「もうこれってクラスターだよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、お昼のニュースで午後9時にリーガ22節最後の試合、セルタ戦を控えたアトレティコにコロナ陽性疑いの選手が更に2人現れたことが判明。普通なら当日のお昼頃、アクティベーションの軽い練習をした後、ワンダ・メトロポリターノ近くのホテルで合宿に入るはずのところ、選手は自家用車に乗って、各々スタジアムに行くという、バルサ方式になったと聞いた時のことでした。いやあ、前節のカディス戦前にはカラスコとエルモーソが感染、今週もジョアン・フェリックスとデンベレが自宅隔離となった彼らでしたが、これだけでもう、チームの半数は抗体保持者になったことに。

ただ、実はカラスコなど、2度目の感染という噂もあり、本当の実数はわからなくて、うーん、クラブは選手たちの私生活が乱れているんじゃないかと邪推しているなんて報も一部のスポーツ紙ではあったんですけどね。でもそれもSNSの写真など、証拠はないため、他にケチつけようのない絶対首位チームに対する嫌がらせかもしれませんし、今季の開幕直前に自身も感染しているシメオネ監督などは、「ラ・リーガの行動規定通り、用心するようにはしているが、hay veces por más que te cuides te toca/アイ・ベセス・ポル・マス・ケ・テ・クイデス・テ・トカ(どんなに用心しても感染ることはある)」と諦め顔。

昨今はイギリス変異株が台頭してきているため、感染力の強いそれがチーム内クラスターを起こしているんじゃないかと、マルカ(スポーツ紙)では言っていたんですが、まったく。おかげでスペインも16日(火)までイギリス人の入国が禁止されていて、もしこの規制が延長された場合、23日(火)にワンダ・メトロポリターノでCL16強対決1stレグを戦う予定のチェルシーも来られず。そうなった際には入国規制のないルーマニアのブカレストにある、2012年EL優勝を遂げた思い出のスタデイオヌル・ナツィオナルでプレーすることを取り決めたのだとか。でもこれで3月17日の2ndレグ開催時、急ピッチでワクチン投与が進むイギリスの感染状況がすでに改善していて、スタンフォード・ブリッジでリターンマッチとなれば、どうにも不公平感が拭えない気がしないでもないんですが…。

とりあえず、今は先に土曜にプレーしたお隣さんと弟分の試合を伝えていくことにすると、アルコラスでウエスカと対戦したレアル・マドリーは開始から4分までに敵に3本もシュートを撃たれるという、波乱のスタートだったものの、幸い失点には至らず。とはいえ、自分たちもゴールを挙げることはできず、0-0のまま、後半に入ったんですが、また同じミスを犯してしまったんですよ。しかも今度はミケル・リコとラファ・ミール、2人のシュートはゴールバーが助けてくれたものの、3分には岡崎慎司選手がドリブルで上がり、左側に来たハビ・ガランへ絶妙のキラーパス。そのvolea(ボレア/ボレーシュート)がGKクルトワを破り、ウエスカの先制点となってしまったから、ビックリしたの何のって。

でもこの日のマドリーは意地を見せてくれました。ええ、10分、ベンゼマの蹴ったFKは枠に弾かれてしまったんですが、落ちてきたボールを敵DFたちより高く飛んだバランがヘッドして、早々にスコアをイーブンに。17分にはまたしても、前節のバジャドリー戦でハットトリックを挙げていたラファ・ミールに至近距離から頭で狙われ、再びリードを奪われかねなかったんですが、ここはクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で阻止。

ベンゼマもいいシュートを2本放ったんですが、GKアルバロも冴えていたため、ようやくマドリーに勝ち越し点が入ったのは39分になってからのことでした。そう、こちらもFKからのプレーで今度はクロースが上げたボールをカセミロがヘッド。それをアルバロが弾いたところに丁度よくいたバランが蹴り込んで決勝点って、え、もしやその日の午前中、いきなり左ヒザの半月板を手術したとの報が届き、6週間近く離脱することになってしまったキャプテン、セルヒオ・ラモスの守備の要役だけでなく、攻撃面でも彼が先頭に立ってくれるってこと?

