「何かバルサばっかり注目されてるみたい」そんな風に私が退屈していたのは金曜日、ようやく今年最後の代表戦週間が終わり、リーガ再開となる14節の予定をチェックしていた時のことでした。いやあ、確かにこのparon(パロン/休止期間)の中、イロイロ動きがあったのはあちらの方で、アル・サッド(カタール)を辞めたチャビが新監督として赴任したり、5年前にバルサを去ったダニ・アウベスが戻って来たりしているんですけどね。その38才の右SBがプレーできるのは、最後に所属したサン・パウロを9月に離れてから、間が空いているせいもありますが、リーガの選手登録が可能になる1月から。

それでも水曜には大々的にカンプ・ノウで入団プレゼンを開き、先日のチャビ監督就任プレゼンより、1000人多い1万人ちょっとのファンをスタンドに集めたと聞けば、何せもう2年近く、全面改装工事が続くサンティアゴ・ベルナベウはもとより、ワンダ・メトロポリターノでも無観客のプレゼンしかやっていませんからね。マドリッドのサッカーファンにしてみれば、羨ましい限りだったんですが、その分、土曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、カタルーニャダービーでデビューする新監督にもプレッシャーが懸かったりする?

実際、彼らはマドリッドの弟分ラージョに負けてクーマン監督が解任され、その後、繋ぎで引き継いだバルサBのセルジ・バルジュアン監督も一番の肝だったディナモ・キエフ戦こそ勝って、CLグループリーグ突破に希望を残したものの、リーガではアラベス、セルタと連続ドロー。結果、2部から戻って来たばかりながら、ビセンテ・モレノ監督率いる好調エスパニョールにリーガ13節以降に勝ち点数で並ばれるという、1996年以来なかった状況に。

一応、順位はバルサが9位、エスパニョールが11位ですが、うっかり負けでもしたら、2位という遥か彼方の高みにいる宿敵レアル・マドリーだけでなく、バルセロナのお隣さんまでも上に見るという屈辱的な状態になってしまいますからね。相手には7ゴールの国産ピチチ(スペイン人選手の得点王)、しかもスペイン代表で初招集ながら、2試合連続先発して、意気軒高なRdT(ラウール・デ・トマス)もいますし、カンプ・ノウ開催の試合であっても、決して油断はできないんじゃないかと思いますが…。

え、それより肝心のマドリッド勢の予定はどうなっているのかって?そうですね、トップバッターを務めるのは土曜の午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から、ワンダ・メトロポリターノにオサスナを迎えるアトレティコなんですが、幸い各国代表戦からは全員無傷で帰還。それどころか、コケ(スペイン)を始め、カラスコ(ベルギー)、グリーズマン(フランス)らの代表はW杯出場を決め、南米予選でもクーニャ、ロディ(ブラジル)、デ・パウル、コレア(アルゼンチン)らもカタール行きの切符を勝ち取ったんですが、すでに突破が決まった後、ネイマール(PSG)が負傷でいなかったブラジルではクーニャが初先発、アルゼンチン代表レギュラーのデ・パウルと角を突き合わせるなんて光景も。

逆に不幸が集中してしまったのがジョアン・フェリックスで、うーん、まさかポルトガルが最終節でセルビアに負け、来年3月のrepesca(レペスカ/プレーオフ)に回るなんて、大先輩のクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)同様、当人もショックだったと思いますけどね。試合の方は途中出場だけだったので、体には異常なく戻って来たんですが、まさか水曜、マハダオンダ(マドリッド近郊)での練習中にケガをしてしまうとは!どうやら、ふくらはぎの打撲が原因のようで、同日にはCL3節のリバプール戦で退場したグリーズマンの処分が2試合の出場停止とUEFAから通達されていたため、来週水曜の天王山、ミラン戦が大変なことになってしまうと、アトレティコファンたちは真っ青になったものでしたが、大丈夫。

やはり、ボールを蹴ろうと高く上げた足がフィルミーノの顔に当たってしまったグリーズマンのプレーは、同じ節のポルト戦で似たようなファールをしたイブラヒモビッチ(ミラン)や4節にトリッピアーの頭を蹴ったジオゴ・ジョタ(リバプール)がイエローカード止まり。レッドカード自体、大袈裟だった上、実はそのアンフィールド遠征には慣例だから、1試合は出場停止だろうと行かなかった当人にはまだ正式に処分通達がなされておらず、結局、知らされたのが今週だったという、UEFAの怠慢ぶりが世間から批判されたせいですかね。金曜には上訴委員会で1試合に軽減され、グリーズマンはミラン戦に出られることになったんですが、4節のリバプール戦で退場したフェリペは2試合の出場停止のまま。昨季最後のCL16強対決チェルシー戦2ndレグでのレッドカードでサビッチも今季はスタートから4試合、出られませんでしたし、何かアトレティコって、処分が他より重い気がするのは私だけではなかったかと。

ただ、今、先に考えないといけないのはオサスナ戦の方で、もちろんジョアンは出られないんですが、この2週間のおかげで、マルコス・ジョレンテとレマルのリハビリが終わり、招集リストに復帰。ルイス・スアレス、ヒメネスのウルグアイ代表組も入っていますが、こちらはW杯予選が不調で下手したら、プレーオフにも入れない窮地に陥って戻って来たため、シメオネ監督も2人の気持ちを落ち着けるのと、ミラン戦に向けた温存で、土曜の試合では控えスタートにするかも。何せ、オサスナもアウェイでは6試合で4勝と侮れず、代表戦直前はセビージャ、レアル・ソシエダと上位チームに2連敗しているものの、サンティアゴ・ベルナベウでお隣さんと0-0で引分けるなどして、7位をキープしていますからね。

