2020-21シーズンのプレミアリーグが9月12日(土)に開幕を迎える。昨季は新型コロナウイルスによる前代未聞のシーズンとなった中で、リバプールが30年越しとなる悲願のリーグ優勝を果たした。

◆目指すは三冠! 現状維持でどこまでいけるか〜リバプール〜Getty Images
ここ2シーズンでチャンピオンズリーグ(CL)とプレミアリーグを制覇し、世界の頂点に立ったリバプール。昨季のプレミアリーグでは開幕から連勝の山を築き、前半戦終了時点でほとんど決着は付いていた。残念ながら無敗優勝とはいかなかったものの、就任5年目でクロップ監督はチームの完成形を作り上げた。

そして、今季目指すは98-99シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来となるイングランド勢による三冠、または18-19シーズンにマンチェスター・シティが初めて達成した国内三冠か。いずれにしても複数のタイトル獲得が目標となってくるはずだ。

だが、そのために今夏の移籍市場で補強した選手は左サイドバックのDFコンスタンティノス・ツィミカスのみ。この選手もDFロバートソンのバックアッパーの役回りとなる見込みで、スタメンに入るような即戦力は今のところ獲得していない。

それでも現状の強力なメンバーに加え、昨シーズンに台頭したMFカーティス・ジョーンズやDFネコ・ウィリアムズ、さらには1月のスウォンジー移籍から半シーズンで10ゴールを挙げたFWライアン・ブリュースターら若手が偉大な先輩たちをサポート。また、日本人目線としては2年目の南野拓実の活躍も大いに期待したいところだ。

◆不安の守備に実力者を補強! 退団シルバの後継者は誰に?〜マンチェスター・シティ〜Getty Images
昨シーズンは守備に不測の事態が起こり、リバプールと大きく水をあけられる結果となったシティ。センターバックに故障者が相次ぎ、連覇達成の前シーズンから失点を大きく増やしてしまった。

今夏はそれを踏まえてボーンマスからDFナタン・アケを獲得。元チェルシーの左ききセンターバックはプレミアリーグでは146試合の出場経験があり、実力は申し分ない。

前線にはFWフェラン・トーレスをバレンシアから補強。昨季はラ・リーガで34試合に出場し4ゴール5アシストと上々の成績を残した。また、弱冠20歳という年齢を考えると、まだまだ伸び代は無限。同胞のグアルディオラ監督の下でどこまで化けるか楽しみな選手だ。

ここまで主な補強はこの2人にとどめているシティだが、一方で長年チームを支えてきたMFシルバとFWザネが退団。現状のスカッドで十分優勝は狙えるだろうが、シルバという主柱を失った影響は懸念すべきかもしれない。

◆復活目前の名門、屈指の中盤で優勝争いに絡めるか〜マンチェスター・ユナイテッド〜Getty Images
昨季は後半戦からの巻き返しにより、見事に3位フィニッシュとなったユナイテッド。その原動力となったのは言わずもがなMFブルーノ・フェルナンデスだった。このポルトガル代表MFが冬に加入したことにより、中盤で規律が取れた赤い悪魔は変貌を遂げ、燻っていた攻撃陣も復活。個人的には加入後のリーグ戦14試合で8ゴール7アシストの成績を収め、一気にオールド・トラフォードでの地位を確立した。

そのブルーノ・フェルナンデスが開幕から戦えるだけでも心強いが、今夏の移籍市場ではMFドニー・ファン・デ・ベークをアヤックスから獲得。バルセロナも獲得に動いたというオランダ代表MFは、23歳ながらアヤックスでは公式戦175試合に出場し41ゴール34アシストを記録していた。

チャンピオンズリーグなどの国際経験も豊富で、ブルーノ・フェルナンデスに加え、昨季終盤に調子を上げてきたMFポグバも並んだ中盤はプレミアでも屈指の強力な陣容となりそうだ。

◆稀に見る大型補強で豪華スカッドが完成! 指揮官の手腕が試されるシーズンに〜チェルシー〜Getty Images
控えめな夏を過ごす昨季の上位3チームに対して、稀に見る大型補強に打って出たチェルシー。ランパード監督就任1年目の昨季は下馬評に反して4位フィニッシュという好成績を収めた。

そして2年目を迎える今夏、FWティモ・ヴェルナー、MFハキム・ツィエク、MFカイ・ハフェルツ、DFベン・チルウェル、DFチアゴ・シウバといった折り紙付きの実力者を次々と補強。一気に世界レベルの陣容を揃えた。

