”サウナー””サ活”という言葉をよく耳にするようになりました。人気の高まりとともにサウナ施設を利用するのではなく、キャンプ場など大好きな場所にサウナを運び、リフレッシュする姿も。そこで話題を集める「テント型サウナ」の魅力を調べてみました。

アウトドアのイベント会場でも人気のテント型サウナ

 テント型サウナは専用テントに薪ストーブをインストールして楽しむ携帯式サウナで、場所にとらわれずサウナを楽しめるのが魅力だ。キャンプ場など土地の所有者に許可をとることが前提だが、大好きな景色の中でサウナを楽しみ、小川や湖でクールダウン。外気浴だってすがすがしい。焚き火禁止の条例がないエリアで近隣住民の理解を得ていれば、自宅の庭でもサウナを楽しめる。

 自由と開放感、そしてサウナならではの爽快感に魅せられ、キャンプ場に自前のテント型サウナを持ち込む人もチラホラ。テント型サウナ体験ができる野外イベントも盛況だ。

 今でこそいろいろな国内外メーカーが参入しているが、2020年より「サヴォッタ」を扱いはじめたアンプラージュインターナショナルによると「サウナ発祥の地ともいわれるフィンランドを拠点とするサヴォッタは、2000年、海外在住でサウナに入れないフィンランド人のためにアウトドアブランドの技術を利用してテント型サウナを作ったそう。当時、このスタイルはほかにはなかったと聞いています」。

 確証はないものの、テント型サウナの発祥はフィンランドの可能性が高い。

 一方、「モビバ」は2005年、縫製会社を立ち上げた夫婦により開発されたブランドで日本上陸は2019年1月のこと。

「ファイヤーサイドは薪ストーブの輸入会社で、秋冬以外でも”薪火”を使う暮らしを提案してきました。テント式サウナも薪が燃料。暮らしの提案としておもしろそうだったのでモビバの取り扱いをはじめました」(ファイヤーサイド)

 宿泊を目的とするキャンプ用テントは基本的に幕内での火器使用は禁止されているが、テント型サウナは火災や一酸化炭素中毒などの危険を考慮。寒い時期でも温度をキープするよう素早く開閉できるドアパネルなど、“ならでは”の機能が搭載されている。

 薪ストーブの知識が豊富なファイヤーサイドは約1年かけて安全性を何度も検証し、2019年の発売にこぎ着けたという。

 見た目だけなら格安キャンプ用テントと薪ストーブを用意すれば自作できそうに思えるが、安全性と保温性、効率などを考えると一筋縄ではいかないのだ。

楽しみ方で選ぶテント型サウナ

 ひとくちにテント型サウナといっても、サウナ用薪ストーブに火を入れてテントの中に熱気を貯め込む「乾式」、薪ストーブのタンクに水を入れて蒸気を発生させる「スチーム」、薪ストーブの上(または脇)に置いた熱々の専用サウナストーンに水を掛ける「ロウリュ」があり、テントと薪ストーブによってできることとできないことがある。

 使用人数や重量・収納サイズのチェックだけでなく、楽しみ方もテント型サウナの重要な選び方だ。

 そうして選んだ自分だけのテントの中では好きなタイミングでセルフロウリュができるし、寝転んでもアイスコーヒーを持ち込んでも誰からも文句をいわれない。サウナ施設では得られないテント型サウナの醍醐味だ。

安全、快適にテント型サウナを楽しむには?

 テント型サウナが注目されるようになると、一方で事故やトラブルが目立ち始める。

 匿名を条件にキャンプ場から教えてもらったトラブルは「火事やヤケド、強風によりテントが飛ばされる、大声などで周囲に迷惑をかける、勝手に営業」など。

 いくらテストを重ねた安全性の高いテント型サウナであっても、ペグの使用数を減らすなど正しく設営していなければボヤ騒ぎや風に飛ばされて他者を巻き込む事故を起こしかねない。

 説明書通りに設営し、利用するのは当然で、そのうえで「乾燥が不十分な薪を使用すると不完全燃焼を起こしたり、火の粉が飛びやすくなります。モビバのモバイルサウナ(MB10A、MB15A)の場合、ストーブ内に火の粉を落とすスパークキャピティーという空間があり、これが煙突から火の粉が飛びにくくする一定の効果をもっています」(ファイヤーサイド)とのこと。

 スパークキャピティーのほかに、火の粉が飛びにくくするスパークアレスターという装置を煙突に取り付けるモノもある。薪の管理、そしてサウナ用ストーブの構造を理解することも安全なサウナ浴には欠かせない。準備にはそれなりに手がかかるというわけだ。

ただ薪をくべればいいというものではない。「空気の通り道を作りながら投入します。欲張ってたくさん薪をくべると酸素不足になって不完全燃焼の原因になるためです。最初は杉などの針葉樹を細めに割ったものを使用し、徐々に太めの薪をくべるといいでしょう。ただ、太すぎる薪は煙が多く出るのでほどほどに」(ファイヤーサイド)

 また、サウナのためにキャンプをはじめた人の中には、キャンプ場のマナーを知らない場合も。

 気持ちよさにテンションがあがるのは仕方がないが、時間を考えずに仲間と大はしゃぎするようでは静かに過ごしたいキャンパーから苦情が入る。これでは互いに気分が悪い。

 なかには「そのうち自然に還るだろう」と燃えかすを残したまま立ち去る人もいるというが、燃えかすは分解されにくいので持ちかえるか、灰捨て場で処理してもらうしかない。

 「知らなかった」が原因のマナー違反は、キャンプ場やメディアなどで広く告知し改善を期待したい。

サウナーとキャンパーの相互理解が必要

 テント型サウナは、アウトドアでの新たな楽しみ方を教えてくれた。

 もともと温泉・露天風呂好きのキャンパーには多い。テント型サウナで汗を流して水を浴びれば、キャンプ場内に温泉がなくてもサッパリ。それに川や海で遊び、冷えた身体をサウナで温めることもできる。本来、キャンパーとテント型サウナは相性がいいものだ。

 収納場所を考えると、いきなりテント型サウナを購入するのはハードルが高いのだが、近年は宅配型レンタルサービスや貸し出しをするキャンプ場が増えており触れやすい環境になってきた。

サウナで汗を流した後、外気浴をする。最高の環境だ。テント型サウナの広まりで、日本でも北欧式サウナを体験するチャンスが増えている

 サウナーは安全に留意し、土地の所有者に許可を取って設置する。大騒ぎしない。片付けを徹底する。キャンプ場側もテント型サウナの構造や楽しみ方を知り、設営場所の案内や場内ルールを伝える。テント型サウナが日本で根付くかどうかは、サウナーとキャンパーの相互理解にかかっていそうだ。