その時と同じ、下がって敵を待つ戦術を使うのかと記者会見で問われたアラサーテ監督は、「アトレティコには前線にアグレッシブな選手がいて、中盤にもシュートの上手い選手がいるから、tenemos que defender un poco más alto/テネモス・ケ・デフェンデール・ウン・ポコ・マス・アルト(もう少し前で守らないといけない)」と言っていましたが、いやいや。シメオネ監督など、「Este Griezmann es el jugador al que fuimos a buscar/エステ・グリースマン・エス・エル・フガドール・アル・ケ・フイモス・ア・ブスカル(今のグリーズマンはウチが探しに行った選手だ)」と最近の好調ぶりを評価していたんですが、フランス代表ではお隣さんのベンゼマがカザフスタン戦、フィンランド戦で3得点したのに比べ、彼はPKゴール1本だけでしたからね。

チーム得点数でもマドリーはここまで28得点、アトレティコは21得点と後塵を拝していて、それで失点が同じ13点という辺りに勝ち点差4の4位という違いが出ているのかも。何にしろ、優勝した昨季とは、10月の代表戦明けからの1勝3分けも響いて、今の時点で勝ち点が7も少ないため、彼らには年内残りの8試合、オサスナ、カディス、マジョルカ、そしてマドリーダービー、セビージャ、グラナダとのリーガ戦、そしてCLミラン戦、ポルト戦を全勝するぐらいの気合で挑んでもらわないと、来年がつまらなくなってしまいますよね。

そして日曜にはまず、午後2時から弟分のヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスに16位のカディスを迎えるんですが、各国代表出向組ではセルビア代表でマクシモビッチが手を骨折してくるという逆境が。アランバリ、ダミアン(ウルグアイ)、ミトロビッチ(セルビア)、ジェネ(トーゴ)らは無事だったんですが、スタートに躓いた彼らはいまだに最下位を脱出できていませんからね。ようやくビトロ、サンドロらも100%回復しましたし、直近のホームゲームではドシャ降りの雨にも関わらず、応援してくれたファンに後押しされ、エスパニョールに今季初勝利とゲンはいいはずなので、年内5試合で少しでも残留ゾーンに近づけるといいのですが。

その直後の時間帯、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)にロス・カルメネスでのグラナダ戦をキックオフするのがマドリーで、こちらはご存知の通り、ウェールズ代表のベラルーシ戦で2カ月ぶりのプレーをしたベイルがふくらはぎを痛め、おそらく3週間は試合に出られないよう。うーん、チームの年内最終戦が12月22日のアスレティック戦であることを考えると、どうもクリスマス休暇の後、1月2日の年明け初戦、ヘタフェとの兄弟分ダービーぐらいまで、彼を試合で見るのは難しそうな気がしますけどね。リハビリに来た今週は早速、バルデバス(バラハス空港の近く)の練習場出入り口に集まっていたファンから、罵声を浴びていたなんて報も。

その他の各国代表選手たちは、W杯出場決定後、早帰りを許されたGKクルトワ、アザール(ベルギー)らも含め、誰もケガはしておらず、金曜には最終到着組のミリトン、ビニシウス(ブラジル)もセッションに参加。ロドリゴと鼻骨骨折をカバーするマスクを付けたマリアーノも復帰していますし、唯一、バルベルデだけが回復が遅れているんですが、何より心強いのは昨夏のユーロ2020後、ドイツ代表を引退したクロースが今季は休養十分でプレーできることかと。とはいえ、10月代表戦後のリーガを3勝1分けと好成績で終えたマドリーは、その最初に延期されていた9節のアスレティック戦が12月1日に組まれてしまったため、CLシェリフ戦、インテル戦の合間の週も休めないんですよ。

ええ、そのミッドウィークは1月のスペイン・スーパーカップに参加するため、32強対決までシードされるアトレティコ、マドリー(リーガ1、2位)、バルサ、アスレティック(コパ・デル・レイのファイナリスト)以外、今季のコパ1回戦をプレー。それだけにこのカードを入れるのに丁度いいとラ・リーガに思われたんでしょうが、年内最後のアスレティック戦の方はスペイン・スーパーカップ中の前倒し分って、マドリーだけ、バケーション入りまで9試合もあるのはちょっと大変ですが、まあ、それも組み合わせの妙ですからね。絶好調のベンゼマやビニシウスのゴールも期待できますし、何とかなるんじゃないでしょうか。

そして今節、ラージョはまた月曜開催試合を割り当てられ、平日の午後9時からエスタディオ・バジェカスでマジョルカ戦となるんですが、実はいるんですよ。こちらにも来年のW杯にあと一歩と迫っている選手が。いえ、マドリーとの兄弟分ダービーで負傷して、11月の代表戦には行けなかったファルカオのコロンビアは南米予選4位とはいえ、あと4試合も残っているため、まだ何とも言えないんですけどね。GKディミトリエフスキのいるマケドニアがグループ2位でプレーオフに進出して、3月の2試合に勝てば、昨夏のユーロに続き、W杯にも初出場できるかもしれないって、もう凄いとしか言いようがない?

ここ4試合引分け続きのマジョルカは現在13位と、6位のラージョとは勝ち点差5ありますが、とにかく今季ホームでは負け知らずのイラオラ監督のチームにはたとえ、エース不在でもこれまでのいい流れを維持してもらいところ。ちなみにこの先、マジョルカとは27日にヘタフェ(アウェイ)、12月4日にはアトレティコ(ホーム)も顔を合わすんですが、復活まであと少しと言われている久保建英選手が間に合うのかどうか、まだちょっとわからないようですね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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