ヴィッセル神戸の“バルセロナ化”が止まらない。欧州の超名門バルセロナとの契約を解除したスペイン人MFセルジ・サンペールが7日、神戸に入団。同日に東京都内某所で会見も開かれ、出席したサンペールの背番号は「6」に決まり、神戸のプロジェクト成就に尽力することを誓った。

6歳からバルセロナのカンテラで哲学を学び、屈指の才能として注目を集めたサンペール。度重なる負傷や選手層もあり、プロキャリアとしての実績は乏しいものの、“バルセロナ化”を推し進める上でこの上ない人材。24歳という年齢を考えても、神戸の長期的なプロジェクトに合致する。

◆プラスに働いた外国人枠問題
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神戸は現在、韓国代表GKキム・スンギュ、ブラジル人DFダンクレー、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ、元同代表FWダビド・ビジャ、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ、ブラジル人FWウェリントンが在籍。サンペールは7名目の助っ人となる。

昨年までなら、この状況は完全にアウトだ。ただ、今年からA契約の25名枠内における選手登録数は無制限となり、試合エントリー数や同時出場可能数も従来の「3+1(アジア枠)」→「5(Jリーグ提携国枠除く)」に。さらに、アジア枠という制限もなくなり、この変更もかなり大きい。

例として、従来ならばブラジル人選手を同時起用する場合、3名までが限界。残る1名はAFC(アジアサッカー連盟)加盟国の選手だった。それがアジア枠の撤廃により、今年から最大5名のブラジル人選手を同時起用が可能。これは神戸にとって、“バルセロナ化”を加速させる画期的なルール改定であり、プラスに大きく働いた。

◆気になる外国人枠5名の顔ぶれ
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そこで、気になるのが先発する5名の外国人の顔ぶれだ。現状、ルーカス・ポドルスキ、ダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタの年俸総額約41億円の“VIIP”トリオは“バルセロナ化”プロジェクトにおいて絶対的な選手であり、簡単には外せない。つまり、あと2つの外国人枠が論点となる。

今冬加入したダンクレーは、合流4日目ながら先のホームで行われたJリーグ第2節のサガン鳥栖戦でセンターバックの一角として“大当たり”助っ人の予感を漂わせる上々デビュー。また、現役韓国代表のキム・スンギュも近年の神戸で絶対守護神の地位を確立しており、不用意に外すことはできない。

とはいえ、サンペールが11名の中に加わるとなれば、この2名のいずれかが外れることになるだろう。その筆頭は現時点でキム・スンギュか。ビルドアップ能力に秀でたGK前川黛也の存在を考えると、他クラブからすると勿体ないが、キム・スンギュがサンペールに弾き出されてしまう可能性は少なくない。

また、ダンクレーに関しては鳥栖戦で守備だけでなく、フィード能力の異質な才能も披露。これは“バルセロナ化”の根幹“試合支配”のスタイルを目指すチームにとって欠かせない。加えて、前がかりになりがちなチームスタイル故、1人でも凌ぎ切れるダンクレーの対人能力も魅力的に映る。

◆サンペール加入で山口蛍も生きる
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そういった点を踏まえると、サンペール起用の場合、残る助っ人はルーカス・ポドルスキ、ダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタ、ダンクレー。かつて“ブスケッツの後継者”として脚光を浴びたサンペールにアンカーを務めさせ、MF山口蛍に1列前で動いてもらうのが得策だろう。

その方が山口にとってもより能力を発揮できると思う。山口は昨年、1位のインターセプト回数(30回)を記録したJリーグトップのボールハンター。運動量も申し分なく、猟犬の如く中盤のスペースケアを担わせた方がより怖さが出てくる。実際、ファン・マヌエル・リージョ監督は開幕戦でMF三原雅俊をアンカーに置いた。

また、山口がインサイドハーフに入れば、コンビを組む“バルセロナ化の体現者”アンドレス・イニエスタの守備負担を減らして、より攻撃に集中させるという大きな相乗効果も期待できる。Jリーグ史上最高クラスの陣容をリージョ監督がどう料理するのか。注目だ。
《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》