「やっとCLが始まるのね」そんな風に私が感慨を深めていたのは月曜日、PSGの選手たちがバルセロナのホテルに到着した映像をお昼のニュースで見た時のことでした。といっても16強対決1stレグ1週目にプレーするのは、火曜にカンプ・ノウで試合をするバルサと水曜にサンチェス・ピスファンにドルトムントを迎えるセビージャ。マドリッド勢が登場するのは来週になるんですけどね。今のところ、スペイン国内の試合は無観客で、おそらくベルガモ(イタリア)でアタランタ戦に臨むレアル・マドリー、イングランドのチームが入国できないため、ブカレスト(ルーマニア)に河岸を変えてチェルシーと戦うアトレティコも同様のはずですが、あれはもう、遥か昔、1年前のことでしたかね。ワンダ・メトロポリターノを埋め尽くしたファンが割れんばかりの声援でチームを後押しして、前年度王者リバプールに見事、1-0で先勝したのは。

その後、コロナ流行第1波により、リーガやCLが中断する直前、アンフィールドでも2-3と勝利して、準々決勝に進出しながら、8月にリスボンで再開した一発勝負のファイナルエイトではライプツィヒの前にあえなく爆沈。またしてもアトレティコファンの期待を裏切ってくれたなんてこともあったんですが、今週の彼らはCLがない代わり、リーガ絶対首位復帰のための切り札を使えるんですよ。それは昨季夏のCL参加のため、今季開幕が段階的スタートとなり、延期されていた2節のレバンテ戦で、これと1月上旬、暴風雨フィロメナによる大雪により、3月10日開催となった18節のアスレティック戦は前節、セルタ戦終盤でうっかり追いつかれ、失った勝ち点2を回復するビッグチャンス。もちろん、それ以外の試合でも連勝街道を続けることが、その大前提ではあるんですが…。

まあ、先週末は順調でした。土曜午後2時という早い時間にマドリッド勢1部の先陣を切ったアトレティコはアウェイでグラナダに挑んだんですが、週中にケガをしたヒメネスが遠征に加われず、ようやくコロナ陰性となり、前日からチーム練習に加わったエルモーソがいきなり3CBの一角として、先発に復帰することに。一方、グラナダもコパ・デル・レイ準々決勝まで進んでいたせいか、ゴール供給源のソルダード、そしてコロンビア人のルイス・スアレスが負傷で休場。更にディエゴ・マルティネス監督によると、ドゥアルテ、エテキ、モントロ、ヤンヘル・エレーラ、ゴナロンスらも無理を押して出ていたせいか、前半はつつがなく、0-0で終わったんですけどね。

すると、アトレティコのウルグアイ人エース、スアレスがこの日は珍しく、シュートを失敗していたのもあったか、シメオネ監督は後半頭から、コンドグビアをベルサイコに交代。それまで右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)を務めていたマルコス・ジョレンテを前に出し、弾丸の数を増やすことに。それがドンピシャで当たったのが後半18分で、ええ、コケのパスから、敵エリア前を内側に移動した彼がシュートしたボールがGKルイ・シウバとゴールポストの狭い隙間に収まっているんですから、ビックリしたの何のって。

これにはシメオネ監督も「招集リストにすら入らなかった頃のマルコスの映像を見てもらいたいものだ。Le veíamos en los entrenamientos haciendo goles y decíamos que este chico no puede ser mediocentro/レ・ベイアモス・エン・ロス・エントレナミエントス・アシエンドー・ゴーレス・イ・デシアモス・ケ・エステ・チコ・ノー・プエデ・セル・メディオセントロ(練習でゴールを入れまくっているのを見て、彼がボランチでいるのはありえないと言っていたよ)」と、嬉しそうに話していたんですけどね。この日、今季リーガ7ゴール目を挙げたジョレンテが16得点でリーガトップに立つスアレスに続いて、チーム2番目の得点源になっているって、この辺はジョアン・フェリックスやコレアも少し見習ってくれないと。

