2023年初戦完敗のコンテ、「ファンは最高に値するが、チームはおそらく5番手…」
再開初戦となったブレントフォード戦を2-2のドローで終えた5位のトッテナムは、1月1日に行われたプレミアリーグ第18節でアストン・ビラと対戦した。
2023年初戦となったホームゲームで勝利を目指したチームは、今シーズンの課題である前半を低調な内容ながらも最低限のゴールレスで終えた。
だが、後半立ち上がりにGKウーゴ・ロリスのファンブルをキッカケにMFエミリアーノ・ブエンディアにゴールを決められ、10試合連続で先制点を献上。さらに、後半半ばには自陣でのボールロストからカウンターを浴びてMFドウグラス・ルイスに2点目を奪われた。その後、フレッシュな選手の投入で反撃を試みたが、敵将ウナイ・エメリによる堅守を最後までこじ開けられず。ホームで厳しい0-2の完敗を喫した。
同試合後、公式会見に出席したコンテ監督は、全体のパフォーマンスはそれほど悪いものではなかったと主張。ただ、FWリシャルリソン、FWルーカス・モウラに加え、MFデヤン・クルゼフスキと主力の離脱による攻撃の問題を認めている。
「パフォーマンスについては、良いパフォーマンスだったので、失望はしていない。最初から最後まで、正しいコミットメント、正しいインテンシティ、3ポイントを獲得するための正しい欲求、デュエルに勝つこと、ハイプレス、走ることは見られた」
「前半はゲームを支配していたにもかかわらず、11人のプレーヤーで深く守るチームがいたため、得点するチャンスを作ることができなかった。後半も同じような展開になったが、またもや失点してしまった。この期間、我々は失点に対してあまり幸運ではない」
「あのゴールが状況を変え、プレーヤーたちの気持ちや自信を変えたと思う。なぜなら、前半はずっと頑張っていたのに、0-1という結果には値しなかったからだ」
「その後、他の状況(他の試合)で、我々は良いカムバックを見せてきた。だが、今日はそれをできなかった」
「(攻撃の枚数不足)それは明らかで、シーズン序盤から我々の状況を見て取れると思う。良い試合をした(加入後初先発の)ブライアン・ヒルがいたことを前もって言っておくが、彼は若いプレーヤーだ。今日の試合で彼から見たものには満足している」
「次に、ケイン、ソン、リシャルリソン、クルゼフスキがいる。 そのうちの2人が負傷している。今シーズン、リシャルリソンとクルゼフスキに数回起こったことによって難しさを感じている。また、ソニーは改善を続けなければならず、この状況を難しくしている」
「今日に関しては相手チームが非常に深く守っていることが分かり、前線で少し苦労した。試合を変える解決策がベンチにある場合は、試合中にカードを変更できるので簡単だが…」
この敗戦によっていずれも1試合消化が少ない首位アーセナルと13ポイント差、4位のマンチェスター・ユナイテッドと2ポイント差と優勝争い、トップ4争いで厳しい立場に晒される。
開幕前にはタイトルコンテンダーの一角を担うことが期待された中での苦しい現状だが、現実的なイタリア人指揮官はクラブの財政規模、現状のスカッドを考えれば、ある意味で妥当な状況だと諦めにも似た見解を示した。
「クラブの財政のために、昨シーズンは奇跡を起こしたと、私は繰り返し言い続けている。なぜそうなったのか? 昨季の我々はたった1つのコンペティションを戦っただけであり、12〜13人のプレーヤーでプレーし、最後の15試合ではケガもなく、毎試合最高のプレーヤーでプレーしたからだ」
「残り4試合でアーセナルに4ポイント差を付けられ、優勝したマンチェスター・シティとは20ポイント差以上を付けられていたことを忘れてはならない」
「そして、私はクラブと非常に明確だった。当初、人々はトッテナムをタイトルコンテンダーとして語っていたが、私の経験では、そういった見解は少しクレイジーだった」
「タイトルコンテンダーになるには、何かを勝ち取るために戦う準備ができているチームになるには、強固な基盤が必要だ。つまり、14人か15人の強力なプレーヤー、質の高いプレーヤー、その他の若いプレーヤーを育成する必要がある」
「そして毎シーズン、2人のプレーヤーを加えることができ、その2人は5000万ポンド、6000万ポンド、7000万ポンドを投資し、チームの質とレベルを向上させる重要なプレーヤーでなければならない。それがプロセスだ」
「人々は良い監督やプレーヤーが到着すれば、すぐに勝てると思っている。それは、過去に勝つことに慣れているチームに起こる可能性だ。しかし、慣れていない場合は、この状況を作り出す必要があり、そのために時間と忍耐が必要だ。ファンが『でも、ずっと我慢してきたから』と言ってがっかりしているのも理解できるが、状況はこうだ。真実を知りたければ、私は真実を話すことができる」
「私はそういった期待について考えるべきではない。監督として、現実が何であるかを理解している。クラブのビジョンを知っているし、クラブは状況に対する私の考えをよく知っている。そして、状況は非常に明確だ」
「私は働き続け、改善し、強固な基盤を築き、発展させるのを助ける。シーズン初めに、私はクラブに対して非常に明確だった。私は、『勝つために競争力を発揮することはできるが、我々ができる方法で改善を続けてほしい』と言ってきた。2億ポンドまたは3億ポンドを投資できるクラブや、異なるポリシーを持つ他のクラブがあることも知っておく必要がある。繰り返しになるが、ポリシーを尊重する必要がある。ポリシーはすべての人に対して非常に明確でなければならない」
「私はこのことをシーズン序盤から繰り返して話してきた。私は状況をよく理解していたし、この瞬間を待っていた。このリーグの状況では、すぐに滑り落ちる可能性があるため、今は力強く戦い始めなければならない」
「プレーヤーとも話したが、最初から最後まで道のりは長くないし、戦いには注意が必要だ。準備ができておらず、状況をよく理解する謙虚さがなければ、すぐに滑り落ちてしまう可能性がある」
また、公式会見に先駆けて行った『BBC』のインタビューでは、「正直でありたいし、ハッキリさせておきたい。私はクラブにも自分の意見を言った。ファンは最高に値する。だが、チームはおそらく5位にとどまるのがベストだ。おそらく6位、7位、5位、あるいは4位がベストだ」と、チームの現状は5番手程度だとの過激な主張も行っている。
現在、コンテ監督がスカッドの力を完全に引き出しているとは言い難いが、ここ最近のチームパフォーマンスを見ると、今冬の移籍市場で幾つかのポジションのテコ入れは必須と言える。