「とても視聴率は取れそうにない時間帯ね」そんな風に私が溜息をついていたのは火曜日、いよいよ開幕の迫った東京オリンピックのサッカー・スペイン代表グループ初戦のキックオフがいつなのか、チェックしていた時のことでした。いやあ、ユーロ2020の間は夜更かし?超早起き?をしないといけなかった日本にいるサッカーファンに比べれば、エジプト戦が木曜午前9時30分(日本時間午後4時30分)に始まるのなんて、全然、大したことじゃないかもしれないんですけどね。すでに7月も後半に入ったとあって、世間にはバケーション中の人も多いとはいえ、朝っぱらから、バル(スペインの喫茶店兼バー)で盛り上がれるはずもなし。平日でもありますし、せっかく、久々のユーロ準決勝進出で代表を見直したスペイン人ファンも勤務中にこっそり、スマホ観戦とかになるんでしょうか…。

え、いくらルイス・エンリケ監督率いるA代表でユーロを戦ったメンバー、GKウナイ・シモン(アスレティック)を筆頭にペドリ、エリック・ガリシア(バルサ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)ら、6人もの兼任選手がいるとしてもU24代表は別物。スペインが前回、出場した2012年のロンドン・オリンピックもキエフで大人のユーロ2連覇に貢献してきたばかりのジョルディ・アルバ(バルサ)、ファン・マタ(マンチェスター・ユナイテッド)、ハビ・マルティネス(バイエルンを退団してカタールSCに移籍)が参加していたものの、グループリーグで日本、ホンジュラスに連敗し、最後のモロッコにも勝てず、1分け2敗の敗退とダメダメだったんじゃないかって?

まあ、そうなんですが、そのチームにはコケやアドリアン(オサスナを退団してフリー)ら、当時はアトレティコ勢も参加していたため、私も応援していたものの、始まる前から、話題はサッカーより、チームがオリンピック選手村に滞在したり、開会式の行進に参加するかしないかといった辺りに集中。お祭り気分に浮かれてすぎて、本業がおろそかになってしまったんじゃないかと思いましたが、今回は初戦、日曜の2試合目、オーストラリア戦と会場が札幌ですし、大体がして、このコロナ禍にバブル合宿を続ける選手たちが、そんなワガママを言える訳もないですからね。

先週末土曜に行われた日本との親善試合などでも立ち上がりこそ、良かったものの、「開始5分でこれまでにないぐらい汗をかいていた」、「Solo pudimos estar bien durante 20 minutos/ソロ・プディモス・エスタル・ビエン・ドゥランテ・ベインテ・ミヌートス(ウチがいい状態でいられたのは20分間だけだった)」と初体験の湿度90%の暑さにデ・フエンテ監督のチームはペースダウン。前半41分には久保建英選手(昨季はレアル・マドリーからのレンタルでビジャレル、ヘタフェでプレー)のラストパスを堂安律選手(PSV)に決められ、先制点を奪われていましたが、それでも後半32分には途中出場のペドリが出したパスをミランダ(ベティス)がエリア内左奥から折り返し、プアド(エスパニョール)のシュートをカルロス・ソレル(バレンシア)が軌道を変えて同点に。

何とか、1-1で引き分けて面目を保つことができましたしね。とりわけ、このオリンピック代表ではアセンシオ、セバージョス(昨季はレンタル移籍してアーセナルでプレー)、バジェホ(同グラナダ)と、A代表には皆無だったレアル・マドリーの選手が3人もいるため、現在、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのセッションをこなしながら、今季のチーム編成を思案中のアンチェロッティ監督など、大いに注目しているかと。

とりわけ、セルヒオ・ラモスが時間切れで契約延長できずにPSGに河岸を変え、フランス代表でユーロに参加後、近日中にチームに合流する予定になっているバランも来年には契約が満了。クラブの延長オファーに答えず、マンチェスター・ユナイテッドとの移籍交渉がまとまるのを待っていると言われており、昨季のレギュラー2人が抜けるCB陣では、昨季中にまとまったマルチDFのダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了)は水曜に練習場のプレスルームでZoomプレゼンがあって、そのまま、セッションに参加するんですけどね。

