「随分、都合のいい日程になってるわね」そんな風に私がカレンダーを見ながら頷いていたのは月曜日、今週はミッドウィーク開催リーガがあるものの、週末は延期されていた21節バルサvsラージョ戦が日曜にあるだけ。土曜のカルトゥーハでのコパ・デル・レイ決勝はベティスvsバレンシアのカードなので、それ以外のチームは週末が休みになると気づいた時のことでした。いやあ、これがCL準決勝マドリーダービーだったら、どちらのチームも条件は同じだったんですけどね。

それが運命は残酷と言いますか、アトレティコはお隣さんにリベンジを託すことになり、来週火曜にはレアル・マドリーがマンチェスター・シティ戦1stレグに挑むんですが、彼らは丸々、1週間、準備に当てられるんですよ。対して、日曜にリバプールに2-3と負け、FAカップ準決勝敗退をしたばかりの相手は水曜にはブライトン戦、土曜にもワトフォード戦とプレミアリーグ2試合をこなさないといけないとなると、どちらが体力的に有利か、一目瞭然では?

実は同じことはもう1つの準決勝、リバプール戦を控えるビジャレアルにも言えて、何せ世間の予想を覆し、決勝トーナメントではユベントス、バイエルンという、ヨーロッパの強豪老舗を倒したチームですからね。こうなると、次がプレミアリーグ首位チームでもどんと来いといった感じで、しかも相手は火曜にマンチェスター・ユナイテッド戦、日曜にもエバートン戦とまだ、2位シティとの勝ち点差が1しかない中、ダービー続きのハードスケジュール。

いえ、ヘタフェ戦の後、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのプレスルームでは「4年ぐらい前まではELもあまり評価されてなかったが、今では誰もが出たがっている。ヨーロッパの大会を軽く見てはいけない。Que entro en Conference? Maravilloso/ケ・エントロ・エン・コンフェレンス?マラビジョーソ(コンフェレンスリーグに出場?素晴らしいよ)」とウナイ・エメリ監督は言っていたんですけどね。正直、EL出場圏まで勝ち点6、CL出場圏まで11の7位にいる現在、ビジャレアルにとって、来季も胸躍るビッグクラフとの対戦を楽しむにはやっぱり、今季のCL優勝が一番の早道と思っているんじゃないかと、ちょっと穿ってしまったんですが…。

ちなみにその弟分の試合もそうだったんですが、先週末のリーガ土曜の部はマドリッド勢にとって惨々で、最近は気温もかなり上がったため、午後を郊外で過ごすのもいいかと、まず、ブタルケでのレガネスvsマラガ戦を見に行った私だったんですけどね。柴崎岳選手が前節のオビエド戦で打撲して、ベンチにもいなかったのはともかく、目標だった昇格プレーオフ圏6位以上は今や、遥か雲の上。それでも降格圏までは勝ち点9差と余裕がある15位なのが、「falta de motivación/ファルタ・デ・モティバシオン(モチベーション不足)」を招いたんでしょうか。

0-0で前半を終えた後、後半12分と18分にオメルオが立て続けにエリア内で敵を倒してPKを献上し、2点リードされただけでなく、41分にも止めの3点目を奪われ、あっさり0-3で負けてしまうとは情けない。ただ、この結果に最悪のとばっちりを喰らったのが2部の弟分仲間、アルコルコンで、いえ、彼らは今季もう長いこと、最下位を爆走。自身も同日、岡崎慎司選手は出なかったカルタヘナに3-1と負け、残留ラインとの境にいるマラガとの勝ち点差が19になったため、6節残して早々にRFEF1部(実質3部)への降格が決まったんですが、同じくお隣さん仲間、21位のフエンラブラダも近々、後を追いそうなのは淋しいですよね。

そしてレガネスとほぼ並行して、1部の弟分ラージョがアラベス戦をプレーしていたんですが、こちらは後半18分にホセルに奪われた1点が返せず、終盤にはバリウも一発レッドで退場して、そのまま1-0で敗戦。「今日だけの問題じゃなくて、こういう試合は何度もあった。Esto es Primera División y hay que hacer goles/エストー・エス・プリメーラ・デビシオン・イ・アイ・ケ・アセール・ゴーレス(1部なんだがら、ゴールを入れないといけない)」とイラオラ監督も言っていたように、またしてもチャンスを何度も作りながら、得点できなかったのが致命的だったよう。

まったく、シーズン前半はヨーロッパの大会出場も夢ではないぐらいの快進撃を見せていた彼らだというのに、今年に入ってからはいまだに1勝もできず。それでも14位であと1、2勝もすれば残留は確定できるんですから、いい加減、チャッチャとやってほしいところですが、まあそれはヘタフェにしても同じですからね。コリセウム・アルフォンソ・ペレスではオレンジ色の満月に見守られる中、先週は天下のバイエルンをCL準々決勝敗退に追いやって、勢いに乗っているビジャレアルを迎えた彼らは前半7分、トリゲーロスが出したロングパスをパコ・アルカセル、ジェラール・モレノとワンタッチで繋がれて、先制点を入れられると、15分にもアランバリが自陣でボールをジェラールにボールを奪われる始末。