中でも合流が早かったヴェルナーとツィエクは実戦デビューも果たしており、ツィエクの御膳立てからヴェルナーがゴールという新たなホットラインも垣間見た。上手くピースが噛み合えば優勝も現実のものになりうるが、レスター・シティから獲得したチルウェルを除けばほとんどがプレミア初挑戦。ブライトンとの親善試合で早くもツィエクが負傷しており、未知数であることは否めない。

また、ランパード監督の手腕もまだまだ荒削りな部分が多く、新加入の選手たちは挙って指揮官の評価を口にするも、上手く手綱を握り続けられるかどうかは蓋を開けてみないとわからない。

◆実力者加入で指揮官の戦術の幅が広がる〜アーセナル〜Getty Images
昨季は失意の8位に終わったアーセナルだが、智将グアルディオラの下で経験を積み、チームの指揮を託されたレジェンドのアルテタ監督は新シーズンに向けて確かな下地を築いた。

5年ぶりのトップ4入りへ、今夏にはらしい補強を見せている。ブラジル人DFガブリエウや昨夏の時点でサインしていたDFウィリアム・サリバなど将来性のある若手が到着した一方、DFセドリック・ソアレスやDFパブロ・マリら定評のある中堅も補強。そして一番の目玉となったのがチェルシーから加入したウィリアンだ。

チェルシーではプレミアリーグやヨーロッパリーグ優勝を経験し、豊富なキャリアを持つ屈指のドリブラーは昨シーズン限りで契約満了に。しばらく延長交渉が続いていたが、クラブ側と折り合いがつかず袂を分かつことになった。アルテタ監督も「信じられないクオリティ」と舌を巻くウィリアンをフリーで獲得出来たことは何よりも大きく、一段と上位を狙えるスカッドが仕上がった。

◆的確補強で準備万端! モウ、2年目で本領発揮なるか〜トッテナム〜Getty Images
モウリーニョ体勢2年目を迎えるトッテナム。昨季は殊勲のポチェッティーノ監督を解任し、スペシャル・ワンにその後任を任せたが、決して好転したとは言えないものだった。

FWケインやFWソン・フンミンの負傷離脱の影響は大きく、モウリーニョ就任後もすぐには立て直すことは出来なかった。だが、コロナによる中断期間が訪れるとこれが転機に。離脱していた選手たちが復帰し、リーグ戦再開後は5勝3分け1敗という好成績で巻き返し6位に浮上。ELの予選参加権を得ることになった。

そして、今夏の移籍市場ではDFドハーティやMFホイビュルク、GKハートなどを獲得し的確に弱点を補強。準備万端のスカッドを擁した2年目のモウリーニョが本領を発揮するか。

◆台風の目になるのは?〜エバートン、リーズ〜Getty Images
昨シーズンに上位争いを演じたウィルバーハンプトンやシェフィールド・ユナイテッド、そしてレスター・シティも新シーズンを楽しませてくれるに違いないが、今回取り上げたいのはエバートンとリーズ・ユナイテッドだ。

エバートンは近年は毎年のように期待の膨らむ補強を行っているが今年も例外ではない。ここまでワトフォードからMFドゥクレ、ナポリからMFアランといった実力者を獲得しているが、何と言っても注目はMFハメス・ロドリゲスだ。レアル・マドリーであぶれていたところを恩師のアンチェロッティ監督が救いの手を差し伸べ、この度3度目のタッグが実現した。

スーパースターの加入でエバートン界隈は盛り上がっており、商業面では早くも大きな影響が現れているようだ。一方で初挑戦となるプレミアの舞台ではどんなプレーを披露してくれるのだろうか。指揮官とスカッド、どちらをとってもこれまで以上に期待できるチームが仕上がっている。

そして、昨季までのウルブスやブレイズのようにプレミアリーグをかき回してくれそうなのが鬼才・ビエルサ率いるリーズだ。チャンピオンシップで優勝し、17年ぶりの昇格となったホワイツ。今夏の移籍市場では惜しみなく資金を投下し、バレンシアからFWロドリゴ・モレノ、ウルブスからFWエウデル・コスタ、フライブルクからDFロビン・コッホらを獲得。先日にはビエルサ監督との契約を1年延長し、準備を整えた。

あらゆる戦術を駆使した大物食いに期待が高まる中、開幕戦ではいきなり王者リバプールと対戦する。初舞台となるプレミアリーグでアルゼンチン人指揮官の手腕はどこまで通用するのだろうか。