チャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグ、レアル・マドリーvsマンチェスター・シティが、日本時間9日28:00にサンティアゴ・ベルナベウでキックオフされる。昨季セミファイナルで死闘を演じた両雄が1年ぶりに対峙する、事実上のファイナルとも評されるビッグマッチ初戦だ。

大会連覇を目指すマドリーは、ラウンド16でリバプールを2戦合計6-2、準々決勝でチェルシーを2戦合計4-0といずれも大差を付けて危なげなくベスト4進出を決定。今ラウンドではイングランド勢3連戦を締めくくる相手として、昨季準決勝で激闘を演じた因縁の相手との1年ぶりの再戦が決まった。

宿敵バルセロナの独走によってラ・リーガ2連覇の可能性が早い段階で消滅したことで、チームは先月からCL連覇とコパ・デル・レイの2つのコンペティションを優先した戦い方へ完全にシフト。これにより、主力を温存したリーグ戦のアウェイゲームでは不甲斐ない内容での敗戦もあったが、主力起用のホームゲームではきっちり結果を残す。さらに、直近のコパ決勝ではオサスナに苦戦を強いられたものの、決勝での圧倒的な勝負強さは健在で、FWロドリゴのドブレーテの活躍によって2-1の勝利。2013-14シーズン以来、9シーズンぶりの同タイトル獲得と共に、昨季のアンチェロッティ就任以降で獲得可能なクラブタイトル総なめにする偉業を達成。一部主力の復帰を含め最高の状態でこのセミファイナル初戦を迎えることになった。

対するシティはラウンド16でRBライプツィヒを2戦合計8-1、準々決勝でバイエルンを2戦合計4-1で撃破。ドイツ勢に圧倒的な力の差を見せて連破し、昨季敗れた前大会王者への挑戦権を手にした。

対戦相手とは異なり、3連覇を狙うプレミアリーグでは1試合消化が多い、2位のアーセナルとの1ポイント差の熾烈な優勝争いが続く。ただ、シーズン最終盤の圧倒的な強さは今季も健在で、幾つかのポジションでターンオーバーを敢行しながらも、目下リーグ10連勝と絶好調だ。完全に本気モードで戦ったアーセナルとの頂上決戦以降の3試合では格下相手にやや苦戦も見受けられたが、十分な余力を残して勝利しており、最高の状態で敵地へ乗り込む形となった。

なお、両者の通算対戦成績は3勝2分け3敗の全くの五分。前述した昨季準決勝ではシティがホームでの初戦を4-3で先勝し、アウェイでの第2戦も73分にFWマフレズのゴールで先制に成功。この時点で2シーズン連続のファイナル進出を疑う者は誰一人いなかったが、マドリーが試合終了間際の90分からのロドリゴのドブレーテによって土壇場で追いつく驚異的な粘りを見せた。

そして、両者の精神状態が色濃く反映された延長戦ではエースFWベンゼマのPKによるゴールで勝ち越したエル・ブランコが、これぞ“ベルナベウ劇場”という圧巻のレモンターダでファイナル進出を決定。そして、リバプールとの決勝で最多優勝記録を14回に更新している。

◆レアル・マドリー◆
【4-3-3】
予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.
GK:クルトワ
DF:カルバハル、リュディガー、アラバ、カマヴィンガ
MF:バルベルデ、クロース、モドリッチ
FW:ロドリゴ、ベンゼマ、ヴィニシウス

負傷者:DFメンディ
出場停止者:DFミリトン(1/1)

累積警告で1試合停止のミリトンが欠場となる。負傷者に関してはアラバとモドリッチの復帰によって、メンディを除く全選手が起用可能だ。

スタメンに関してはミリトンの代役にリュディガーが入る以外、前述のベストメンバーが起用される見込みだ。その他のオプションではナチョを左サイドバックで起用し、カマヴィンガをアンカーに置く形、バルベルデを右ウイングに置きチュアメニをアンカーに配置する形も考えられる。

