「ややこしい週だわね」そんな風に私が首を捻っていたのは火曜日、ミッドウィーク開催の試合にコパ・デル・レイとリーガが混在して、訳のわからないことになっているのに気がついた時のことでした。いやあ、大体がして、マドリッド勢1部の3チームは揃いも揃って、コパやスペイン・スーパーカップの早期敗退により、先週末の予定が空白に。アトレティコなど、バルサをPK戦で破った女子チームが土曜のレバンテとの決勝で0-3と圧勝し、初のスペイン女子スーパーカップのタイトルを獲得。このところ、男子チームが縁遠くなっているネプトゥーノ(アトレティコが優勝を祝うマドリッド市内の広場)でトロフィーを囲んで記念撮影しているのを見せつけられたりしたんですが、所詮、自業自得ですからね。

それでも2部以下のマドリッド勢の弟分チームたちは週末、コパ32強対決でそれぞれ健闘して、いえ、ホームのエスタディオ・フェルナンド・トーレスの除雪が間に合わず、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設のグラウンドを借りて、レバンテと対戦したフエンラブラダはアトレティコBからレンタル移籍ほやほやのボルハ・ガルセスのゴールで1-1とし、延長戦まで粘ったんですけどね。最後はPK戦で2-4と負けてしまい、兄貴分の厚意により、ブタルケではなく、ワンダ・メトロポリターノでセビージャと戦ったレガネスもスコアレスドローで突入した延長戦前半早々、オリベル・トーレスのロングパスに抜け出したオカンポスにゴールを喰らい、0-1で敗退。フル出場した柴崎岳選手も頑張っていたんですが、敵もさるもの、先週火曜、零下7℃でのアトレティコ戦より、その日は零度ぐらいと暖かったのも良かったのか、ワンダで2連敗とはなりませんでしたっけ。

え、日曜にはやはり、ホームのサント・ドミンゴの凍結したピッチ整備が間に合わず、ラス・ロサスでバレンシアと対戦。0-2と比較的あっさり負けてしまったアルコルコンを含め、結局、マドリッド勢4チーム中、3チームはサッカー協会施設でコパを開催したのかって?その通りなんですが、とにかく手際が悪かったのがラージョで、何せ、前日になって、エスタディオ・バジェカスの除雪が不可能であることにやっと気づき、急遽、練習場で試合を開催しようと人出をそちらに回したものの、時すでに遅し。土曜正午から、午後2時にキックオフを遅らせたぐらいではとても間に合わず、最後はサッカー協会に泣きついて、アルコルコンの後、午後10時から、ラス・ロサスを使わせてもらうって、これじゃ相手のエルチェもいい迷惑だったかと。

おかげで早い時間に練習場に集合、試合会場とキックオフタイムが決まるのを待たされたラージョの選手たちにはあまりにヒマがありすぎたんですかね。リーガ前節、大雪の中、ミランデス戦のため、バスでマドリッドを出発した結果、車内に飲まず食わずで5時間も閉じ込められたことや、引き返して午前2時に着いた練習場から、各自が帰宅する手段が用意されていなかったこと。更にコロナ不況の影響による給料遅延など、諸々の問題について、クラブへ抗議文を作成、公開していましたが、試合ではベベとカテナのゴールで2-0と1部のエルチェに勝っているのですから、見上げたプロ意識じゃないですか。

よって、マドリッド2部チームの16強入りはラージョだけとなったんですが、いやあ、まさか、そこに2部Bのナバルカルネーロがご一緒することになるとは!ええ、2回戦で2部のラス・パルマスを破った彼らは、とうとう1部チームと戦えるとあって、ホームのマリアーノ・ゴンサレスを粛々と除雪。土曜のエイバル戦に間に合わせただけでなく、いえ、相手はこの前のラウンドでもマドリッドの2部Bチーム、ラス・ロサスに2-2に追いつかれ、かろうじて延長戦で勝ち抜けるという、危うさを見せていたんですけどね。今回も再び、武藤嘉紀選手が先制ゴールを挙げたものの、その後、3失点して、最後は3-1で敗退しているんですから、ビックリしたの何のって。