ただ、それでもミリトン、ナチョと合わせて、CBの頭数が3人にしかならないため、日本戦は軽い痛みで出場しなかったバジェホが第4のCBとして期待されているんですが、さて。ちなみにオリンピックでは久保選手の動向もクラブはチェックしているはずですが、彼が来季、マドリーのトップチームに残れる可能性はなし。というのもあと1年、契約が残っているベイル(昨季はトッテナムでプレー)が戻って来ると、今季からはイギリス国籍の選手もEU外扱いとなるためで、元々、3人の枠はミリトン、ビニシウス、ロドリゴだけで一杯なんですよ。

コロナ禍の影響で遅れているビニシウスのスペイン国籍取得が奇跡的に早まりでもしない限り、ジダン監督に結構、使われていたロドリゴまでが、RMカスティージャの所属にして、リーガ以外限定で使ったらいいとか、可哀そうなことを言われている程ですからね。久保選手は今季もレンタル移籍に活路を見出すことになりますが、今のところ、レアル・ソシエダなどが挙がっているものの、いいチームからオファーがもらえるかはオリンピックでの活躍次第になるかも。

そんな話の脇でマドリーは先週末も日曜にまた弟分、今度は1部に復帰したばかりのラージョと練習試合をしたんですが、やはりマスコミは入れなかったため、見られる映像はかなり限定。最初の試合では2部のフエンラブラダに3-1と快勝したものの、さすがに今季はヘタフェとマドリッド第3のチームを争う意欲満々のイラオラ監督のチームには手こずったか、イスコのPKゴールとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストのオウンゴールで1-1と引分けることに。まあ、昨季終了後に各国代表で国際大会を戦った選手たちはベイル、バラン、ベンゼマらがようやく今週、続いて来週にモドリッチ、クロース、アザール、クルトワ、バルベルデといった感じで合流するため、まだまだトップチームの人員が少ないですからね。

最初からプレシーズンに参加しているメンバーでもメンディはリハビリ中、ヨビッチ(昨季はフランクフルトでプレー)、マリアーノ、カルバハルらも調整中でラージョ戦には出ていなかったため、まだまだマドリーがタイトル奪回に向け、レベルアップできているのかはわからないんですが、今週からマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプに入ったラージョと対照的に、ずっとバルデベバスにいる彼らも25日(日)にはいよいよ、グラスゴーでレンジャースとの親善試合を公開で実施。それまでにアラバの準備が整うのかはちょっと疑問ですが、昨季のリーガ最終戦以来となる久々のマドリーの勇姿が見られるのはきっと、ファンも嬉しいんじゃないでしょうか。

え、それで土曜には恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプを急こう配猛ダッシュなどを含めた、1週間の超凝縮メニューで終え、マハダオンダ(マドリッド近郊)に戻って来たアトレティコはどうしているんだって?いやあ、早速、私も猛暑の中、月曜の午後セッションを見学に行ったんですが、トップチームのメンバーがGKオブラク、サウール、エルモーソ、アリアス(昨季はレバークーゼンにレンタル移籍して負傷)、サポンジッチ(同カディス)、ゲルビッチしかおらず、サビッチなど、同日の午前セッションで右太ももをケガして、開幕に間に合うかどうかという事態に。コパ・アメリカ序盤にブラジル代表で右ヒザ靭帯を部分断裂したフェリペの顔を見えましたが、彼もリハビリを開始したばかりと、こちらもしばらくはCB陣がお隣さん同様、ちょっと寂しくなりそうな。

ええ、左SB兼任のエルモーソは元気でしたが、ウルグアイ代表のヒメネスは来週にならないと戻って来ませんからね。グラナダにレンタル移籍していたナウエンもアルゼンチンU24代表でオリンピック参加中なんですが、アリアス同様、チームに残れるかどうかも、イギリス人のトリッピアーがEU外扱いになってしまったため、ロディ、フェリペとの3人で枠が一杯の現在、無理っぽいというのもマドリーと似ているかと。今のところ、シメオネ監督も助っ人としてかき集めたアトレティコBの選手中心の指導をするしかないんですが、何せ、昨季はこの後輩たちの出来が悪くてねえ。

