「過密日程にしてはまだマシな方よね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、ミッドウィーク開催の6節が終わったかと思いきや、すぐに7節が始まるのに備えて、週末の日程表を見直していた時のことでした。いやあ、前日はカディスと0-0で引き分けた後、バルサのピケが試合間隔が短すぎると、延々と文句を言っていたのを聞いて、思わず、マドリッド勢の予定もチェックしてみたんですけどね。来週はCLグループリーグ2節が火曜にあるため、兄貴分2チームが土曜にプレーしないといけないのは当然ですが、火曜にプレーしたアトレティコは中3日。水曜にプレーしたレアル・マドリーは中2日となりますが、こちらはマジョルカ戦でたっぷりローテーションしましたからね。

翻って、弟分2チームの方はどちらも日曜開催で、早く今季初勝ち点をゲットしないといけないヘタフェも、1部では20年ぶりとなる好発進を遂げたラージョも中4日。しっかり間が空いているだけでなく、前者の相手ベティス、後者の相手カディスは共に木曜プレー組で中2日となれば、かなりラッキーだったと言えますが、どうにもミチェル監督のチームはまだ復帰できそうな選手がいなくてねえ。ラージョとの弟分ダービーで脚を折ったかと思われていたヤンクトはネンザで済んだそうですが、アランバリ、ビトロ、サンドロらの肉離れ勢が治る前に10月の各国代表戦週間が来てしまいそうというのはホント、辛いところじゃないでしょうか。

え、ヘタフェをますます崖っぷちに追い詰めたのはアトレティコだったんじゃないのかって?いや、実際、その通りで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの兄弟分ダービーでは私もどっちを応援したらよいものやら、踏ん切りがつかなかったんですけどね。最初はいいスタートを切りながら、「luego faltó intensidad, velocidad, circulación para lastimar al rival/ルエゴ・ファルトー・インテンシダッド、ベロシダッド、シルクラシオン・パラ・ラスティマール・アル・リバル(その後、プレーの強度、スピード、相手にダメージを与えるボール回しに欠けていた)」(シメオネ監督)昨季王者はハーフタイム入り直前、まさかの先制点を奪われてしまうことに。

ええ、珍しくGKオブラクがボールを掴み損ね、逃してしまったところ、マクシモビッチが右から入れたクロスをミトロビッチにヘッドで撃たれ、ゴールポストに当たって入ってしまったから、驚いたの何のって。もちろん、それにはここ10年程、ヘタフェはアトレティコにただ白星がないだけでなく、通算対戦スコアが34-0と、得点すらできていなかったという理由もあったんですけどね。1点ビハインドで後半に入り、ここ3試合連続ドロー中のシメオネ監督が恒例のテコ入れを行ったのは17分。まずはトリッピアーとロディの両SBを下げ、デ・パウルとエルモーソを入れたんですが、ルイス・スアレスのヘッドもゴールバーに弾かれてしまったため、これは懐事情の厳しい弟分に、さして裕福でもない我が身を顧みず、彼らがそのまま勝ち点3を心優しく差し出してしまう恐れもなんて考え、単なる私の杞憂にすぎませんって。

転機が訪れたのは28分、アレニャがクーニャに後ろからタックルしたプレーを一旦、主審は流したものの、シメオネ監督の執拗な抗議も効いたか、VAR(ビデオ審判)の注進でモニターチェックすることに。すると、スパイクがふくらはぎに当たっていたのがわかり、アレニャにレッドカードが出されたんですが、まあ、「人目を引くプレーだが、alguien que ha jugado al futbol sabe que no hay intención de hacer daño/アルギエン・ケ・ア・フガードー・アル・フトボル・サベ・ケ・ノー・アイ・インテンシオン・デ・アセール・ダーニョ(サッカーをしたことのある者なら、ケガさせる意図はないのがわかるはず)」というミチェル監督の言い分も理解できますけどね。

