2017-18シーズンのプレミアリーグが8月11日(金)に開幕を迎える。昨シーズンは、チェルシーがコンテ体制下の初年度ながらも2位のスパーズに7ポイント差をつけてプレミアリーグを制覇。欧州でのコンペティションがなかったブルーズのアドバンテージがなくなる今シーズンは、昨シーズン以上の白熱した争いが見られそうだ。

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◆守備陣大刷新で大本命〜シティ〜
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本命はグアルディオラ体制2年目のマンチェスター・シティだ。昨シーズンは高齢のバックラインが不安定だったことに加え、移籍初年度のGKブラーボが苦戦したことなどもあり3位止まり。これを受け、今夏はサバレタ、サーニャ、コラロフ、クリシの4人のサイドバックを放出し、メンディ(←モナコ)、ウォーカー(←スパーズ)、ダニーロ(←レアル・マドリー)、GKエデルソン(←ベンフィカ)の4選手を総額1億6000万ユーロ(約209億円)を費やして“防衛力”を高めた。プレシーズン中に採用していた3バックならウォーカーが右、メンディが左のウイングバックとなる見込みだが、両サイドに加えて中盤センターもこなせるダニーロも定期的な出場機会を得ることになりそうだ。

攻撃陣もアンタッチャブルだ。将来が嘱望されるイヘアナチョをレスター・シティに放出したが、今年1月加入ながらも昨シーズンにリーグ戦10ゴール4アシストとインパクトを残したガブリエウ・ジェズスがシーズンを通して起用可能。アグエロも含めて得点が計算できるストライカー陣で、デ・ブライネ、シルバに加えて新たにプレーメーカーとしてモナコから推定移籍金5000万ユーロ(約65億3000万円)でベルナルド・シルバも補強した。選手の層、質は共にリーグ屈指。得点数、失点数ともに昨シーズンから改善されることは想像に難くない。2013-14シーズン以来となる戴冠へ態勢は整った。

◆モウ2年目で巻き返し必至〜ユナイテッド〜
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対抗は、モウリーニョの2年目で昨季6位からの巻き返しが予想されるマンチェスター・ユナイテッドだ。同監督は過去、ポルト、チェルシー(第1期と第2期)、インテル、レアル・マドリーのすべてで2年目にリーグ制覇を達成している。就任から1年が経ち、選手の特徴把握、戦術の浸透、1年目を受けての的確な補強などがその要因だ。

的確な補強という観点では今夏ここまで、リンデロフ、マティッチ、ルカクの3選手を補強。バイリー以外のメンバーが質を欠いていたセンターバックと、キャリックに取って代われるセントラルMF、イブラヒモビッチが抜けたストライカーとウィークポイントのポジションをきっちりと補強した。ペリシッチの獲得には失敗したものの、移籍市場閉幕までにウインガーを確保できれば盤石だ。プレシーズンを見る限りルカクはすんなりフィットしそうで、チェルシーで2度の優勝を経験しているマティッチも適応に心配はない。ラッシュフォードのさらなる成長とマルシャルの復活があればさらにプラスで、ライバルのシティと差のない優勝候補だ。

◆リーグ随一の完成度〜スパーズ〜
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3番手にはスパーズを挙げる。昨シーズンは最後までチェルシーに食らいつく戦いぶり。得失点差では8ポイントも上回っており、ポチェッティーノ体制4年目となるチームの完成度はプレミアリーグNO.1といっても差し支えない。

3シーズン連続でプレミア20得点を記録しているケイン、世界屈指のプレーメーカーで名フリーキッカーのエリクセン、覚醒した感のあるソン・フンミン、市場価格2億ユーロまで評価を高めてきたデレ・アリ、重厚な守備でバイタルを守るワニャマ、移籍が噂されながらも残留濃厚となったダイアー、抜群の補完性を誇るアルデルヴァイレルト&ヴェルトンゲンら個人能力の高い選手たちがポチェッティーノの下でユニットとして機能しており、1960-61シーズン以来となる悲願の優勝の可能性も十分だ。

それだけに補強策が難しく、実際に今夏ここまで獲得選手なし。中途半端なクオリティの選手を獲得しても、なかなか現在のレギュラー陣に組み込みづらい状況だからだ。それでも、ウォーカーを放出した右サイドバックはトリッピアーに頼りきりになるのは心もとなく、手を加えたい。そして、優勝に向けての障壁になる可能性があるのが、新スタジアム以降のためにウェンブリーがホームとなること。昨季はラストシーズンのホワイト・ハート・レーンで17勝2分け無敗としていただけに、この数字にウェンブリーでどこまで近づけることができるかがカギとなる。

