川岸に植えられた桜は、枝が川面へと垂れ、満開の時期には幻想的な風景が広がります。まるで川面を覆うように咲く桜は見事です。東京では「目黒川の桜」が川岸の桜名所として知られていますが、まだまだ知られていない穴場な川岸の桜並木があるのをご存じですか? 地元住民に愛されている、のんびりお花見ができる川岸の桜の名所をご紹介します。


のんびりと川岸の桜を愛でて
 川岸に桜が多いのは、川の氾濫を防ぐために土手に桜を植え、花見客に土手を踏み固めてもらおうという、災害対策のためだったそうです。

 江戸時代のこの名案のおかげで、私たちは毎年、川岸の美しい桜の花を楽しむことができています。

 川岸に植えられた桜の枝は、川面に反射する太陽の日差しを受け、川面へと枝を伸ばします。

 満開の時期には、両岸からせり出した桜が向かい合い、まるで桜のトンネルのような美しい光景を見せてくれます。

 有名な「目黒川の桜」もステキですが、都会の喧騒から離れてのんびり桜を楽しみたい人に訪れてほしい、穴場な川岸の桜スポットをご紹介。春に包まれながら、川岸を散策してみませんか。


●南阿佐ヶ谷「善福寺川緑地」
 杉並区・善福寺川沿いに広がる善福寺川緑地。川に沿って4.2kmに及ぶ桜並木が連なり、両岸の遊歩道を散策しながらのんびりと桜を鑑賞できます。

 水面近くまで垂れ下がった満開の桜は圧巻。川にはところどころ小さな橋がかかっているので、いろいろなアングルから写真撮影を楽しめます。

 手をつないで仲良く歩いている老夫婦や、ペットとお散歩している人たちを眺めながらのお花見は、ほっこり穏やかな気持ちに。

 華やかなライトアップや縁日はないけれど、暖かい日差しを感じながらのんびりとしたお花見を楽しめますよ。


●調布「野川河川敷」
 調布市を流れる野川にかかる御塔坂橋から細田橋の間の両岸には、ソメイヨシノが植えられており、桜の季節には野川に桜が覆いかぶさるように、見事に咲き誇ります。

 河川敷を歩くことができるので、広い空のもと川のせせらぎを聞きながら桜を鑑賞できるという、自然をたっぷりと味わえるのが魅力です。

 野川の桜で見逃したくないのが、一夜限りの夜桜を演出するライトアップイベント。野川の両岸に咲く桜並木、約630mがライトアップされ、美しく幻想的な夜桜を堪能できます。

 昨年まではコロナで中止だったのですが、今年は開催されるでしょうか? 2日前にHPで告知されるそうですので、わくわくしながら吉報を待ちましょう。


●中板橋「石神井川の桜並木」
 中板橋駅の北側を流れる石神井川。約2kmにわたり植えられた両岸の桜が満開になると、辺りがピンク色に染まります。

 とりわけ見事なのは中板橋駅周辺の桜で、東武東上線の電車から、美しい桜を眺めたことがある方も多いのではないでしょうか。

 両岸にはソメイヨシノ・ヤマザクラ・オオシマザクラなど、約1000本の桜が咲き誇り、夜になると提灯が灯されて、ほんのり淡い光に照らされた夜桜見物を。

 人通りも少なくなり、はかなく美しい夜桜を、自分のペースでゆっくりと楽しむことができます。


のどかな川の桜名所
 住宅地に寄り添うように流れるのどかな川の桜名所。これまで長きにわたり地元住民に愛されて続けてきたこれらの場所では、普段の生活を感じられ、観光地とは違う空気が流れています。

 のんびりとお花見をしたい方は、ぜひ訪れてみてください。

 途中の商店街の和菓子屋さんで、お花見団子を購入して、ほっこり癒しのお花見を楽しむのもおすすめです。


■善福寺川緑地
住所:東京都杉並区成田西1-30-27
TEL: 03-3313-4247(善福寺川緑地サービスセンター)
アクセス:東京メトロ丸ノ内線 南阿佐ヶ谷駅より徒歩10分
京王井の頭線 西永福駅・浜田山駅より徒歩15分

■野川河川敷
住所:東京都調布市深大寺元町1-13-11
TEL:042-481-7184(調布市観光協会)
アクセス:京王線 調布駅より徒歩18分

■石神井川の桜並木
住所:東京都板橋区中板橋〜加賀
TEL:03-3579-2255(板橋区観光協会)
アクセス:東武東上線 中板橋駅より徒歩5分
都営三田線 新板橋駅より徒歩10分