敵が1人、少なくなったおかげでスペースを見つけやすくなったか、33分にはエルモーソのスルーパスをスアレスが決めて、アトレティコは同点に。更に45分にも前節のアスレティック戦では、もう年で走れないと散々叩かれていたエースが本領発揮。ベルサイコの上げたクロスをゴール前、ミトロビッチの背後でジャンプするまでもなく、頭で決勝ゴールを挙げたとなれば、いやあ、シメオネ監督も「Cualquiera hubiera quitado a Suárez y Suárez hizo goles/クアルキエラ・ウビエラ・キタードー・ア・スアレス・イ・スアレス・イソ・ゴーレス(誰もがスアレスを代えていたところだろうが、そのスアレスがゴールを決めた)」と交代策の正しさを自画自賛していましたけどね。昨季21得点でチームを優勝に導いてくれた34才を決して侮ってはいけません。

まあ、「試合開始時に何が影響するのか、no sabemos si es actitud y preparación/ノー・サベモス・シー・エス・アクティトゥッド・イ・プレパラシオン(自分たちの態度や準備のせいなのかはわからない)」とエルモーソも言っていたように、眠ったままピッチに出るというお家芸が時々、出てしまう欠点はいまだに直ってないようですけどね。とりあえず、スアレスもエンジンがかかってきたことですし、あとは今の協調的なプレースタイルに進化したアトレティコにグリーズマンが適応してくれれば、土曜午後2時(日本時間午後9時)からのアラベス戦でも難なく勝って、少なくとも同じ0ポイントで最下位を争っている弟分の援護射撃はできるかと。

ちなみに金曜に私が見学に行ったマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではレマルの姿こそ、見えなかったものの、コンドグビアはもうチームに合流。最初の10分程、コーチとマンツーマンで調整をしていたコケも遅れて加わり、ビトリア(スペイン北部、アラベスのホームタウン)遠征の招集リストに入っています。アスレティック戦での退場で受けた出場停止処分の2試合目となるジョアン・フェリックスも上訴委員会には減刑を認められなかったものの、クラブが処分一時停止措置を求めてTAD(スポーツ行政法廷)に訴えているため、万が一に備えて同行していますが、今季の前線レギュラー争いは例年になく熾烈ですからね。足首が完全に治った彼もそろそろ、本気でアピールしないとマズかもしれません。

その一方で日曜夜、ベニト・ビジャマリンでオサスナに1-3と快勝したばかりのベティスに挑むヘタフェには幸運を祈るばかりですが、火曜の兄弟分ダービーの後には4チーム目のマドリッド勢、ラージョがサン・マメスでアスレティックと対戦。まだ私がコリセウムにいるうちから、前半5分、アルバロ・ガルシアがvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKウナイ・シモンを破り、早くも先制という報が入り、それはメトロに乗っていた33分、敵のCKをシスがオウンゴールにして、帳消しになっていましたが、後半途中からでも見た甲斐は十分ありました。というのも、ドシャ降りの雨が弱まった後半31分、ウナイ・ロペスと交代でファルカオがピッチに入ったから。規定時間内にはあまり動きがなかったものの、6分間与えられたロスタイムの最後のFKに彼が完璧なタイミングで頭を合わせ、まさか土壇場で勝ち越しゴールを奪ってしまうとは、35才になってもTigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の本能はまったく衰えていない?

それもエリア近くでアスレティックのファールを誘ったのも彼自身なら、FKをベベが蹴る前、どこを狙うべきか細かく指示しているんですから、見上げたゴールへの執念と言えますが、これで1-2の勝利をもぎ取ったラージョはEL出場権のもらえる6位まで上昇。イラオラ監督が「前節、ヘタフェに勝ったウチより、相手はアトレティコ戦で消耗していた」と言っていたのは何ですが、デビューから2試合で2得点と、ファルカオの加入がラージョファンの夢を掻き立てているのは事実かと。木曜にはまた、この日曜にエスタディオ・バジェカスでプレーするカディス戦のチケットを求めるファンの長い列ができていましたが…ただ、これって、チケットのオンライン販売システムに再度の不具合が出ているせいなのかもしれないんですよね。