定位置だった2部Bから降格したのは自業自得とはいえ、サッカー協会のカテゴリー改変の煽りも喰らい、2部BがRFEF1部とRFEF2部に分割されたため、今季は3部と言いながら、実質5部でプレーとなると、いざという時、トップチームの穴埋めに使える優秀な選手は残らないかも。そんなアトレティコはこの金曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、ブルゴス・デ・オスナでヌマンシア(RFEF2部)とこのプレシーズン、最初の親善試合をするんですが、ユーロから帰還組第1陣となるはずのベルサイコ、レマルもまだ合流しておらず。ええ、スペイン代表に行っていたマルコス・ジョレンテなど、バケーション真っ盛りの時間を有効活用、ワンダ・メトロポリターノに彼女のパトリシアさんを誘い出し、サプライズプロポーズなんてこと、やっていましたからね。

先週はキャンプ地を訪問、チームメートに挨拶していたジョアン・フェリックスも足首の手術後、まだ松葉杖が必要な状態でしたし、よって、こちらもアトレティコBの試合みたいになってしまうかもしれませんが、今は新デザインのユニフォームが見られるぐらいで良しとしましょうか。ちなみにアトレティコの移籍関連話では丁度、前回、グリーズマン(バルサ)とサウールのトレード話が消えたようだとお伝えしたすぐ後に状況が急変。契約延長の合意ができたメッシをリーガに登録するため、他の高額年棒選手を整理する必要に迫られている相手が大乗り気で、交渉成立は秒読みなんて言われ、私も焦ったんですが、この世はまさに徒然。

日が経つにつれ、バルサが等価トレートでは不公平とサウールに加え、エルモーソかロディをつけることを要求したとか、サウール+1500万ユーロ(約20億円)の移籍金になったとか、逆にアトレティコが2100万ユーロ(約27億円)の年棒を半額にすることをグリーズマン側がOKしても、それすら、昨季のルイス・スアレスのようにバルサに補填するように求めているとか、ポロポロ出て来て、結局、現在ではこのトレードは交渉決裂という見方がされているんですけどね。事実、スアレスを補佐するCFは必要なアトレティコなだけに、ここで話が止まっていると、第2候補らしい、今はオリンピック・スペイン代表にいるラファ・ミール(昨季はウォルバーハンプトンからレンタルしてウエスカでプレー)の方も進められないため、ちょっとじれったい感じがするものの、移籍市場が閉まるのは8月末。

まだまだ焦る必要はありませんが、もう1つの弟分、今はラ・マンガ(スペイン南東部)でキャンプしているヘタフェもプレシーズン開始1週目の怒涛の4連続プレゼンの後はかなり静か。先週金曜にはいきなり、午前10時から、イビサ(2部)と前後半35分形式のミニ親善試合をしていて、YouTubeでライブ配信があったのに私が気づいた時にはもう遅かったんですが、一応、初戦はティモルのFKゴールで0-1と勝利したようです。この水曜にも今度は午後7時から、スタッド・レンヌと対戦しますしね。あちらもぼちぼち、エンジンを温めていってくれるといいかと。

え、それで柴崎岳選手のいるマドリッド2部の弟分、レガネスでは4人目の陽性者が出たようだけど、このプレシーズンのリーガのコロナ状況はどうなっているのかって?いやあ、丁度、マハダオンダに行った時、トップチームの隣のグラウンドで練習していたカンテラーノ(ユースチームの選手)が、「この前、ワクチン打たれちゃったよ」と言っているのを小耳にはさんだんですが、どうやら、もう若年層の接種も始まっているスペインではかなり多くのチームが各自治体から、ワクチンを供給されているよう。すでにエスパニョール、ベティス、ラージョ、セビージャ、レアル・ソシエダ、カディス、オサスナ、ヘタフェなどは終わっており、マドリーでもマルセロ、ルーカス・バスケス、ロドリゴらが注射を打たれるシーンをアップしていたんですけどね。

スペインのように国際大会の前に集団接種する各国代表チームもあったため、新シーズンは皆、抗体ができた状態でスタートできると思うんですが、それでも感染するのがコロナ。すでに1部2部、それぞれ12チームで陽性選手が判明し、計63人程が隔離されましたが、ワクチン接種後はウィルス保持量があまり増えず、他人への感染可能期間が7日間から、2日間になるとスペイン人のお医者さんが記事で言っていましたからね。とりあえず、プレシーズンマッチのキャンセルは幾つかあったものの、今季の公式戦には影響しないことを祈っています。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している