女性的なキャラクターに苦戦「僕もミツルも男だし」

――金子さんはこのミツルというキャラクターをどのように作っていったのでしょうか?

金子:最初の本読みの時点で、白石(晃士)監督から、少しでも僕の話し方みたいなものが出ると「男っぽい、それダメ」と言われて。

「僕もミツルも男だし」って思ったりしもしましたが(苦笑)、白石さんの中にはこれ、というものがあったので、それに合わせていくのはすごく難しかったです。

あとは「明るくバカにやってくれ」と言われましたが、本読み以降は好きなようにやらせてくださいました。

――衣装やメイクも中性的というか、独特ですよね。

金子:最初はあの衣装も違和感しかなくて(苦笑)。鏡を見て「俺はミツル、俺はミツル」と言ってなじませようとしていました。

醍醐:そのせいか(金子が衣装を)脱いでるとき、すごく気持ちよさそうで(笑)。着替えて、髪をかき上げながら眉間にしわを寄せている瞬間が僕は大好きでした。「きっと、いろんな葛藤があるんだろうな」と思いながら見ていました。

金子:「やっと自分に戻った!」ってね(笑)。

――醍醐さんはカケルというキャラクターをどのように作っていきましたか?

醍醐:とりあえずバカっていうのはありつつ、ミツルのことが好きというのを軸に置いて、そこから派生させながら作っていきました。愛されるキャラクターでもあるので、嫌味みたいなものが出ないように、変な計算はせずにわかりやすく演じることは考えていたかも知れないです。

―― 白石監督の演出で印象的だったことはありますか?

金子:最初から少し変わった演出方法でした。物語自体が未来の話ということもあって、求められるお芝居もこれまでやってきたことと違いました。フェイクドキュメンタリーとはいえ、白石さんの中には正解があったんです。

醍醐:フェイクドキュメンタリーと聞いて、僕らはできるだけナチュラルにした方がいいのかな、と思っていたんですけど。

金子:ナチュラル過ぎると、わりと「そこは違います」ってなる。

醍醐:「ここでこのセリフの言い方なんだ」と思うこともあって。どういうふうに感情をつなげていけばいいか、悩んだこともありました。でも僕には想像できない範疇の考えを持っている方なので、そこに触れられるのは楽しかったです。新鮮でした。

――本作にはいくつかの未来的なエピソードが出て来ます。脳内チップ、記憶の再生・移植、AI恋人などもありましたが、気になるものはありましたか?

醍醐:カケルが体験するバーチャルセックスは気になりました。実際には何もせずに脳に刺激を与えるだけで体験したかのように感じるって。

金子:要は何だって脳ってことなんだろうね。例えば、手で何かを触って、触ってると脳が感じるから、触ってるとわかるわけで。身体を動かさなくても、最初から脳をいじればすべての感覚を体験できるってことだよね。

――AI恋人もそれに近いものがあるというか。自分の一番好みのタイプに作ることができますからね。

醍醐:僕は他人がAI恋人と付き合うのは人それぞれなので良いとは思うんですけど、自分って考えたらちょっと嫌かもしれないです。

金子:ちょっと寂しいよね。

醍醐:脳ではいると感じているからいいのかも知れないけど。共有できないものがあるのは寂しい気がしますね。

――本作はコメディなのですが、そうやって想像すると考えさせられてしまう事柄も描かれています。演じるときはどんな想いだったのでしょうか?

醍醐:演じるときはもうそれが当たり前の世界だったので、その設定に違和感を持つことはなく、シンプルに「お金持ちになって、脳内チップを入れたい」と思ってやってました。今以上に貧富の差が大きくなっているとか、そういう複雑なことは考えてなかったです。

金子:そういうことよりも、ミツルにとってはカケルと二人で正義マンをやれていることが楽しくて。お金持ちになりたい、という気持ちもあっただろうけど、ミツルはカケルと一緒にいられるだけで幸せだったんじゃないかなと思います。

自分が好きな人と一緒に自分たちが好きなことを配信して、それで周りの人たちも幸せな気分になってくれたら嬉しい。ミツルはそういう人だから。