そして翌水曜は今季2回目のサンティアゴ・ベルナベウ観戦をした私でしたが、最近のマドリーはベテランが多いですからね。この日のアンチェロッティ監督はモドリッチ、カセミロ、アザールをベンチに置くローテーションを敢行。システムも4-2-3-1にして、中盤は初先発の18才カマビンガと23才のバルベルデという若いコンビになったんですが、それがどうとか言う前に、DFに負傷者が多発しているマジョルカで先発CBに抜擢されたカンテラーノ(Bチームの選手)、ガヤが自陣エリア近くで痛恨のミスを犯してしまったんですよ。ええ、足を滑らせてボールを失ったところ、駆けつけて来た絶好調、33才ベンゼマに先制点を決められてしまってはもう、お手上げです。

続いてマドリーは24分にも、ロドリゴのシュートはGKレイナに弾かれたものの、この日、トップ下として起用されたアセンシオが2点目をゲット。実はこの直後、マジョルカのキックオフからのプレーでイ・ガンインにゴールを決められてしまったんですが、それも4分もしないうちにベンゼマのアシストを受けて、アセンシオが追加点を挙げてくれたため、問題はなかったかと。いやあ、実はこの試合にはマドリーからマジョルカにレンタル移籍をしている久保建英選手も先発、所属元と6回目の対戦となったんですけどね。前半途中から、ヒザを気にする仕草をしていた彼は3-1で入ったハーフタイムで交代。翌日にはマドリッド泊のホテルに入る際、松葉杖をついていたとの報もあり、当人も自身のインスタで10月の日本代表戦にも間に合わない負傷で離脱することを告げていたのは、ちょっと気の毒な結末になりましたね。

そして後半もマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続き、いえ、3分にベンゼマが入れたゴールはVARで直前にファールがあったことが発覚して、スコアボードには上がらなかったんですけどね。10分には再びアセンシオを決めて、ここまで出番が少なかった鬱憤を晴らすかのようにハットトリックを達成。そして33分にはベンゼマが自身2点目、39分にもビニシウスのラストパスをイスコが押し込んで、ベルナベウ復帰試合だったセルタ戦の5-2を上回る6-1で大勝となれば、午後10時キックオフという、最近では十分肌寒い時間に応援に駆けつけたファンも大満足して、家路を辿れたに違いありませんって。

え、これだけ活躍できるんだったら、どうしてアンチェロッティ監督はアセンシオをもっと使ってこなかったんだって?まあ、今はベイルがリハビリ中とはいえ、マドリーも前線にはロドリゴ、アザール、ルーカス・バスケスなど、オプションがイロイロありますからね。「Lo puede hacer muy bien ahí, en esa posición entre líneas/ロ・プエデ・アセール・ムイ・ビエン・アイー、エン・エサ・ポシシオン・エントレ・リネアス(ライン間のあのポジション、そこがとてもうまくやれる場所)」(アンチェロッティ監督)という、当人が得意とするトップ下もシステムによっては存在しない場合もあって、大体がして、それがスペインA代表にルイス・エンリケ監督が最近呼んでくれない理由だったりするかもしれないんですが、まあ、それはそれ。

この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)もマドリーはホームにエースのジェラール・モレノをケガで欠きながら、エルチェ戦では4-1と大勝したビジャレアルを迎えるんですが、ベンゼマとビニシウスのコンビは現在不動らしいため、アセンシオが先発リピートできるかは微妙なところかと。ちなみに金曜のバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションには恥骨炎のリハビリのため、ずっと休んでいたクロースが普通に加わっていたんですが、夜に発表された招集リストにはまだ入らず。他、ベイル、メンディ、マルセロ、セバージョスと負傷休場選手は同じで、再びアンチェロッティ監督はミゲール・グティエレスやブランコら、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)を当てにすることに。

いやあ、それにしてもリーガ、たったの7試合を消化しただけでもう21ゴールというのは、マドリーでも30年以上ぶりのハイペースなんだそうですけどね。別にまだ9得点しか挙げていないアトレティコも勝ち点差2での2番手をキープしていますから、最後は効率の問題とはいえ、このままいくと、久々に100得点以上という、マドリーのゴール祭りシーズンが戻ってきたりするんでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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