おかげで1月最後のミッドウィークにはまた1部チームと、マドリッドの2部Bチームの特権でスタンドにファンを入れて戦えることとなったナバルカルネーロですが、選手たちが希望している相手はバルサなのだとか。確かに近場の大先輩、レアル・マドリーの弟分、RMカスティージャとは2部Bの同じグループにいて、順位も彼らの方が3位と1つ上ですし、コパだけにうっかり、ジダン監督にカンテラーノ(ユースチームの選手)を並べられてしまった日には全然、特別感がありませんからね。バルサもレギュラーを使ってこないかもしれないというのは同じですが、向こうは日曜にスペイン・スーパーカップ決勝で後半終了間際に追いつかれ、準決勝のレアル・ソシエダ戦に続いて、延長戦に突入。

最後はウィリアムスのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)で2-3と負け、今季最初のトロフィーをアスレティックに鼻先で持って行かれたとなると、クーマン監督もリーガでは現在3位という事情もありますからね。決して今季のコパを軽く見て、来季のスペイン・スーパーカップでのリベンジ権を逃すようなことはしたくないかと思いますが、さて。どちらにしろ、バルサもスペイン・スーパーカップ参加組として、1、2回戦免除の後、初めて参戦する今週木曜の32強対決、アトレティコがコパ2回戦で負けたコルネジャ(2部B)に勝たないと、今週金曜の抽選会でナバルカルネーロと肩を並べることはできないんですけどね。スーパーカップ決勝でビジャリブレの頭を叩き、一発退場したメッシは、今季からの規則改定により、どの大会かを問わずに消化することになった2試合の出場停止処分を受けたため、コルネジャ戦には出られません。

そして同じ木曜には、この状況下ですから、やはりバルサを破った2019年のように祝勝パレードこそ、なかったものの、ビルバオ(スペイン北部)の市役所表敬訪問など、昨季のコパ決勝をレアル・ソシエダとプレーする前にスペイン・スーパーカップ戴冠を満喫したアスレティックもイビサと対戦。一方、水曜開催コパ組ではヘタフェを敗退に追い込んだコルドバと顔を合わすレアル・ソシエダと共に、マドリーがアルコジャーノ戦に挑むんですが、どうやら現在、アルコイ(スペイン南部、アルコジャーノのホームタウン)はコロナ感染者急増による厳戒体制にあるため、せっかくの大物チーム来訪にも関わらず、スタンドに観客を入れることはできないのだとか。当日移動するジダン監督のチームを見に滞在先ホテルや、午後9時(日本時間翌午前5時)からのキックオフ前、スタジアム近辺にも詰めかけないよう、住民は勧告されています。

この試合、スペイン・スーパーカップ準決勝でヒザを痛めたセルヒオ・ラモス、打撲のバラン、そしてリーガでの負傷が完治していないカルバハルを始め、モドリッチは休養と少々、マドリーもメンバーを落としての遠征なんですが、やはり今、一番尾を引いているのは、アスレティックにもあと1点が足らずに及ばなかったゴール欠乏症の攻撃陣から、先週、ヨビッチが古巣のアイントラハト・フランクフルトへレンタル移籍。再デビューとなったシャルケ戦に途中出場して、いきなり2得点と決定力を取り戻していたことだったかと。いえ、ジダン監督に言わせると、「時には外に出て実力を示さないといけないこともある。それがヨビッチのケース。Aquí siempre hay una competencia muy fuerte, pero la culpa de eso no la tiene el entrenador/アキー・シエンプレ・アイ・ウナ・コンペテンシア・ムイ・フエルテ、ペロ・ラ・クルパ・デ・エソ・ノー・ラ・ティエネ・エル・エントレナドール(ここには常に激しい競争があるが、それは監督のせいではない)」そうなんですけどね。

