【母乳110番】の現場からお伝えする育児相談シリーズ「よくある質問」特集。第6回は「復職・入園前に断乳しないとしたら、おっぱいはどうやって続けるの?」。

【母乳110番】代表で『おっぱいとだっこ』など多くの著書もある竹中恭子さんが、具体的な方法についてアドバイスします。

“ワーキングおっぱいママ”実際にはどうしてる?

――前回のインタビューでは「『働きながら母乳育児』はできる」「実際にやっている人もたくさんいる」というお話を伺いました。

保育園・幼稚園に入る前に「おっぱいをやめさせてください」と言われることもあり、半信半疑のママもいるかもしれません。今日はどのようにすれば「働きながら母乳育児」を続けられるのか、教えてください!

竹中:実は【母乳110番】を30年近くやってきて、ご相談の大体の傾向はあまり変わらないんですが、「働きながら母乳育児」については、初期の頃と少しずつ変わってきてはいるのです。

「働きながら母乳育児をやれる人もいるらしい」というウワサがじわじわと広まってはいて、でも「じゃあ実際にはどうしたら?」とか「保育園の預かりの条件として『断乳』と言われたけれど、園とどうやって交渉したらいいですか?」とか、具体的な情報が出回っていないから【母乳110番】に連絡をしてきた、という人が増えている。

私自身も生後2か月から子どもを預けて働いた“ワーキングおっぱいママ”でしたから、『おっぱいとだっこ』の中でも【母乳110番】のご相談でも、できるだけ実際の役に立つ方法やポイントをお伝えしてきました。

――では「働きながら母乳育児」をするにあたっての、ポイントとは?

竹中:「変則授乳」です。

私も2番目の子は「変則授乳」で、働きながら母乳育児を何年か続けました。

――「変則授乳」というのは?

竹中: 要するに「ママといる時はおっぱいを飲める、いない時には飲めない」という、母子の“リズム”に沿った授乳のことです。

母乳育児ではよく「3カ月を過ぎると母子のリズムができてきて、需要と供給が合ってくる」といわれますが、赤ちゃんも働くママに合わせて、その母子なりの“リズム”ができてくるのです。

『おっぱいとだっこ』でも細かくご紹介していますが、もし月齢が小さくて心配であれば、日中は冷凍母乳を飲ませてもらったりしてもいいです。

冷凍母乳用に昼休みに搾乳するなら、リラックスしないと難しいから、子どもの写真を見ながら、というママもいましたよ。出勤中に同じ車両で赤ちゃんが泣いて「おっぱいがジワッとした」なんて話は“アルアル”ですが、そのくらい脳と授乳というのは結び付いているものなので。

でも前にお話ししたように母乳はしぼってもあまり採れませんから、無理せず保育園にいる間はミルクを飲ませてもらってもよいと思います。

ゴム乳首の簡単な吸い方に慣れてしまうと赤ちゃんが乳頭混乱を起こして母乳を吸わなくなってしまう事情を説明して、保育者にカップ授乳やスプーン授乳をしてもらう人もいます。

動画を検索すると出てきますから、参考にしてみてください。ほ乳瓶が開発される前の時代まで、ミルクはスプーンで飲ませるのが常識だったそうですよ。

我が家の場合は、当時はまだ時短勤務がなかったので、月曜から金曜の朝8時から夜7時まで保育園に預けていましたが、お迎えに行ってから、帰宅してから、ご飯食べながら、夜寝かせながら、夜中、そして朝登園する瞬間まで、ずーっと母乳を飲みっぱなしみたいな感じで飲んでいました。

第二子でやってみるまでは、私も「変則授乳」がどういうものか理解できず「え?土日は?途中で祭日があった週はどうなるの?保育園行く日にはまた慣れるの?」と半信半疑でしたが、要するに「ママが一緒にいる時は飲める」「いない時は飲めない」、それを理解してふたりの身体がそういう仕組みになっていく、ということです。

母子のリズムが決まれば、総量は足りる。定時授乳のミルク育児と違って、もともと母乳育児は不規則授乳が本来の姿です。休日はずっと飲めるけど、ママが離れちゃう時には飲めない。赤ちゃんも赤ちゃんなりに理解しているから大丈夫。人間の体の仕組みは意外とシンプルなのです。

そんな風に一緒にいて欲しがる時にあげているだけの授乳生活「変則授乳」を2才過ぎまで続けました。

同じように働きながら母乳育児をするママも、その後どんどん増えていきました。

ですから今「『変則授乳』なんてホントにできるの?」と半信半疑で尋ねるママには「平気平気!みんなやってるから!だまされたと思って試してみて」とお伝えしています。

――何らかの事情で、しばらく赤ちゃんと離れて過ごさなければならなくなった場合にも「赤ちゃんは赤ちゃんなりに理解している」というお話には、勇気づけられるような気がします。

竹中:「変則授乳」にしても「断乳」にしても、子どもの“心の傷”とか、そういうのは気にしないでもいいんじゃないかな、というお話もしましょうね。