FAカップ4回戦、マンチェスター・シティvsアーセナルが27日にエティハド・スタジアムで行われ、1-0で勝利したシティが5回戦進出を決めた。なお、アーセナルのDF冨安健洋は先発フル出場した。

今大会初戦でチェルシーを4-0の圧勝で退けたシティ。以降はサウサンプトン、マンチェスター・ユナイテッド相手に今季初の公式戦連敗を喫したが、直近のプレミアリーグではトッテナムとウォルバーハンプトンに連勝を飾り、しっかりとリバウンドメンタリティを示した。そして、今回のFAカップ4回戦ではリーグ戦で優勝を争うライバルと今季の公式戦初対戦となった。

グアルディオラ監督は2試合を残すリーグ直接対決の前哨戦に向け、ウルブス戦から先発2人を変更。GKをオルテガに代えたほか、ラポルテに代えてアケを左サイドバックに置いた。

一方、3部のオックスフォードを3-0のスコアで一蹴し、初戦を突破したアーセナル。以降はトッテナム、ユナイテッドとのタフなリーグ戦を連勝で飾り、公式戦6勝1分けの7戦無敗と好調を維持している。

アルテタ監督はプレミア2連覇中の王者との今季初対決に向け、ユナイテッド戦から先発6人を変更。GKをターナーに変更したほか、ディフェンスラインはガブリエウを除く3人を入れ替え、冨安とホールディング、ティアニーを起用。中盤と前線ではウーデゴールとマルティネッリに代わってファビオ・ヴィエイラ、加入後初スタメンのトロサールが入った。

互いに前から相手のビルドアップに強い制限をかけるアグレッシブな入りを見せる。強豪対決らしい緊迫感が漂う中、冨安が両チームを通じて最初の見せ場を作る。

開始5分、ボックス付近で果敢に仕掛けた左サイドのトロサールがDFの視線を引き付けながらマイナスに折り返すと、ボックス手前右で一瞬フリーとなった冨安が右足を一閃。抑えの利いた鋭いシュートが枠を捉えるが、これはGKオルテガの好守にはじき出される。

この冨安の決定機をキッカケに試合が動き始めると、今度はホームのシティにビッグチャンス。9分、ハイラインの背後を狙うハーランドへグラウンダーのスルーパスが出ると、DFホールディングの拙い対応からノルウェー代表FWが抜け出しかけるが、ここは勇気をもってエリア外に飛び出したGKターナーがブロック。さらに、浮き球となったこぼれ球をハーランドがオーバーヘッドで狙うが、ややパワー不足のシュートは冨安が冷静なゴールカバーで凌いだ。

互いに一度ずつチャンスを作り合った後は、一部控え選手が力不足を露呈するアウェイチームに対して、攻守両面で勝るホームチームが主導権を握る。

ただ、アーセナルも左サイドで切れ味鋭い仕掛けを見せるトロサールが要所で見せ場を作り、決定機やフィニッシュの数では拮抗。シティがデ・ブライネの正確な左足シュート、ハーランドの爆発的な飛び出しでチャンスを作れば、アーセナルもトロサールの際どい枠内シュートやゴール前のエンケティアのワンタッチシュートで応戦した。

前半終了間際には右ハムストリングを痛めたストーンズがプレー続行不可能となり、ラポルテのスクランブル投入というアクシデントに見舞われたが、均衡が保たれたまま試合は折り返した。

迎えた後半、守勢のアーセナルはトーマスとホールディングを下げてサンビ・ロコンガとサリバをハーフタイム明けに投入した。

一方、後半も同じメンバーで臨んだシティは、ここ数試合得点が目立つ立ち上がりにチャンスを作り始めるが、ゴールをこじ開けるまでには至らず。これを受けて58分にリコ・ルイスとマフレズを下げてウォーカー、アルバレスを同時投入すると、結果的にこの交代が先制点をもたらす形に。

64分、ボックス手前で一瞬浮いたアルバレスが鋭い右足のミドルシュートを放つと、これが左ポストを直撃。この撥ね返りをボックス内で収めたグリーリッシュが冨安とサカに囲まれながらも、内側でサポートに入ったアケに短く繋ぐ。ここでオランダ代表DFは利き足とは逆の右足のコントロールシュートをゴール右下隅へ流し込んだ。

守勢を耐え切れずにビハインドを負ったアーセナルは、直後にトロサールとティアニーを下げてマルティネッリ、ジンチェンコと左サイドにレギュラーコンビを投入。さらに、サカを下げてキャプテンのウーデゴールをピッチへ送り出す。

この交代によって劣勢だったボールの主導権争いでやや優位に立ち、サイドを起点にゴールを目指していくが、我慢のしどころを理解するホームチームの堅守を前に攻め切れない。冨安らの際どいクロスやマルティネッリの個人技でチャンスの糸口を手繰り寄せようとするが、フィニッシュまで持ち込めず。

結局、60分以降はアーセナルにシュートを放つことも許さない安定したゲーム運びで逃げ切ったシティが、今後のリーグ戦直接対決に向けた前哨戦を勝利で飾り、5回戦進出を決めた。一方、ターンオーバーの影響も大きかったアーセナルは、公式戦8試合ぶりとなる新年初黒星を喫することになった。