ちなみにラモスのケガは昨年の代表戦以来のもので、1月のスペイン・スーパーカップ準決勝に痛み止めを打ってプレーしてから、ますます悪化。ここ3週間、6月末で終わるマドリーとの契約延長交渉が遅々として進んでいないため、他クラブからビッグオファーをもらうべく、ムリしないようにしているという心無い報道もあったりしたんですけどね。様子見療法でリハビリを続けていたものの、まったく改善の見込みが立たず、結局、24日のアタランタ戦1stレグも3月16日の2ndレグも出られないって、本当に最近の彼はCL16強対決にツキがありません。

何にしても最後は1-2の逆転勝利を収めることができたため、コロナ感染による自宅隔離から復帰して最初の試合となったジダン監督も「Hoy, de verdad, era importante ganar, con carácter/オイ、デ・ベルダッド、エラ・インポルタンテ・ガナール、コン・カラクテル(今日は本当に勝つことが大事だった。それも強い意志を持ってね)」と喜んでいたんですが、残念ながら、彼らが2位に上昇できたのは土曜の1日だけ。翌日はバルサもベティスに2-3と逆転勝ちしてしまったため、週明けにはまた3位に戻ったんですが、今週は火曜に延期されていた1節、弟分ヘタフェとのミニダービーがあるため、コパ・デル・レイ準決勝セビージャ戦1stレグを水曜に控えているライバルにリーガで差をつけるのにはいいチャンスかと。

え、それでもそのウエスカ戦では右SBのオドリオソラがふくらはぎをつって交代。その日はレバンテ戦での退場で出場停止処分だったミリトンも練習中に筋肉を痛め、マドリーは更なる人員不足に見舞われているんだろうって?その通りで、クロースも累積警告で出られないヘタフェ戦もカルバハル、ルーカス・バスケス、ベルベルデ、ロドリゴ、アザールらは休場が続き、トップチームのメンバーは背筋痛だったイスコが戻っても13人しかいないんですが、第3GKのアルトゥーベに加え、今回は余裕を持って、試合48時間前のPCR検査を受けることができた5人のカンテラーノ(RMカスティージャの選手)がヘルプとして入ることに。実際、ウエスカ戦終盤も左SBのメンディがオドリオソラの代わりに右に回ったり、その彼も代わった後はサイドアタッカーのマルビンが担当していたりと、イロイロ工夫はしていたんですが、やはりウーデゴール(アーセナルにレンタル移籍)とヨビッチ(同アイントラハト・フランクフルト)を冬の市場で出したのは先見の明に欠けていた?

一方、土曜の夜、セビージャと試合したヘタフェも比較的、拮抗していた前半は35分のオカンポスのゴールもVAR(ビデオ審判)により、ハンドを取られて認められず、両者スコアレスのまま、ハーフタイムに入ったんですけどね。後半10分、ボールを奪いに行ったジェネがそのオカンポスの足首をモロに踏んでしまい、こちらもVARの注進で退場となってしまったから、さあ大変!おまけに担架で運び出された当人が泣きながら、ロペテギ監督に「Me han destrozado la pierna/メ・アン・デストロサードー・ラ・ピエルナ(足をズタズタにされた)」と訴えたためか、両チームの監督同士で口論が始まり、喧嘩両成敗で2人共、レッドカードを受けるとは情けない。うーん、ボルダラス監督によると、「オカンポスの様子を見に行ったら、対戦相手の監督が罵られた。ケガを私のせいにして、プロとして許せない侮辱の言葉を投げかけてきた」そうですが、まあ、その時はかなり重傷に見えましたしね。

一時は足首の靭帯断裂で今季絶望なんて声も聞こえたんですが、翌日の検査でオカンポスのケガは全治4~6週間のネンザと判明。どちらにしろ、水曜にはコパのバルサ戦、来週ミッドウィークにもCLドルトムント戦と大事な試合が続くセビージャにとって、大打撃なのは確かでしょう。試合の方はここで久保建英選手がCBカバコと代わり、10人となったヘタフェは人数的劣勢を跳ね返せず。22分にはムニルに先制点を奪われると、32分のエン・ネシリのゴールはVARでオフサイドとなったものの、42分にはオカンポスと交代したパプ(この冬、アタランタから移籍)のミドルシュート、44分にも2度目の正直でエン・ネシリに3点目を決められて、最後は3-0で完敗してしまいましたっけ。

