4日、ハダースフィールド・タウンに所属する日本代表DF中山雄太(25)の負傷状況が発表され、アキレス腱の負傷と診断。手術が必要な重傷であるとクラブが発表した。

1日に森保一監督によって発表されたカタール・ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表メンバー26名。その中に中山の名前があり、4日には背番号「20」が与えられていた。

しかし、発表翌日の2日に行われたチャンピオンシップ(イングランド2部)第19節のサンダーランド戦に出場した中山は、猛烈な雨が降る試合の中で負傷交代。担架でピッチを後にするほどのケガとなっていた。

その結果が冒頭のアキレス腱の負傷。クラブによれば、W杯の欠場はもちろんのこと、今シーズン中の復帰もできないほどだという。

W杯に行く切符を手にしてすぐに起きてしまった悲劇。どの選手にも当てはまることであり、全ての国の全ての選手が気をつけていたことだったが、換気からあまりにも早すぎる絶望となってしまった。

オランダのズヴォレで3シーズン半を戦い、今シーズンからハダースフィールドに完全移籍。イングランドでW杯に出場することを目指して経験を積んできた。東京オリンピック世代ではキャプテンも務めており、最後はオーバーエイジのDF吉田麻也に託すことにはなったが、キャプテンシーを持ち、自身を磨くことも忘れずに積み上げてきたが、大会前にその道を絶たれることとなった。

中山にはしっかりとケガを治し、4年後を目指してスタートを切ってもらいたいところだが、森保監督としては発表からわずか3日でプランが狂うこととなってしまった。そして、代わりの選手を招集しなければいけないという状況にも陥ることに。そこで、誰を呼ぶべきなのかを考察してみた。

◆左サイドバックを招集する必要はない

中山はクラブでは3バックの一角や4バックのセンターバック、さらには左サイドバック、左サイドハーフでもプレーしていた。

しかし、日本代表では左サイドバックを主戦場としており、DF長友佑都(FC東京)とのポジション争いをしている状況だった。

その中山が抜けたとなれば、そのまま左サイドバック候補のDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)が招集されるのかといえば、決してそうではないと考える。

今回選出されたメンバーでいえば、まずDF冨安健洋(アーセナル)が、今季はクラブで左サイドバックとしてプレーしており、ミケル・アルテタ監督の中で現在は本職のスコットランド代表DFキーラン・ティアニーよりも序列は上ということになる。

アーセナルの場合は、冨安を起用することで高さを与え、相手のサイドアタッカーへの守備対応、そして同サイドの味方であるブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリに攻撃をさせるため、背後の守備を託すという狙いがある。

そのため、冨安が左サイドバックでもプレーが可能に。また、DF伊藤洋輝(シュツットガルト)も代表歴は浅いが、これまでの試合では左サイドバックでもセンターバックでもプレーしている、この2人がいれば、中山の穴埋めは可能。そのため、左サイドバックの選手を代わりに招集する必要性はあまり感じないと言える。

◆ハードワークとユーティリティ性を求めるべき

そうなれば、センターバックの代わりを呼ぶべきかという話にもなるだろう。現状、DF吉田麻也(シャルケ)、DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)、DF板倉滉(ボルシアMG)が招集されており、冨安、伊藤を入れると5名になる。

グループステージ3試合を全て同じメンバーで戦うことはまず不可能。ベスト8を目指す上では、選手たちを入れ替えて戦うだけに、5人いれば2人が左サイドバックを務めても人数としては足りている。

では、ディフェンスライン以外でどこの選手を呼ぶべきか。候補として上がりそうなのは、驚きの落選となったFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)やMF原口元気(ウニオン・ベルリン)、FW古橋亨梧(セルティック)あたりと言えるだろう。

ただ、大迫を外した時点で、森保監督の中の対戦シミュレーションでは戦い方が決まっているはず。そして古橋に関しては、前線からのプレスをかける仕事、そしてゴールを奪う仕事という点では戦い方にハマるはずだが、単純にFW浅野拓磨(ボーフム)、FW前田大然(セルティック)に序列で負けたと言える。そのため、このタイミングでも招集されないと考えられる。

そうなればやはり中盤に1人呼ぶ方が得策。そこで候補に上げたいのが原口、そしてMF旗手怜央(セルティック)だ。

原口に関してはブンデスリーガで首位に立つチームで徐々にパフォーマンスを上げ、出場機会を掴み、レギュラーになりかけているところ。一方の旗手は、成長著しく、チャンピオンズリーグ(CL)でもトップクラスの相手と対戦。力をつけている状況だ。

原口はロシアW杯も経験しており、攻守でチームに貢献できるだろう。また、[4-2-3-1]、[4-1-4-1]、[3-4-2-1]とどのシステムでもプレーが可能な選手だ。旗手もどのシステムでも起用ができる選手であり、特にプレー強度や判断力は攻守にわたって伸びている印象が強い。

つまり、この2人に共通するのは、ユーティリティ性と献身性、そして豊富な運動量。原口は左サイドやトップ下、ボランチでもプレーが可能。3バック時にウイングバックでもプレーはしたことがある。旗手は川崎フロンターレ時代に左サイドバックとしてプレーしており、最初は不安視された守備対応も能力を上げた。

旗手怜央は、徐々にポジションが前になり、現在はインサイドハーフやボランチでプレーすることが多いが、高いレベルで色々なポジションでプレーできるユーティリティ性を持っていると言える。サイドバックとしての経験も生きるだろう。

ドイツ、コスタリカ、スペインと相手によってシステムを変える可能性もあり、試合中にシステム変更も考えられる状況。その中で、連戦で高いレベルで選手を揃える必要があると考えれば、この2人のどちらかが適していると言える。

◆いきなり試練が訪れた森保ジャパンは更なる想定を

中山のケガは完全にアウトであり、欠場は致し方ない。しかし、現在招集した日本代表の選手にはケガ人が大量にいる状況。9月に重傷を負った板倉、浅野は実戦から遠ざかっており、すでにボールを使ったトレーニングをしているようだが、コンディション面、試合に関わる体力や感覚は不安材料と言える。

さらに、MF久保建英(レアル・ソシエダ)は肩の脱臼、MF守田英正(スポルティングCP)はふくらはぎ、そしてMF田中碧(デュッセルドルフ)もヒザを負傷し、それぞれ試合出場が減ることとなる。

それぞれがどの程度でプレーが可能になるか、そしてどれだけベストなパフォーマンスを出せるのかは不明。結果、回復しない可能性もあり、そうなれば初戦の24時間前までは選手を入れ替えられるため、その想定も必要となる。

とにかく、残り期間でのケガはW杯出場を断念せざるを得なくなる可能性が高いだけに、選手たちには気をつけてプレーしてもらいたいところだ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》