韓国時代劇は宮廷ものが面白い! 今回紹介する『カンテク〜運命の愛〜』は、これまでに描かれることがなかった“お妃選び=カンテク”という宮廷のしきたりを教えてくれる一作だ。このドラマの魅力や見どころを、6回にわたって、多角的に紹介していく。第2回のテーマは、「19世紀の朝鮮時代ってどんな感じ?」

第2回 19世紀の朝鮮時代ってどんな感じ?

朝鮮末期の宮廷の状況を人物やストーリーに反映

双子の姉を殺した犯人を突き止めるため、王妃選びに参加したヒロイン・ウンボの愛と戦いを描いた『カンテク〜運命の愛〜』には、実在した王や王妃は登場しない。ただ、そこに描かれる社会や政治状況を見ると、19世紀の朝鮮時代を背景としていることが分かる。

例えば、娘や姪を王妃の座に据えることで権力を握ろうともくろむ敵役のキム・マンチャンは、19世紀初頭から約60年にわたって、実際に王妃の外戚として絶大な権力を振るった安東キム氏の出身と設定されているのが象徴的だ。

今回は、本作の登場人物を中心に、この時代の宮廷における身分制度に触れつつ、当時の政局がドラマにどう反映されているかを見ていきたい。

まず、キム・マンチャンは領議政(ヨンイジョン)という役職にある。これは議政府(ウィジョンブ)と呼ばれる行政府の最高官職であり、今の日本で言えば総理大臣に当たる。

領議政と共に議政府の中枢を担っていたのが左議政(チャイジョン)と右議政(ウイジョン)だ。本作では、キム・マンチャン同様に娘を揀択(カンテク)に参加させるチョ・フンギョンが左議政を務めている。

彼の出身である豊壌チョ氏は歴史上、安東キム氏と手を組み権勢を享受したが、キム氏の勢いにはかなわなかった。そんな中、一族出身の娘が1819年に第23代王・純祖の息子である孝明世子に嫁ぐ。彼女は世子が夭逝し王妃にはなれなかったものの、世子との間にもうけた息子が第24代王・憲宗となると、大王大妃・神貞王后チョ氏として権力を手にし、政治に参画しつつ、安東キム氏の勢力を削ごうと動いた。