その結果、せっかく累積警告による出場停止処分が明けて、戻って来たジェネがマドリー戦に出られなくなり、何せ、最近ではアスレティック戦で5-1の大敗とか、守備崩壊もありうるヘタフェですからね。たとえ、かなり戦力減退しているとはいえ、元々、ほとんど勝ったことのない兄貴分に歯が立つのかどうか。アランバリが1試合の処分を終えて復帰、セビージャ戦ではカバコに加え、クーチョ、オリベイラら、負傷していた選手たちもプレーできるようになっていたのは朗報ですが、せっかく久保選手とアレニャの加入で2連勝した後、チームは3試合1分け2敗。再び、不調の波に襲われてしまった折りに、何とも間が悪く、マドリーにより勢いづく理由ができてしまったとなれば…。

そう、月曜の夜、3人のカンテラーノ(アトレティコBの選手)の応援を得て、こちらもベンチ入り19人と少数精鋭でセルタに挑んだアトレティコは土壇場で白星を逃してしまったんですよ。前半12分、マジョのクロスから、サビッチ、フェリペ、ヒメネスと3人もCBがいるにも関わらず、サンティ・ミナにヘッドを決められてしまった時は、何せ最近の彼らはremontada(レモンターダ/逆転勝利)も結構、披露していますからね。私もそう焦らずに様子を覗っていたところ、ハーフタイム入り直前にエースが本領を発揮。マルコス・ジョレンテが右から入れたラストパスにルイス・スアレスが突っ込んで、同点ゴールを挙げてくれるんですから、本当に有難いっちゃありません。

スアレスのご利益は後半早々、5分にも現れて、今度はコンドグビアが左サイドに送った大きなパスをロディがワンタッチでエリア内へ。バッチリ合わせた彼が勝ち越しゴールもゲットと、あっという間に逆転に成功したんですが、おそらく後半頭から、イエローカードをもらっていたフェリペを引っ込め、トレイラを投入。馴染みの4-4-2に変えてから、ほとんど苦労しないで相手を抑えていたのが、油断に繋がりましたかね。

ヒメネスのシュートもわずかに枠を外れ、ダメ押しの追加点を取れないまま、いよいよアトレティコ今季20勝目まであと少しと迫った44分、途中出場していたソラリ(アルゼンチンのラシン・クラブから移籍)からのパスを、同じくミナから代わったフェレイラ(ベンフィカから移籍)がゴール前から押し込んで、冬の補強選手2人でセルタに追いつかれてしまったのですから、詰めが甘い。いやまあ、トレイラ以降、カラスコだけは当日、抗体検査でOKが出て、ベンチにいたものの、最後まで交代選手を入れることもありませんでしたしね。シメオネ監督は「Hicimos un zoom para preparar el partido/イシモス・ウン・スーム・パラ・プレパラル・エル・パルティードー(試合の準備はズームを使ってやった)」と言っていましたが、その辺、やはりエレーラとレマルまでコロナ陽性となってしまった影響はあったかと。

実際、コパもない彼らの次の試合は土曜のグラナダ戦なので、その日、スタメンで出た選手が90分間、ヘトヘトになるまでプレーしても全然、構わないんですが、ちょっと気になるのは、コケも「Estamos permitiendo últimamente muchos goles al inicio de los partidos/エスタモス・ペルミティエンドー・ウルティマメンテ・ムーチョス・ゴーレス・アル・イニシオ・デ・ロス・パルティードス(ウチは最近、試合の序盤に沢山、失点している)」と反省していた点。確かにスアレスがいれば逆転も可能とはいえ、今季はクルトワからのサモラ(リーガで一番失点率が低いGKに与えられる賞)奪還を目指しているオブラクにもあまり迷惑はかけられませんからね。

首位の座についてまだ、お隣さんともバルサとも勝ち点差8あるんですが、もしマドリーがヘタフェに勝てば、その差は5まで縮小するってことで、いやあ、ホント、こうなるとジダン監督のチームが張り切ってプレーするだろう光景が目に浮かんでくる?そんなマドリーvsヘタフェ戦は火曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でキックオフ。今週の試合予定はあと、水曜(セビージャvsバルサ)、木曜(アスレティックvsレバンテ)にコパ準決勝1stレグがあるだけで、マドリッド勢は週末に再びリーガ戦を迎えることになりますが、また水曜まで練習休みになったアトレティコでコロナ陽性者がこれ以上、増えないことを祈っています。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。