ナイジェリア代表MFジョン・オビ・ミケルがアルゼンチン代表戦の数時間前に父親の誘拐を知らされた状態でプレーしていたことを明かした。イギリス『ガーディアン』が伝えている。

今回のロシア・ワールドカップ(W杯)でグループDに所属したナイジェリアは1勝2敗でグループ最下位で今大会を終えることになった。ただ、1勝1敗で迎えたグループ最終節のアルゼンチン戦では自力での突破の可能性があった中、終盤の痛恨被弾によって1-2で敗戦していた。

同国代表でキャプテンを務めグループ全試合に出場したミケルは、この最終節のアルゼンチン戦を難しい精神状況で戦ったことを明かした。

『ガーディアン』が伝えるところによれば、ミケルはアルゼンチン戦に向けて試合会場に向かうチームバスの中で家族から父親が誘拐されたことを知らされたという。

そして、家族から誘拐犯に直接電話をすることを指示され、そこで身代金に関する交渉を行ったという。さらに、犯人サイドから警察への通報を含め、周囲に誘拐の事実を伝えた場合、すぐに父親を殺害すると脅しをかけられていたようだ。そのため、ミケルは監督やチームメート、ナイジェリアサッカー協会に父親の誘拐を伏せた状態でアルゼンチン戦をプレーすることになった。

「僕は父親が誘拐されている中であの試合をプレーした。あのときはトラウマに打ち勝つ必要があった。試合開始の4時間前に何が起きたかを電話を通じて知った」

「精神的にとても難しい状況で自分がアルゼンチン戦でプレーできる状態であるか、自ら判断を下す必要があった。とても混乱していたし、どうすべきか本当にわからなかった。だけど、最終的にナイジェリア国民を失望させることはできないと思った」

「監督や協会のスタッフにも伝えることができず、家族と近しい友人だけが誘拐の事実を知っていた。もちろん、犯人側から当局や周囲に伝えた場合、父親をすぐに撃つと脅されていた。同時にこの重要な試合を前に自分の家族の問題がチームに負担をかけることを望まなかった」

なお、2011年にも誘拐事件に巻き込まれた経験のあるミケルの父親だが、幸いにも拷問によるケガを負ったものの今月2日に解放されたという。

「幸いなことに父は月曜日(2日)の午後に無事解放された。警察を始め父親の救出活動に関わったすべての関係者や家族を支えてくれた友人や親戚に感謝したい」

「残念なことに父は拘束中に受けた拷問によってケガをしており、今は病院に入院中なんだ」

アルゼンチン戦ではチームを勝利に導くことができなかったミケルだが、父親の命が危険に晒されている、厳しい精神状態を周囲に悟らすことなくプレーしたその精神力は驚くべきものだ。