一応、昨季のコパではレアル・ソシエダに負けた準々決勝まで進んだマドリーなので、私も初戦から心配はしていませんが、実は他にも似たような結末になりかねない選手がいて、それは遠征リスト落ちしたウーデゴーア。スペイン・スーパーカップでも出番がなく、準決勝敗退後、ラ・ロサレダ(2部マラガのホーム)で個人練習をさせられたせいか、どうやらプレー時間を求めて、再びレンタル移籍を希望しているらしいという噂も。こういう話を聞くと、今週月曜にはとうとう、アレニャ(バルサからレンタル移籍)と一緒に入団プレゼン。今季前半にいたビジャレアルから河岸を変え、マドリッドの弟分ヘタフェで成長できれば、来季はマドリーでプレーできるかもしれない久保建英選手も前途多難だなあと思わざると得ないんですが…。

ちなみにそのヘタフェは今週、マドリーと同じ水曜午後7時(日本時間翌午前3時)から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにウエスカを迎えるリーガ19節をプレー。暴風雨フィロメナによる大雪被害を被ったマドリッド勢の1つである彼らも3日程前から、スタジアムの除雪を始め、前日には何とか、間に合わすことができたというのは朗報かと。土曜からセッションを再開していたボルダラス監督など、「No hemos podido trabajar con normalidad/ノー・エモス・ポディードー・トラバハル・コン・ノルマリダッド(ウチは通常通りには練習できなかった)。練習場のピッチが凍結していて、動ける場所がかなり狭かったため、予定したトレーニングができていない」と言っていたんですが、大丈夫。全然、練習できないで挑んだエルチェ戦で見事、1-3と逆転勝利を掴んだことを考えれば、却って、その方が選手たちも疲れが溜まらなくていい?

まあ、それは私の穿ち過ぎかもしれませんが、楽しみなのはデビュー戦となった前節、途中出場した久保選手がマタやアンヘルのゴールに絡んだこともあり、この試合でも出番が十分、期待できそうなこと。ボルダラス監督も「タケもアレニャも選手としての資質だけでなく、人間としても素晴らしい。Sabéis que en Getafe se valora mucho el factor humano/サベイス・ケ・エン・ヘタフェ・セ・バロラ・ムーチョ・エル・ファクトール・ウマーノ(ご存知の通り、ヘタフェでは人としてのファクターも非常に評価されるからね)」と褒めていましたしね。最下位で前節、ベティスに負けた後、監督をミチェルから、昨季エルチェをプレーオフ経由の1部昇格に導きながら、契約延長してもらえなかったパチェタ氏に代えたばかりのウエスカには岡崎慎司選手もいますし、13位に上がったとはいえ、ヘタフェもまだ降格圏とは勝ち点差4とあって、きっと熱い戦いが見られるんじゃないでしょうか。

え、それでコパもスーパーカップもこの世に存在しないが如く、孤高のリーガ首位として週末を過ごしたアトレティコはどうしているんだって?いやあ、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で雪の処理を続ける作業部隊の邪魔になりたくないのか、1日置きにワンダ・メトロポリターノと場所を取り替えて、セッションを続けているんですが、私がスタジアムに見に行った月曜にはFIFAから、残念な知らせが届くことに。ええ、FA(イングランド・サッカー協会)が課した10週間のサッカー活動禁止処分を執行一時停止にしてくれていたのが、上訴委員会で処分有効の裁定が下り、再び、トリッピアーが試合に出られなくなってしまったんですよ。

おかげで火曜のセッションから、また彼の姿が消えてしまったんですが、先週のセビージャ戦では2-0の快勝に大きく貢献してくれていましたからね。ベルサイコが元気とはいえ、とにかく今はクラブが速攻でCAS(スポーツ調停裁判所)に提出した訴えが一刻も早く、認めてもらえることを祈るばかり。何せ、木曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)からのエイバル戦では、コケも累積警告で不在になるのは、丁度、負傷のリハビリを終えたエレーラが戻って来られるため、まあ、いいんですが、前節にネンザしたエルモーソは欠場予定のよう。ここで白星を挙げれば、2位マドリーと勝ち点7差、3位バルサと10差。しかも消化試合が1つ少ないという、昨今のアトレティコでは見たことのないリーガ独走態勢となりますが、果たして、その高みに到達することはできるんでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。