【母乳110番】の現場からお伝えする育児相談シリーズ「よくある質問」特集。

第5回は「復職・入園前に断乳?」【母乳110番】代表で『おっぱいとだっこ』など多くの著書もある竹中恭子さんが「やめてもいいけれど、続ける選択肢も考えてみては?」とアドバイスする理由を聞きました。

「入園前に断乳を」と言われ悩む復職ママたち

――前回(【母乳110番】離乳食が進まなければ断乳すべき、ではない理由)のインタビューでは「離乳食と断乳」についてお伺いしました。「断乳や卒乳のタイミングなんて、ママと赤ちゃんが決めてよいのです。(中略)大切なことは、決して周りから『無理強いされることではない』ということ」という言葉が、印象に残っています。

ところで「復職・入園」のタイミングで「断乳」を求められるケースもあり、私も子どもが保育園に入る前の面接で先生から「おっぱいはやめさせてください」と告げられ、戸惑った経験があります。【母乳110番】には、このようなご相談もあるのでしょうか。

竹中恭子さん(以下、竹中):2月・3月に、すごく多いですね。各事情に合わせ時期はいろいろですが「母が見てくれることになっているのでその前に何とかしたい」とか、「入園が来月なのに、いまだにおっぱいをやめる気配がない、どうしたら」とか、日にちが迫って悩んでいる方が多いです。

「断乳するか、ほ乳瓶に慣らしてください。そうでないと預かれません」「離乳食を進めておいていただかないと」などと言われる例が、いまだにたくさんありますからね。

預かり保育や、お試し保育の時にワンワン泣かれて、保育士さんたちからも責められたように感じて、ママも「これでは全然ダメ!」と不安になって・・・切羽詰まってお電話をくださる方もいらっしゃいます。

以前は「働かなければならないから、母乳はあきらめなければいけない」という考えが主流だったかもしれませんが、それは昔の話。いま「働きながら母乳育児」をやっている人は、たくさんいますよね。

私もそうですし、「ハピママ*」のご関係者でも授乳中のワーキングマザー、ごく普通にいますでしょう?

――たしかに。でも周りにひとりもいなくて、悩んでいる方も少なくないような。

竹中:その通りです。

それに「働きながら母乳育児なんてできるわけがない」と思っている人って、いまだに多い。つまり「実際はできる、でもあまり知られていない」ということではないでしょうか。

「断乳すれば子どももスムーズに保育園に通えるはず」「夜中の授乳が終われば私も眠れて楽になるはず」・・・入園前に無理やり断乳しようと思う人も、それを勧める人も、そう信じてしまいがちです。

もちろんそれでうまくいく場合もあります。ないとは言いません。でも「断乳しない方が楽だったんじゃないかな?」という逆の例を、私たち相談員はたくさん見てきました。

――断乳しない方が良いこともある、ということですか?

「働きながら母乳育児」を選ぶメリットとは?

竹中:良い悪いというより、続けた方がママも赤ちゃんも“楽”なんじゃないかな、と思うことが多いですね。

子どもにとっての保育園デビューというのは、ママと離されて、初めて集団の中に入って、新しい環境で長い時間過ごすことに慣れなければならないでしょう?

ママも、久々のお仕事と子持ちとしての職場での立場、保育園など預け先との関係など、緊張することがたくさんあるでしょう?

そんなプレッシャーを一番癒してくれる、慰めてくれる、最も便利なアイテムって、母乳育児をしてきたママと赤ちゃんからしたら「おっぱい」なのではないでしょうか。

無理に「断乳」したら、その拠り所を親子でなくすワケです。武器をなくして戦場に出るようなもので、特に「おっぱい」大好きなお子さんには、ダメージが大きい。

ママも「断乳すれば、ゆっくり休める」と思いたいところですが、そういうワケにもいかないケースが意外に多い。

ママと「触れ合いたい」「安心したい」という欲求を、手軽に満たせるのが「おっぱい」だったワケですから、それを取り上げられてしまうと、例えば夜泣きがひどくなる、ママの耳たぶを真っ赤になるほど触り続ける、皮がむけてしまうほど指しゃぶりするなど、ほかの行動に現れることがあります。