ただ、その先制点によるリードはたった3分しか持たず、21分にはヤンヘル・エレーラのシュートがフェリペに当たってGKオブラクを破り、アトレティコは追いつかれてしまったんですけどね。その日はビトロも急性胃腸炎でベンチ入りできず、控えにはカンテラーノ(アトレティコBの選手)以外のアタッカーがいなかったシメオネ監督もセルタ戦同様、それ以上、コマを動かさなかったんですが、大丈夫。29分、ジョレンテから、折り返しのパスをもらったコレアが前に立ち塞がる敵DFをものともせずに撃ったところ、バジェホに当たり、軌道を変えたボールがゴールに入ってしまったとなれば、もしやこれぞ、suerte de campeon/スエルテ・デ・カンペオン(王者の幸運)?

そのまま、彼らは1-2で勝利を挙げ、いえ、グラナダに「Hemos competido de tú a tú/エモス・コンペティードー・デ・トゥ・ア・トゥ(ウチは互角に戦った)」(ディエゴ・マルティネス監督)と言われてしまうのはちょっと、この先、ヨーロッパの一流チームを相手にするCLが控えていることを考えると、問題がなくはないんですけどね。といっても、エルモーソやカラスコはコロナ感染明け直後でしたし、いくらこの日、クラブ歴代2位に並ぶアトレティコ公式戦483試合出場を達成したキャプテン、コケなどが、「Tenemos una gran plantilla aunque tengamos bajas/テネモス・ウナ・グラン・プランティージャ・アウンケ・テンガモス・バハス(欠場者がいてもウチの選手層はとても厚い)。誰がピッチに入っても試合を片付けることができる」と胸を張ってもそうそう、いつまでも1試合12人で乗り切る訳にはいきませんからねえ。

日曜は練習休みにした後、月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションではコロナ感染第2陣、自宅隔離10日間が過ぎたジョアン・フェリックスの復帰が期待されていたんですが、まだその姿は見られず。デンベレと共に火曜までに陰性が出れば、水曜午後7時(日本時間翌午前3時)から、シュタット・デ・バレンシアでのレバンテ戦にも間に合う可能性がありますが、さて。聞いた話では皆が皆、無症状という訳ではなく、中には熱が出た選手もいたそうなので、第3陣のレマル、エレーラも含め、週末土曜の24節レバンテ戦の後、来週火曜のチェルシー戦頃までには、すでに月曜からチーム練習に戻ったヒメネスも一緒に全員がプレーできるようになってくれるといいのですが。

まあ、そのレバンテも先週のコパ準決勝アスレティック戦1stレグまで、ずっと連戦が続いていたため、日曜のオサスナ戦ではロジェールが筋肉痛で出られず、キャプテンのモラレスもPKを失敗して、0-1で負けているというのはともかく、日曜試合となった他のマドリッド勢はどうだったかというと。それがちょっとマズいことになっているチームがあって、そう、弟分のヘタフェがまた負けてしまったんですよ。相手はレアル・ソシエダで、「Veníamos de encajar diez goles en tres partidos/ベニアモス・デ・エンカハール・ディエス・ゴーレス・エン・トレス・パルティードス(ウチは3試合で10失点していた)。彼らのせいではないが、チームは守備の堅固さを失っていた」というボルダラス監督はミッドウィークのマドリーとのミニダービー同様、アレニャ、久保建英選手をベンチスタートにし、再びトレードマークの4-4-2を採用。

そのおかげか、前半30分にスベルディアのクロスをオジャルサバルがvolea(ボレア/ボレーシュート)、ゴールバーに当たって跳ね返ったボールをイサクが押し込んだ1失点だけで済んだんですが、攻守のバランスを取るのは難しいですよねえ。満を持して、後半14分には新人2人を投入したんですが、アランバリも後で「si no pateamos al arco, va a ser imposible hacer un gol/シー・ノー・パテアモス・アル・アルコ、バ・ア・セル・インポシーブレ・アセール・ウン・ゴル(ゴールに向けてシュートしない限り、得点はできない)」と言っていた通り、枠内シュートが1本も放てず。そのまま0-1で負けてしまったから、どうしたらいいものやら。

