プレミアリーグ第36節、アーセナルvsブライトンが14日にエミレーツ・スタジアムで行われ、アウェイのブライトンが0-3で勝利した。なお、アーセナルのDF冨安健洋は負傷欠場、ブライトンのMF三笘薫は先発フル出場した。

2位のアーセナルは前節、ニューカッスルとのアウェイ開催の上位対決に2-0の勝利。頂上決戦での敗戦後にチェルシー、ニューカッスルという難敵を連破してリバウンドメンタリティを示した。そして、今季公式戦1勝1敗の難敵相手のホームゲームで3連勝を狙った。ニューカッスル戦からは負傷のジンチェンコに代えてティアニーを代役に起用した以外、同じスタメンを継続。古巣初対戦のトロサールはベンチスタートに。

対する7位のブライトンは前節、残留争いに身を置くエバートンに1-5の惨敗。ヨーロッパコンペティション出場権争いで痛い取りこぼしとなった。シーズン最終盤の過密日程が続く中、2位チームのホームに乗り込んだ一戦では先発4人を変更。負傷のウェブスターやウェルベックらに代わってコルウィルやファーガソンを起用。今季アーセナル戦で2戦連発の三笘は、昨年10月のブレントフォード戦以来となる右ウイングでスタメンに入った。

右サイドのユニットをカイセド、三笘で構成するなど対アーセナルを窺わせる変化を見せたブライトン。これに対してホームチームは普段通りにアグレッシブな入りを見せた。

立ち上がりにウーデゴール、三笘、マルティネッリと接触プレーなどのアクシデントでメディカルスタッフがピッチに入ってプレーが途切れる状況が続いた中、10分過ぎから試合が動き始める。12分、GKを使ったビルドアップでプレスを剥がし、エンシソへのロングフィードで一気に局面を変えたブライトンは、ボックス左に持ち込んだエンシソのシュートでゴールを脅かすが、これはGKラムズデールの好守に遭う。

一方、アーセナルは試合序盤にアクシデント発生。カイセドとの接触プレーで左足を痛めていたマルティネッリが一度はプレーに復帰したが、自らピッチに座り込んでしまい、トロサールがスクランブル投入された。これで嫌な空気が漂うが、24分にはボックス右に持ち込んだガブリエウ・ジェズスが最初の枠内シュートでGKスティールに好守を強いる。

前半半ば以降は互いに要所で相手の前からの圧力を剥がして局面を打開し、チャンスを作り合う拮抗した展開に。31分、アーセナルは中盤での潰しからスムーズにボールを繋ぎ、最後はボックス手前のトロサールが鋭い右足のシュートを放つが、これはクロスバーの上部を掠めて恩返し弾とはならず。

対するブライトンはエンシソと三笘のサイドを本来の形に入れ替えると、その効果が早くも発揮される。37分、コルウィルのフィードに抜け出した三笘が得意の緩急を付けた一対一の仕掛けでDFホワイトを突破。ゴールライン際から完璧なプルバックを見せるが、GKに触られてやや後ろに流れたボールに反応したエンシソのダイレクトシュートは枠を捉え切れず。

その後はブライトンが引き続きボールの主導権を握るが、球際の勝負での優位性、連動したプレスが光るアーセナルがより効果的にフィニッシュのシーンを作り出す。だが、ハーフタイム直前のサカ、ウーデゴールのシュートは枠を捉え切れず。試合はゴールレスのまま折り返すことになった。

互いに選手交代なしで臨んだ後半も拮抗した展開が続く。そういった中、相手の一瞬の隙を突いたアウェイチームが先にゴールをこじ開ける。

51分、左サイドでスペースに抜け出した三笘が前線でタメを作ってオーバーラップしたエストゥピニャンをシンプルに使う。エクアドル代表DFの1本目のクロスはDFティアニーに撥ね返されるが、その撥ね返りをすかさず折り返すと、ゴール前でフリーのエンシソが冷静にヘディングで流し込んだ。

逆転優勝へ勝ち点3が必須な状況の中、先に失点する厳しい展開となったアーセナルは、61分に2枚替えを敢行。ジョルジーニョとジャカを下げてトーマスとネルソンを同時投入。ネルソンを左ウイング、トロサールをインサイドハーフに配する攻撃的な布陣にシフト。この交代直後には流れるような展開からボックス手前でボールを受けたネルソンが鋭いひざ下の振り抜きから枠のわずか右に外れる際どいシュートを放った。

後半半ばを過ぎると、互いに徐々に疲労が出てきて試合はオープンな展開に。その中でアーセナルの攻勢を身体を張った守備で撥ね返すブライトンは、DFホワイトとのマッチアップで優位に立った三笘がチャンスメークの部分で存在感。そして、途中出場のウェルベックやマク・アリスターがミドルレンジからのシュートで2点目に迫る。

交代直後こそ良い流れを作ったものの、ジリ貧の感があるホームチームは77分にウーデゴールとジェズスを諦めてスミス・ロウ、エンケティアと生え抜きのアタッカーを同時投入。交代枠を使い切って逆転を目指す。

一方、冷静に時計を進めるブライトンはハムストリングを痛めたエンシソがプレー続行不可能となった中、急遽ウンダブをピッチに送り出すと、この交代が思わぬ追加点をもたらす。

86分、アーセナルのビルドアップの場面でGKラムズデールから縦パスを受けたトロサールのフリックをグロスがブロック。これがペナルティアーク付近でドフリーのウンダブのところに転がると、ドイツ人FWはGKの頭上を狙った絶妙なループシュートを無人のゴールへ流し込んだ。

ミス絡みの2失点目で完全に詰んだアーセナルは今季幾度も見せてきた火事場の馬鹿力で、何とか勝ち点を得ようと前に出る。だが、したたかなブライトンは危なげなく攻勢を受け止めると、96分にはカウンターからウンダブのミドルシュートのこぼれに反応したエストゥピニャンがトドメの3点目を叩き込んだ。

そして、躍動ブライトンに今季リーグ戦ホームゲーム2敗目を喫したアーセナルの19シーズンぶりの逆転優勝の夢は残酷な形でほぼ潰える形に。一方、エバートン戦大敗からのバウンスバックに成功したブライトンはヨーロッパリーグ出場権獲得に向けて大きな勝ち点3を詰んだ。