【TOPIC5】発掘された東西ふたつの文化の謎に迫る

2022年は、タイムカプセルのように地中に封じ込められていた文化を紹介する展覧会が2つ開催される。

『特別展「ポンペイ」』(東京国立博物館:1/14〜4/3、京都市京セラ美術館:4/21〜7/3、宮城会場(宮城展)7月〜9月、九州国立博物館10/12〜12/4)は、西暦79年に起こった、イタリアはナポリ近郊のヴェスヴィオ山の大規模噴火により飲み込まれてしまったローマの都市・ボンペイの発掘品を展示するもの。

ナポリ国立考古学博物館が所蔵するモザイクや壁画、彫像など約150点が展示される、「ポンペイ展の決定版」ともいえる大規模な展覧会。

また、「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」など発掘された遺跡の一部再現展示や、ヴェスヴィオ山の噴火の再現CG、修復が進む「アレクサンドロス大王のモザイク」の高精細映像など、さまざまな角度から、かつてあった都市・ポンペイを体感することができる。

一方、京都市京セラ美術館をはじめ国内4か所で開催されるのが、『日中国交正常化50周年記念 兵馬俑(へいばよう)と古代中国〜秦漢文明の遺産〜』(京都市京セラ美術館:3/25〜5/22、 静岡県立美術館:6/18〜8/28、名古屋市博物館:9/10〜11/6、上野の森美術館:11/22〜2023/2/5)。

俑とは、生きた人間の姿を木や土に写し取ったもので、古代中国の人々は死者を守るために、俑を遺体とともに埋葬していた。兵馬俑は、俑のなかでも兵士及び馬をかたどったものを指す。

1974年に発見された秦始皇帝陵の兵馬俑は、皇帝を守るために地下に約8000体も並べられていた。等身大で、写実的に制作されている兵馬俑は、同じ顔は一つとしてないことも特徴。なぜ、ここまで兵馬俑が個性的なのか、その理由はまだ判明せず、現在も調査と発掘が進められている。

同展では、これまで11体しか発見されていない将軍俑のうち、一体を日本初公開するほか、武士俑、騎兵俑など計36体の兵馬俑など約200点を展示。最新の調査結果を踏まえた、好奇心を刺激する展覧会となりそうだ。

【TOPIC6】デザイン、工芸、ファッションがテーマの展覧会

2022年は美術分野以外の展覧会も大充実。

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』(京都国立近代美術館:開催中〜1/16、三菱一号館美術館:2/18〜5/15)はデザイナー・上野リチの世界初となる回顧展。

ウィーン工房で活動していたリチは、京都出身の建築家・上野伊三郎と出会い、結婚。第二次世界大戦前は京都を拠点としてウィーンでも活動を行っていた。

同展では、ウィーン、ニューヨーク、そして京都など世界各地から作品が集結。自然をモチーフに、自由で躍動感に満ちた線と色彩を使った彼女のデザインは、今見ても新鮮だ。

女性のためのスーツを浸透させ、ジャージー素材を用い、それまでタブーとされていた黒色を使ったドレスを提案するなど20世紀のファッションを次々に変革していったデザイナー、ガブリエル・シャネル。

三菱一号館美術館で開催される『ガブリエル・シャネル展ーManifeste de mode(仮称)』(6/18〜9/25(予定))は、「20世紀で最も影響力の大きい女性デザイナー」と言われた彼女の日本では32年ぶりとなる回顧展。

代表作となるリトル・ブラック・ドレスをはじめ、コスチューム・ジュエリー、香水などが並ぶ展示空間は、多くの人の心をときめかせるはず。

忘れてはならないのが日本の工芸品。『大蒔絵展ー漆と金の千年物語』(MOA美術館:4/1〜5/8、三井記念美術館:10/1〜11/13、:徳川美術館:2023年春)は、MOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の3館が共同で開催する蒔絵の全貌に迫る展覧会。

平安時代から、現代の漆芸家作品まで約200点の名品が展示される。また、展示作品のうち国宝・重要文化財が合計で70件以上という豪華絢爛さも魅力。出品作品は会場ごとに異なるのも興味深い。