◆ルーニー帰還&充実メンバーで注目〜エバートン〜
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エバートンも面白い。何といっても注目は、13年ぶりに古巣に復帰したルーニーの存在。心のクラブで新たなモチベーションを得た元悪童に以前のような活気が戻れば、一定の得点数とアシストだけでなく、チームの精神的支柱として躍進の立役者となってもおかしくない。

ルーニーだけでなく、主力のメンバーも豪華。新戦力ではイングランド代表の若手GKピックフォード、昨季にバーンリーで評価を高めたマイケル・キーン、バルサから万能型アタッカーのサンドロ・ラミレス、昨季アヤックスで20得点のクラーセンらを補強。ベインズやバリーといったベテランのほかにも、シュナイデルラン、コールマン、ミララスなど多士済々だ。その中でも、昨季ブレイクした19歳のセントラルMFトム・デイビスは引き続き要注目。攻守にダイナミズムを生み出すプレーヤーで、エバートンが躍進した際にはその象徴の1人となり得る逸材だ。

◆CLとの並行に不安〜チェルシー〜
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昨季王者のチェルシーは評価を落とした。昨季終了後にはコンテとジエゴ・コスタの関係悪化が露わとなり、同選手は移籍が濃厚となっている。それを受け、DFを背負えるストライカーであるルカクの獲得を目指しているとみられていたが、ものの見事にユナイテッドに掻っ攫われてしまった。その結果、ストライカーの補強はルカクとは違うタイプのモラタに。市場に出ている中で最高級の選手だったため獲得した感もあり、咄嗟の方向転換に対してコンテがいかに同選手をチームにハメ込むことができるかがチームの浮沈を左右しそうだ。

4番手評価に落とした理由はそれだけではなく、チャンピオンズリーグ(CL)の並行と、二足の草鞋を履くだけの選手層があるのかどうか疑問だからだ。昨季にほとんどローテーションしなかったチームだけに、ここのCLの戦いが加わるとなるとスカッドを増大させなければならない。しかし、モナコからバカヨコを獲得した一方でマティッチを放出。ウイングバックのモーゼス、マルコス・アロンソに代わるレギュラー級の選手も獲得できていない。2連覇とCLでの勝ち抜きを本気で狙うのならば、移籍市場閉鎖までにこのあたりの補強を行いたいところだ。

◆3バック本格採用も守備陣に不安〜アーセナル〜
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昨季5位でCL出場記録が19シーズンで途絶えたアーセナルは、退任も噂されたヴェンゲルが2年の契約延長となった。プレシーズンを見る限り、今シーズンも昨シーズン終盤から採用し始めた3バックシステムで開幕から戦うことが濃厚だ。

しかし、ヴェンゲルは相変わらず守備陣の補強に着手しない。クラブ歴代最高額で獲得したのは、ストライカーのラカゼット。もちろん、決して悪い補強ではないが、3バックを採用するならばコシエルニー以外にシーズンを通して計算できるセンターバックの補強が必要となるはずだ。メルテザッカーは年齢、ホールディングもまだまだ若手、モンレアルは純粋なセンターバックではない。エジルとサンチェス抜きで臨んだコミュニティシールドはチェルシーを下して優勝したが、日程面で苦しくなるヨーロッパリーグの参戦もあり、シーズンに向けて楽観視できる状況ではない。

◆コウチーニョOutなら厳しいか〜リバプール〜
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昨季4位のリバプールは今夏、クロップが熱望したと言われる新戦力のサラーを獲得。プレシーズン中から調子の良さをアピールしているサラーは、すんなりフィットしそうで、サディオ・マネとともに強力なサイド攻撃を仕掛けられるはずだ。フィルミノ、サラー、S・マネの3トップはどんな守備陣でも蹂躙できるユニットと言える。懸念はウイングだけでなくインサイドハーフとしても起用できるコウチーニョ。同選手が噂されるバルセロナ移籍が実現するとなれば、それなりの代役を確保することが必須だ。あとは、ライバルクラブに比べてネームバリューで劣る守備陣がどこまで踏ん張れるかだろう。

◆セインツ、レスターはEL狙い〜そのほかのチーム〜
そのほかのクラブは、上述チームから少し離れた2番手集団となる。吉田所属のサウサンプトンは大きな戦力ダウンこそないものの補強が進んでおらず、狙いはヨーロッパリーグ圏内。レスター・シティはシティから獲得したイヘアナチョに期待で、ヴァーディに加えてマフレズが残留すれば降格の心配はないだろう。

昇格組はチャンピオンシップを制したニューカッスルと2位のブライトン、昇格プレーオフを勝ち抜いて初のプレミア昇格を果たしたハダーズフィールドの3チーム。この中では、シェルヴェイ、アヨセ・ペレスらを擁するニューカッスルに注目。知将ベニテスが上位チームを困らせる策を施すシーンも何度が見ることができそうだ。