トリゲーロスがフィニッシュして2点差にされると、後半はカバコの代わりにマジョラルを入れて、キケ・サンチェス・フローレス監督も通常の5人DFから、4人に変更して反撃したんですけどね。折しも15分、エメリ監督の目算があと一歩というところで狂い、交代予定時間目前でジェラールが今季5度目となる筋肉系の負傷。16年ぶりのCL準決勝進出の原動力となったエースの非常事態にチームも動揺したか、その3分後にはオリベイラからラストパスを受けたエネス・ウナルが差を1点に縮めるゴールを挙げ、コリセウムのファンも大きく盛り上がったんですが…。

ダメでした。結局、1-2で負けてしまい、ヘタフェは前節の兄貴分から続けて、CLセミファイナリストに連敗してしまったんですが、彼らもラージョのすぐ下、今は15位で降格圏とは勝ち点3のマージンがありますからね。ジェネも出場停止が終わって戻って来る水曜のセルタ戦では何とか、今季アウェイ初勝利を挙げて、残留決定に近づいてもらいたいものですが、さて。木曜試合となるラージョもエスパニョール戦とあって、どちらも相手がほぼ残留確定組なのが、付け込む隙となってくれるといいのですが。

え、でも翌日曜には兄貴分のアトレティコもそのエスパニョールに苦労していなかったかって?いやあ、その通りなんですが、前日からワンダ・メトロポリターノではコロナ禍明け、2年ぶりのEl Dia del Nino(エル・ディア・デル・ニーニョ/キッズデー)が開かれ、アトラクションで遊んだ後、スタンドに来た家族連れも多かったんですが、やはり最近は夜9時キックオフに体が慣れてしまったんでしょうかね。前節、1-0で負けたマジョルカ戦同様、午後4時15分キックオフはランチ直後ということもあって、CL敗退直後だったにも関わらず、心変わりせずにファンたちが応援する中、私も前半はひたすら眠気に耐えることに。ええ、ビセンテ・モレノ監督が先週、CL準々決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグでグアルディオラ監督が採用した作戦をリピートしたのも絶対に影響がありましたっけ。

いえ、1-0の1stレグの結果を守るため、後半は29分間もプレーが止まっていたシティまではいかず、前半32分には主審もGKディエゴ・ロペスにイエローカードを出して、ゴールキック時の時間稼ぎを戒めてくれたんですけどね。それでもジョアン・フェリックスがセルジ・ゴメスにエリア内で踏まれてもペナルティは取ってもらえず、前半終了間際にはレマルが今季4度目の負傷。涙を浮かべてロッカールームに引き上げると、彼ばかりか、ジョアンまで一緒に左ハムストリングを痛めたとかで、ピッチに戻って来なかったら、さあ大変!

でも大丈夫、ベルサイコも含め、シメオネ監督が一気に3人交代に踏み切ったのが当たり、グリーズマン、カラスコ、クーニャが入った後半7分には先制点が入ったんですよ。それはGKオブラクがダルデルのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)したプレーから始まって、ボールがいつしか、敵陣にいたクーニャの足に渡ると、そのラストパスをカラスコがゴール前左からシュート。GKの手を弾いてネットに入ってくれたから、ここ3試合、アトレティコのゴールを喜べなかったファンたちも大喝采だったんですが、幸せとはまったく儚いものです。

ええ、16分にはまたしてもダルデルがエリア外から撃ったシュートがフェリペに当たり、そのボールが腕に飛んできたコンドグビアが2枚目のイエローカードをもらってしまったんですよ。このプレーはイエロー相当ということで、VAR(ビデオ審判)で見直されることもなく、彼は退場させられたんですが、まさかねえ。そのエリア前からのFKをRdT(ラウール・デ・トマス)が蹴ったところ、オブラクの手をすり抜けてしまい、同点に追いつかれてしまうんですから、本当にツイていない。

ただその日のアトレティコには、うーん、CL優勝で来季の出場権ゲットという奥の手も封じられてしまった後でしたし、選手たちも腹を括ったんでしょうかねえ。「No es fácil que te empaten y te quedes con uno menos y reaccionar/ノー・エス・ファシル・ケ・テ・エンパテン・イ・テ・ケデス・コン・ウノ・メノス・イ・レアクシオナル(同点にされ、1人少なくなった状態でリアクションするのは簡単ではない)」(シメオネ監督)状態ながら、何が何でもリーガ4位以内でCLの切符を手に入れようと、10人でも攻め続けたから、ビックリしたの何のって。

