ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」のラインナップに追加されたフルハイブリッド仕様に試乗しました。その最大のウリは輸入SUVナンバーワンの省燃費ですが、ステーションワゴン譲りの優れた使い勝手も抜群。街乗りからレジャーまで“使える”実力派の登場です。

F1技術をフィードバックした輸入車唯一のフルハイブリッド

 ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」のラインナップに、独自開発の凝ったメカを搭載する「キャプチャーE-TECH HYBRID(イーテック ハイブリッド)」が加わった。

 いまや日本では、乗用車の新車販売台数における約半数がハイブリッドカーとなっている(2021年度のハイブリッドカー比率は45%)。しかも、一度その魅力を知り、次もまたハイブリッドカーを選ぶというリピーターも大勢いる。まさに、ハイブリッド人気、恐るべしだ。

 そんな“ハイブリッド通”の人でもきっと満足できるのが、輸入車ではルノーだけが展開するフルハイブリッド機構“E-TECH HYBRID”だ。モータースポーツの最高峰、F1の技術をフィードバックした同機構は、第1弾としてクーペSUVの「アルカナ」に搭載されて上陸し、続いてコンパクトカーの「ルーテシア」にも展開。そして今回、第3弾として、コンパクトSUVのキャプチャーに搭載された。

“ハイブリッド通”の人でもきっと満足できる理由は、なんといっても燃費がいいこと。カタログ記載のWLTCモード燃費は22.8km/Lと、輸入SUVナンバーワンの数値をマーク。今回、猛暑のなかエアコン全開で走っても燃費の落ち込みは少なく、郊外での移動がメインであれば20km/L超えの実燃費も難しくない印象だ。

 さらに“E-TECH HYBRID”の素晴らしいところは、ドライブするのが楽しい点だ。同機構は、1.6リッターの自然吸気ガソリンエンジンとふたつのモーター、そして、電子制御で12とおりの変速比を持つ特殊なATの組み合わせとなる。発進時はモーターで駆動し、ある程度スピードが上がるとエンジンが始動。さらに高速域になると、エンジンを優先しながら加速などはモーターでアシストする。実際に運転していても、低速域ではモーター駆動の印象が強く、速度が上がるにつれてガソリン車のような走行感覚となる。

 なかでも特筆すべきは、アクセルペダルの操作に対する加速のダイレクト感が高いこと。アクセル操作に対して加速がリニアであればあるほど心地よさを感じられるものだが、“E-TECH HYBRID”はそのダイレクト感が素晴らしい。トランスミッションなどがすべる感覚やタイムラグがないため、アクセルペダルを少し踏んだだけでそれがしっかり反映されるし、アクセルペダルを深く踏み込むと、右足がタイヤと直結しているかのようなシャープな加速を楽しめる。

 そのドライビングフィールはまるでスポーツカーのようであり、運転していてエモーショナルな気持ちになれる。「ハイブリッドカーの運転が楽しくない」という否定派の人こそ、ぜひ試乗してもらいたい爽快な乗り味だ。

ステーションワゴンの血統を受け継ぐ優れた実用性

 そんなキャプチャーE-TECH HYBRIDは、コンパクトながら実用性に優れたパッケージングを実現している点も魅力的だ。

輸入SUVナンバーワンの低燃費とハイレスポンスの爽快な走りが魅力的なルノー「キャプチャーE-TECH HYBRID」

 ボディサイズは全長4230mm、全幅1795mm、全高1590mmで、日本車でいえばトヨタ「ヤリスクロス」よりわずかに大きい程度。けっこうコンパクトだ。

 にもかかわらず、キャプチャーE-TECH HYBRIDのキャビンは驚くほど広い。リアシート足元(ひざ回り)のゆとりはクラストップレベルで、フロントシートと合わせて大人4名がゆったりと長距離移動できる。キャプチャーは“Bセグメント”と呼ばれるコンパクトカークラスに属するモデルだが、リアシートのゆったり感は2クラス上の“Dセグメント”に乗っているかのよう。このクラスでこれほど優れた居住性を実現しているのは驚くほかない。

 その上で、キャプチャーE-TECH HYBRIDはラゲッジスペースも広い。確かに、ベースモデルとなったガソリン車の荷室容量536リットルに比べれば、ハイブリッド化に伴って440リットルへと小さくなっている。しかし、ガソリン車との違いは、荷室フロア下が数センチ高くなっている程度。ラゲッジスペースを上下に分割できる可動式ボードもしっかり組み込まれており、床上のスペースはガソリン車と同じで実用的だ。

 その上、キャプチャーE-TECH HYBRIDは、必要とあればリアシートを前方へとスライド可能。その調整幅は160mmで「リアシートの背もたれを畳むことなくラゲッジスペースを拡大したい」というニーズにも応えてくれる。

 たとえば、キャンプなどアウトドアレジャーへ出かける場合は、テントなどのギアがいっぱいでラゲッジスペースはパンパンになりがち。でもそんなときには、リアシートに人が座れる状態をキープしつつラゲッジスペースを広げられるシートスライド機構が大活躍する。リアシートが広いからこそ、こうした“ワザ”が使えるのだ。

 キャプチャーはルーテシア(本国名「クリオ」)をベースにつくられたコンパクトSUVだが、何を隠そう、かつてフランス本国に存在した「クリオ ワゴン」の後継モデルという役割も担っている。そんなステーションワゴンの血統を受け継ぐからこそ、リアシートやラゲッジスペースの広さを特徴とする実用的なパッケージングを追求しているのである。

 燃費がよくて走りが楽しく、パッケージングにも優れる。そんなキャプチャーE-TECH HYBRIDは、ショッピングをはじめとする街乗りからアウトドアレジャーなどのロングドライブまで、あらゆるシーンで“使える”輸入コンパクトSUVの最右翼といえそうだ。

●RENAULT CAPTUR E-TECH HYBRID
ルノー キャプチャーE-TECH HYBRID レザーパック
・車両価格(消費税込):389万円
・全長:4230mm
・全幅:1795mm
・全高:1590mm
・ホイールベース:2640mm
・車両重量:1420kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・排気量:1597cc
・駆動方式:FWD
・変速機:電子制御ドッグクラッチ マルチモードAT
・エンジン最高出力:94ps/5600rpm
・エンジン最大トルク:148Nm/3600rpm
・メインモーター最高出力:49ps/1677〜6000rpm
・メインモーター最大トルク:205Nm/200〜1677rpm
・サブモーター最高出力:20ps/2865〜1万rpm
・サブモーター最大トルク:50Nm/200〜2865rpm
・燃料消費率(WLTC):22.8km/L
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)トーションビーム式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)215/55R18、(後)215/55R18