軽自動車ベースのオープンカーの歴史は古く、1962年にはホンダ「S360」がショーモデルとして登場していますが、これは市販にはいたりませんでした。1970年発売のスズキ「ジムニー」や「バモスホンダ」あたりが軽オープンカー草創期のモデルになります。

 バブル景気が続いていた1990年代初頭、いまも中古車市場で人気のある2人乗りのスポーツカーが登場します。

 マツダ・オートザム「AZ-1」、ホンダ「ビート」スズキ「カプチーノ」がそれで、車名の頭文字を取って「ABCトリオ」と呼ばれていました。このうちAZ-1はガルウイングドアを持つクローズドボディでしたが、ビートとカプチーノはオープンスポーツカーでした。

 バブル崩壊後は、軽オープンカー不遇の時代を迎えます。ただでさえ車両価格の高いモデルでしたので、販売台数は激減、ABCトリオをはじめ90年代後半にはすべて消滅してしまいます。

 そんななか、待望の軽オープンカー復活となったのが、2002年に登場したダイハツ「コペン」です。電動ハードトップを持ち直列4気筒エンジンを搭載したこのプレミアムモデルは10年間販売されました。

 そして現在は、2014年に登場した2代目コペンのみが軽オープンカーとして新車で購入できます。翌2015年に登場したホンダ「S660」は、2022年3月をもって生産が終了してしまいました。

 現在販売されている軽オープンカーで変わったモデルとしては、ケータハム「セブン170」があります。これはケータハム・セブンを軽自動車枠に収めた、ケータハム160の後継モデルで、さらに85馬力を発生するスズキ製の3気筒ターボエンジンを搭載。黄色いナンバープレートのスポーツカーです。「170S」と「170R」があり、消費税込みの価格はセブン170Sが577万5000円、セブン170Rが599万5000円です。

●ホンダ「ビート」

 絶版モデルの軽オープンを紹介する上で、はずせないクルマがホンダ「ビート」です。

 ビートは、軽乗用車として初めてミッドシップエンジンと2シーターフルオープンボディを採用し、1991年に登場しました。ソフトトップを持つ軽オープンモデルです。

 ライバル車がターボエンジンを搭載するなか、ビートは自然吸気エンジンを採用。1万回転まで刻まれた回転計が物語るように高回転型のエンジンで、SOHCながら64馬力を発生しました。

 コンパクトなボディと独創のパッケージングで、重心高440mm、前後重量配分43:57(1名乗車時)という理想的なボディバランスを実現していました。

 いまでは走行距離が短く程度が良い中古車だと、車両価格が300万円を超えるものもあるほどです。発売から30年が経っている個体もあるため、購入する際にはとくに駆動系に気をつけたいところです。

●スズキ「カプチーノ」

 ホンダ・ビートの登場から遅れること半年、1991年10月に登場したのがスズキ「カプチーノ」です。

1991年に登場したスズキ「カプチーノ」

 カプチーノは、軽乗用車唯一のFRオープンスポーツとして登場しました。FRモデルらしいロングノーズ・ショートデッキが特徴で、3ピース構造になっていた分割式のハードトップを取り外すことで、クローズド/Tバールーフ/タルガトップ/フルオープンと4つのスタイルにすることが可能でした。

 エンジンはアルトワークス用の直列3気筒ターボ(F6A型。マイナーチェンジでK6A型に変更)を採用、フロントミッドシップに縦置きされ、前後重量配分51:49を実現しました。ただし、乗り味は相当じゃじゃ馬でした。

 チューニングベース車両として使われることが多かったため、走行距離が短く、ノーマルで程度の良い中古車は高値で取引されています。ビート同様、250万円から300万円という中古車もあります。

スバル「ヴィヴィオ」ベースの特別なモデル

●スバル「ヴィヴィオ Tトップ」

 1993年に、スバルブランド40周年を記念した特別仕様車として登場したのがスバル「ヴィヴィオ Tトップ」です。Tは「タルガ」と読みます。

1993年発売のスバル「ヴィヴィオTトップ」

 ヴィヴィオTトップは、1992年に登場したヴィヴィオをベースにしたモデルで、3000台限定の特別仕様車です。3分割式のハードトップを手動で外すとオープンモデルへと変貌します。

 この状態から、さらに電動でリアガラスを格納することができます。完全なオープンとはならずBピラーは残りますが、この状態では気持ちの良いオープンエア走行ができました。
 
 ヴィヴィオTトップは、軽自動車のオープンモデルながら独立した荷室を持つ3ボックスタイプのノッチバックで、しかも小さいながらも後席を持ち、乗車定員は4名という、珍しいモデルでした。1994年には1000台限定でGX-Tというスポーツモデルも登場しています。

 中古車市場では、ビートやカプチーノほど豊富に出回っていることはなく、希少なクルマです。程度にもよりますが、40万円前後から選ぶことができるようです。
 
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 現在、新車で購入できる国産の軽オープンモデルはダイハツ「コペン」のみです。

ダイハツ「コペン」20周年記念特別仕様車。2022年6月に限定1000台として登場した

 屋根が開き風を感じながら走ることができるオープンカーは、屋根が開くというだけで気持ちよい走りを与えてくれます。ですがその多くが2人乗りだったり、荷物を載せるスペースが少なかったりと、あまり実用的ではなかったりします。

 維持費が安い軽自動車だからこそ、逆にオープンカーを選ぶ理由にもなります。