とはいえ、やはりなかなか勝ち越し点は奪えず、とうとう第4審判が5分のロスタイムを提示。その時間がほぼ、尽きる頃のことでした。この世のものとは思えないような奇跡が起こったのは。いやあ、カラスコが蹴ったCKがクリアされた後、エルパニョールがボールを持って上がり、その攻撃が終わったところで一旦、試合終了の笛が鳴ったようだったんですけどね。ところがその前から、「No he visto la jugada todavía. No sé lo que ha pasado/ノー・エ・ビストー・ラ・フガダ・トダビア。ノー・セ・ロ・ケ・ア・パサードー(まだリプレーは見ていなくて、何が起きたのかわからなかった)」コケなどが猛抗議していたおかげか、VARの注進が入ったせいか、審判がモニターを見に行くことに。

そこで発覚したのが、CKの時、クリアしたRdTの腕にボールが当たっていたことで、それをペナルティに取ってもらえるとはまさに捨てる神あれば、拾う神もある?こんな調子のいい話、ある訳ないと、カラスコがPKを蹴るのを狐につままれたような気分で見ていた私でしたが、とうとうロスタイム10分に勝ち越し点が決まり、アトレティコは2-1で勝利。おかげで金曜に0-0で引分けていた5位ベティスと6位レアル・ソシエダとの差もそれぞれ、勝ち点3、5と広がり、これなら今季絶望と診断されたジョアンとレマル、コンドグビア、そして累積警告となったフェリペが欠けても水曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、再びワンダで迎えるグラナダ戦も心安らかに戦える?

そして日曜の夜は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でセビージャvsマドリー戦を見たんですが、いやあ、こちらも物議を醸すジャッジが多い展開でしたね。まずは前半17分、GKボノと一緒にジャンプしたディエゴ・カルロスの腕にボールが当たりながら、ハンドでのペナルティは完全にスルー。21分にはラキティッチが直接FKを決め、セビージャが先制したんですが、ルールでは相手の作る壁から1メートル離れていないといけないはずのラメラがマドリー選手たちの間に入り、ボールの通る隙間を広げながら、こちらもまったくお咎めなかったんです。

25分にアクーニャがエリア内に入れたボールをコロナが追うのをミリトンが逃し、GKクルトワが弾いた後、ラメラに2点目を決められてしまったのはマドリーの自業自得でしたが、もちろんセビージャも当たりクジばかりではありません。37分にはすでに1枚目のイエローカードを受けていたカマビンガがマルシャルに強烈タックル。ボールにまったく触れていないにも関わらず、2枚目のカードが出なかっただけでなく、マルシャルの方はケガでラファ・ミールと交代する破目に。ええ、ロペテギ監督も「Ellos deberían haber estado con uno menos de manera clara/エジョス・デベリアン・アベール・エスタードー・コン・ウノ・メノス・デ・マネラ・クラーラ(彼らは明らかに1人少なくなっているべきだった)」と文句を言っていましたが、カマビンガはつつがなく、後半頭からロドリゴと交代していましたっけ。

まあ、そんなゴタゴタはあったんですが、この日も素直に褒めないといけないと思ったのはマドリーの根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質。いやあ、アンチェロッティ監督も後で「No hemos perdido confianza con el 2-0/ノー・エモス・ペルテディードー・コンフィアンサ・コン・エル・ドス・セロ(ウチは2-0にされても自信を失うことはなかった)。PSGとチェルシーとの試合が逆転可能なことを信じさせてくれた」と告白していたんですけどね。

後半早々、5分にはビニシウスのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)を受け、その日はメンディ、マルセロの負傷欠場で慣れない左SBを務めていたカルバハルが折り返し、水曜のチェルシー戦2ndレグでも延長戦を呼び込む起死回生のゴールを挙げていたロドリゴが撃ち込んで、反撃の狼煙を上げてくれます。残念ながら、28分にビニシウスが入れたゴールはVARのモニターチェックをした審判が腕でトラップしたと判断したため、得点にはなりませんでしたが、この時、抗議でイエローカードをもらったナチョがルーカス・バスケスの代わりにピッチに入り、37分には今度は右SBに回ったカルバハルのアシストで同点ゴールをゲット。

こうなるとももう、彼らが「ウチは早くに得点したせいで、ha habido miedo a ganar/ア・アビードー・ミエードー・ア・ガナール(勝利するのに恐れを抱いていた)」(ロペテギ監督)セビージャを生きたまま逃すようなことはなく、ロスタイム2分にはとうとう主役が登場。ええ、その日はシュートを2本程、枠から外していたベンゼマがロドリゴのパスを受け、逆転勝利の3点目を決めているんですから、凄いじゃないですか。うーん、このゴールが決まった時にはマドリーの選手たち、全員が折り重なって、まるで優勝が決まったように祝っていたんですけどね。

月曜には先週、EL準々決勝でもフランフルトに敗退していたバルサがカディスに0-1で負けてしまったため、同じ勝ち点で並ぶバルサ、セビージャ、アトレティコら、2位陣との差は揃って15に。水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのオサスナ戦にマドリーが勝てば、ほぼ優勝は確定したものと言っていいかと思いますが、意外と余裕ができたのが影響して、ここしばらくはCL準決勝専念でペースが落ちることもあるかもしれませんよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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