おまけに後半ロスタイムにはボルダラス監督が、バルネチェアがドリブルしていたボールに足を出し、いえ、当人は「1度、ラインの外に出ていたから、すぐスローインするために止めようとした」と説明していましたけどね。これを妨害行為として、猛抗議したカルロス・フェルナンデスと口論になり、レッドカードを出されるって、あのお、セビージャ戦でも退場して、マドリー戦をエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)のプレスボックスで見た後、また金曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのベティス戦、ベニト・ビジャマリンのベンチにも入れないんですか?とりあえず、まだヘタフェは14位で降格圏との勝ち点差は3。その試合には守備の要であるジェネも処分が終わって戻れますが、どうにかして、ここ5試合白星なしという悪い流れを断ち切ってほしいものです。

そして続いて試合をしたのがマドリーだったんですが、いやまあ、ベルデベバス(バラハス空港の近く)でのバレンシア戦は相手に覇気が欠け、「no dábamos dos pases/ノー・ダバモス・ドス・パセス(2回のパスも続かなかった)」(ハビ・ガルシア監督)という、どこぞのチームのかつての悪癖に陥っていたせいもあったか、前半11分にはベンゼマのゴールで先制点をゲット。42分にもクロースがエリア前からシュートを叩き込み、後半、メンディのゴールはオフサイドで認められなかったとはいえ、2-0であっさり勝利したんですが、彼らの問題はいつになっても負傷禍から逃れられないこと。ええ、この日は1月2日のセルタ戦で負傷したカルバハルがようやく復帰したんですが、何と再び同じ右の太ももを痛め、前半27分、こちらもケガが治りたてのルーカス・バスケスに交代する破目になったから、さあ大変。

しかもカルバハルは前回より重傷で、全治6~8週間となれば、うーん、ルーカス・バスケスとのダブル欠場により、チャンスをもらったオドリオソラもウエスカ戦で脱落。その時はメンディを右SBに回して凌いだものの、その次のヘタフェ戦ではマルセロも負傷してしまったため、もう今週土曜のバジャドリー戦、そして来週水曜のCLアタランタ戦まで、ナチョもセルヒオ・ラモスとミリトンの離脱でCB専任となっている折、メンディとルーカス・バスケス、唯一、元気な2人のSBに何事も起こらないのを祈るばかりかと。ちなみに今季のマドリーは際立って負傷が多く、ここまで累計が40回。カルハバルを始め、アザールなど、何度もケガしている選手がいるので、凄い数字になっているんですが、比べて25回にしかならないお隣さんなど、全然いい方だった?

うーん、ディ・ステファノのスタンドで応援していたラモスも左ヒザ半月板を手術したとあって、当分、戻れませんしね。その他、ベルベルデ、ミリトン、ロドリゴと現在、8人もの負傷離脱者を抱えているとあっては、ジダン監督がカンテラーノ(RMカスティージャの選手)にヘルプを頼むのも仕方ありませんが…前節ヘタフェ戦で先発したマルビンも試合中にケガをしていて、日曜は出られなかったって、もしやマドリーでは負傷がコロナ並に伝染るんですかあ?

いえ、もちろんそんなことはなく、ジダン監督も「Tantas lesiones no son mala suerte, estamos preocupados/タンタス・レシオネス・ノー・ソン・マラ・スエルテ、エスタモス・プレオクパードス(これだけの負傷者発生は運が悪いからじゃない。心配している)」と言っていたんですけどね。ただ、今年になって、コパ勝ち抜けで試合数が多くなったチームとは違い、マドリーはスペイン・スーパーカップにも準決勝敗退と、アトレティコ同様、ほとんど週1ペースでしたし、来週のCLが済めば、また余裕日程に戻りますからね。3月16日のアタランタ戦2ndレグまでには何人か、復帰してくる選手もいるんじゃないかと思いますが、こればっかりはねえ。何はともあれ、当面の課題は、ミッドウィークのリーガ戦でアトレティコが勝ち点差を8に増やさないことを願いつつ、リーガ首位決戦となる7日のマドリーダービーまで、現存戦力で乗り切っていくことになりましょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。