を残し、月曜にはシメオネ監督に招集された28人のチームメートと一緒にミュンヘン入り。

ゴール日照りはそれこそ、お隣さんの比ではない彼らのため、この火曜午後5時45分(日本時間翌午前0時45分)からのアウディカップ(バイエルン主催の夏の親善大会)準決勝ナポリ戦、バイエルンかリバプールのどちらかと戦う決勝or3位決定戦でプレーする気満々のようなのは、本当にありがたいかと。2日間の連戦になるため、カンテラーノ(アトレティコBの選手)も駆り出されての大所帯で行ったチームでは、恥骨炎の手術後のリハビリ中のガメイロとU21ユーロ参加で先週、金曜に戻って来たばかりのサウルだけがお留守番。どうやら後者は若輩ながら、チームの誰より遅くプレシーズン開始となったため、バケーション中も鍛錬は怠ってなかったアピールをしたかったんでしょうかね。上半身裸でリフティングの妙技を披露するビデオ(https://twitter.com/saulniguez/status/891747940720664577)をアップしていたので、お暇な方は見てやってください。

そしてマドリッドの弟分チーム、レガネスは土曜のプレシーズンマッチ、タラベラ(2部B)戦にもルベン・ペレスとアリバスのゴールで0-2と勝って3連勝。今週は水曜にバジャドリッド、土曜に昨季はヘタフェに置いてけぼりを喰らったもう1つの弟分、ラージョとハードルを上げて、2部のチームと対戦するんですが、このプレシーズン、地元の練習場を1度も離れず、親善試合の相手も日帰りで済む近隣ばかりが選ばれている辺りを見ると、やっぱり他と比べて、かなり経費制限がかかっているような。まあ、シーズンが始まれば否応なく、アウェイ戦に行かないといけませんからね。クラブも回せるお金はできるだけ補強に充てて、1部2年目も残留をブタルケで祝いたいということでしょうか。

え、そんなレガネスでさえ、先週私が練習を見に行った折にはTVカメラが1台、記者も4、5人いたというのに月曜のヘタフェのセッションにはクラブ付カメラマン以外、ファンしかいなかったというのは悲しくないかって?いやあ、これはクラブのホームページに出る予定表(http://www.getafecf.com/PrimerEquipo/Entrenamientos.aspx)のせいもあって、当日、私が家を出る時点でも先週分のまま。直前まで「Sin confirmacion/シン・コンフィルマシオン(未定)」の場合も多いんですが、ただ、今までの私の経験と勘で、朝7時45分からなんてけったいなことをするのは練習後、土日の休みをできるだけ長くとりたい時のアトレティコぐらい。

大抵は10時とか、10時半、シーズン中などは11時ぐらいから始めるのがどこのチームでも一般的なのはわかっていましたし、別に練習全部を見る必要もありませんからね。10時半頃にメトロ(地下鉄)のLos Espartales(ロス・エスパルタレス)駅に着くようにしたら、この日は大当たり。コリセウム・アルフォンソ・ペレスの脇を通ってシウダッド・デポルティボ(練習場)に着くと丁度、ジムを終わって、グラウンドで選手たちが動き始めたところでしたっけ。

ちなみにトレーニングの方はプレシーズンらしく、ロンド(輪になって中に入った選手がボールを奪うゲーム)、ピッチを斜めに横断するランニング10本、2グループでのミニゲーム、腰をゴムで引いてもらってからミニハードル、そしてボールを持って障害を越えてシュートといった、フィジカル中心のメニューでしたが、なかなか皆ゴールにならない中、2本も続けてゴールを入れていた柴崎選手はボルダラス監督に好印象を与えられたかも。

いえ、コーチ陣には「Gaku, Gaku」とよく声をかけてもらっていたものの、まだあまりチームメートと親しく話す様子は見られなかった本人は練習後、さっさと行ってしまったため、声をかけるタイミングを逃してしまったんですけどね。監督によると、「今は選手たちに時間を配分して与える時期」とのことなので、先週あったキャンプ地オリバ(バレンシア州にあるゴルフ&ビーチリゾート)でのアルコジャノ(2部B)同様、この水曜午後7時、練習場で対戦するアトレティコ・バレアレス(2部B)との親善試合でもその雄姿が見られる可能性は高いかと。

しかもその試合、入場自由でタダと言われれば、もう見に行くしかないかと思いますが、今の時期、スペインのこの時間はまだ日が高く、気温も36度とかになるため、飲料水は必須。日影があるのかも不明なので、観戦するだけで相当、体力の消耗を覚悟しないといけません。ちなみにその日は丁度、練習の後、またしてもファイサル(デポルから移籍のMF)、ジェネ(同アルコルコン、昨季はベルギーでプレーしていたDF)、そしてアトレティコから2度目のレンタルとなるCBベラスケスの集団プレゼンがあったおかげで、プレスルームで涼めた私でしたが、スポーツディレクターのラモン・プラネス氏の話ではクラブはあと2、3人、アタッカーを補強する予定だとか。

マドリーのボルハ・マジョラル(昨季はボルフスブルクにレンタル移籍)なども候補に入っているようですが、柴崎選手のライバルになるトップ下系のプレーヤーも来るのかはまだ不明。まあ、どちらにしろ、チームにはパチェコやポルティージョら、昇格に大いに貢献したメンバーもいて、彼らは練習場やスタジアムの駐車場出口で待つファンたちから大人気。それと肩を並べるにはとにかく試合で実績を積み上げるしかありません。

そうそう、放出予定選手について話したプラネス氏は「昨季、あまり貢献できなかった選手はもう出した。Es evidente que el hecho de estar en Primera, con el nivel mas alto, haga que salgan/エス・エビデンテ・ケ・エル・エッチョー・デ・エスタル・エン・プリメラ、コン・エル・ニベル・マス・アルトー、アガ・ケ・サルガン(レベルの高い1部に上がったのだから、そうせざるを得ない)」とコメント。要はこれって、昨季の柴崎選手は2部のテネリフェでプレーしていても、1部でやれる能力があると見なされてヘタフェに迎えられたってことですから、きっと、大きな期待が懸かっていると解釈していいんですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。