◆マンチェスター・シティ◆
【3-2-4-1】
予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.
GK:エデルソン
DF:ウォーカー、ルベン・ディアス、アカンジ
MF:ストーンズ、ロドリ
MF:ベルナルド・シウバ、デ・ブライネ、ギュンドアン、グリーリッシュ
FW:ハーランド

負傷者:DFアケ
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者は直近のリーズ戦で負傷交代したアケが遠征メンバーを外れており、唯一の欠場者となる。

ヴィニシウスへの対策を含め先日のアーセナル戦で使った[4-2-3-1]の可能性もあるが、マドリーのプレッシング能力を考慮して後半戦のメインシステムである可変式の[3-2-4-1]の採用を予想する。

スタメンは前述の11人を起用する可能性が非常に高いが、マフレズやフォーデンとワイドのポジションを入れ替える可能性はありそうだ。

★注目選手
◆レアル・マドリー:FWロドリゴ・ゴエス
Getty Images
驚異の勝負強さで再びシティに悪夢を見せるか。世界屈指のタレントが対峙するビッグマッチにおいて、マドリーではベンゼマとヴィニシウスの両エースに、司令塔モドリッチ、ミリトン不在のディフェンスラインと注目プレーヤーは枚挙にいとまがない。しかし、前回対戦で主役を演じた22歳のプレーに注目したい。

昨季、4シーズンぶりのビッグイヤー獲得を果たしたマドリーにおいて、大会得点王のベンゼマと守護神クルトワの活躍が光ったが、準々決勝と準決勝の劇的逆転突破に繋がる3ゴールを挙げた若武者の活躍は非常に重要だった。とりわけ、前述の前回対戦でのブラジル代表FWのドブレーテは、まさに神がかりな所業と言えた。

今季ここまで51試合16ゴール11アシストとキャリアハイを更新するロドリゴは、前ラウンドのチェルシー戦でも2ndレグで相手の息の根を止めるドブレーテ、コパ決勝のオサスナ戦でもチームを優勝に導くドブレーテを記録。勝負強さにおいては両エースに全く引けを取らない。また、イングランド勢を完全にカモにするベンゼマには及ばないものの、通算13試合で5ゴールとイングランド勢を得意としている。

今回の対戦では相手にボールを持たれる展開の中で守備面のタスク、カウンター時の起点となるプレーも重要となるが、再び決定的な仕事を果たし、ペップ率いるチームにベルナベウでの悪夢を見せられるか。

◆マンチェスター・シティ:FWアーリング・ハーランド
Getty Images
来年夏の移籍も噂されるエル・ブランコとの初対戦。昨夏、幾つかのメガクラブが獲得に乗り出した中、シティを新天地に選んだ怪物FWは、デ・ブライネら世界屈指のチャンスメーカーの恩恵もあり、ここまで公式戦46試合51ゴールと驚異的なペースでゴールを量産。クラブのシーズン最多ゴール記録に加え、先日のウェストハム戦ではプレミアリーグのシーズン最多ゴール新記録(35ゴール)を樹立している。

そのノルウェー代表FWに関しては以前から獲得に強い関心を示すマドリーが、ベンゼマの後釜として2024年夏の獲得に乗り出すとの噂も報じられており、今回の初対決ではその一挙手一投足に注目が集まるところだ。

この初対戦では対人守備に関して世界屈指と評されるDFミリトンがサスペンションで不在となり、同じく対人に自信を持つDFリュディガーが代役を担うとはいえ、シティとしてはディフェンスラインとのマッチアップで優位性をもたらせるエースストライカーのパフォーマンスが難所攻略のカギを握るはずだ。とりわけ、ここ最近の試合でマドリーは被カウンター時の対応や、背後のケアに問題を抱えており、駆け引きの巧さと驚異のスプリント能力という自身の特長を遺憾なく発揮したいところだ。