松永:僕たちアーバンギャルドは、今日僕はメイクしてないですけど、多分ヴィジュアル系ではないんですけど、定期的にヴィジュアル系の方からお声を掛けていただくことがあるので。ある種の通じる部分があるんでしょうね。その辺の接点はどういったところにあるんだろうと。

ハル:僕から見ると、ヴィジュアル系やアーバンギャルドさんも心の闇みたいなものを扱っているというのもありますが、バンドの見せ方もエンターテイメント性が強いじゃないですか。その辺が似た匂いを感じている人がいるんじゃないですかね。

松永:なるほど。

――「ヴィジュアル系」というだけあって、バンドの楽曲以外、衣装やキャラクター性でもバンドの世界観を表現するバンドは多いので。

松永:心の闇であるとか、サブカルっていう部分もゼロ年代で一旦カテゴライズされたものが、今また撹拌されている気がするんですよね。もうグチャグチャになっているじゃないですか。「族から系へ」というか、クラスタ(系)になっているわけじゃないですか。EXILEは未だトライブ(族)ですけど…。

各人がアイデンティティが一つではなくて、自分が所属しているクラスタは複数あって当然というマインドになっていると思うんです。世の皆さんがSNSを界隈によって使い分けてる。「このアカウントではアーバンギャルドの話」「こっちはアイドル」「こっちではヴィジュアル系」みたいに分けている子もいるでしょう。そういう人はメンタルが大変そうですね。

――大人からしたら大変そうだと感じますが、もう物心ついた頃からSNSがあるデジタルネイティヴだと、もしかしたらそれも苦ではないのかもしれませんね。ちなみにマイナスのファンってどういう方が多いように感じます?

ハル:結構マイナス人生オーケストラのファンって幅広くて、ナゴムギャルだったという子から今風のバンギャル的な方までいます。

今の話を聞いて思ったんですが、僕らの活動している大阪の話になるんですが、関西ゼロ世代(※ゼロ年代初頭に関西を中心に盛り上がった音楽ムーブメント。あふりらんぽ、ZUINOSIN、オシリペンペンズなど)がガッと来ていた頃は、何かひとつ武器のあるバンドが多かったと思うんです。そのあと0.8秒と衝撃。とか、ごったまぜな音楽性でリスナーを飽きさせないバンドが増えてきたような気がするんです。

松永:マイナス人生オーケストラさんは関西ゼロ世代の影響はあるんですか?

ハル:影響があるかはわかりませんけど、僕らメイクをせずに活動していた時期もあって、女王蜂やキュウソ(ネコカミ)も対バンしてた時期もあります。

松永:関西の方がそういうコミュニティありますよね。

ハル:狭いから集まっちゃうんですよ。

松永:皆さん、味園ビル(※関西のサブカル・アングラカルチャーの発信地といわれる商業ビル)周辺にいらっしゃるイメージがあります。そこがストリートみたいになってる。

――関西にはまだ独自の文化はあるかもしれないですね。

ハル:でもヴィジュアル系シーン、いやそれ以外でもシーンを引っ張っていく人がいないというか。引っ張れる力のある人はだいたいすぐ東京に行ってしまうので(笑)。取り残された人たちがいる、みたいな状況です。

――ちなみに松永さんはバンド活動においてそういう〈地元意識〉みたいなものはありますか?

松永:僕は大学は京都で、生まれ育ちは東京ですが、東京の人間の地元意識ってちょっと違うじゃないですか。そういうローカリティがないのは弱みかもしれないですねえ。

しいていうなら、mixiだとかYouTubeだとかSNSを通じて発信してきたのはあるので、僕らにとってはネットがストリートだったのかもしれないですね。そこが良いところでもあり、残念なところでもあり(笑)。