3.行動が荒い

男の子といえば、公園に行ったら、すぐ水に飛び込んだり、平気でどろんこになったり、家では兄弟と一緒に暴れて家の中がドタバタと大変! というのはよくある話。

これについてはどうすればいいでしょうか?

荘厳「私が勤務していた大学の教室の2階の窓から、隣接する保育園の遊戯室が見下ろせました。その教室で試験監督をするときには、いつも遊戯室を見ていましたが、男の子と女の子で、行動に大きな違いがありました。

男の子たちはすぐに追いかけ合いになり、途中で止まれません。勢い余って教室の端まで走ってしまいます。女の子たちは勢いが弱いですから、相手を追い抜いてしまうことはありませんし、もう少し戦略的な行動をとります。

小学校入学までの男の子たちは全員ADHDであるといっても言いすぎではありません。

『荒れる小一』という言葉がありますが、ADHDの確定診断が下るのが平均8歳。つまり小学校に入学してからで、授業中の教室をウロウロ歩き回ったり、物をなくしたり忘れ物をしたりという行動が目立つようになって初めて、診断が下りるのです。

ですが、成長と共にこのような問題行動が消失していくことも多々ありますし、昔は『おっちょこちょい』という言葉でひとくくりにされていました。これが今ではADHDという“病気”になってしまったとも言えます。

ですから、行動が荒いということで気に病んでいるのなら、待ちましょう。男の子らしいと思えば心配ごとではなくなるのでは?」

4.落ち込みと有頂天の差が激しい

男の子を育てていて、怒られたら激しく落ち込むのに、褒められると有頂天に。その差が激しくて、こんなに差があっていいの?将来が心配。なんてお悩みもあるあるです。

荘厳「子ども期の感情コントロールは確かにむずかしいものです。

感情をはじめ、行動のコントロール機能は、脳の前頭前野と呼ばれる額(ひたい)の内側部分にありますが、専門的にいうと、この部分のシナプスの刈り込みが不十分であることがむずかしい理由です。

この問題もコミュニケーションのあり方の視点から考えてみましょう。

『豚もおだてりゃ木に登る』という表現がありますが、子育てにおいて褒めることは最重要な要素です。その褒めたときに、ちょっと背伸びすれば手が届く課題を、それとなく暗示しておくのです。

そうすると子どもは子どもなりに、少し時間がかかるかもしれませんが、『お母さんは、次はこれを期待してるんだ』ということに気づきます。褒められて大変嬉しいのですが、宿題的なものが出ていることに気づく。つまり有頂天から次の発達課題に意識が移るのです。

叱るときも、比喩的表現をすることです。『そういうことをするとお母さんは悲しい』と、これも表情や仕草を交えて子どもの前で演じてみてください。子どもはみんなお母さんが大好きですから、行動に注意を払うようになるでしょう。

直接、言葉で叱るよりも比喩的に、感情に訴えるように表現するのがベストです。ただし『嫌い』という言葉は絶対に使わないように。嫌いは拒絶ですから、子どもはお母さんから愛されていないと思い落ち込みますからね」

男の子の子育ては、もともと大変。その分、立派に育てた暁には、ママも子どもも嬉しいですよね。

荘厳さんが教えてくれたように、5歳までの時期は、まだまだ「待つ」時期。その上で、今回教えていただいたアドバイスを実践することで、ママたちのメンタルもいい方向に向かうのではないでしょうか。

【取材協力】荘厳 舜哉(そうごん しゅんや)さん

元京都光華女子大学教授 博士(心理学)
1947年生まれ。京都光華女子大学や京都大学、奈良女子大学など多くの大学で子どもの発達について講義してきた。(歴任)日本感情心理学会理事長、日本臨床発達心理士会幹事長、(現)日本心理研修センター(公認心理師試験機関)評議員、保育・子育てアドバイザー協会 関西理事長など。