島根県の山間部にある人口80人の温泉街・有福温泉に、50年ほど前の旅館をリノベーションしたホテルがオープンしました。静かな温泉街で地元の職人が手がけた家具や建具に囲まれてのんびり過ごせる、格別の時間を味わえます。

50年ほど前の旅館を現代の職人がリノベーション

 有福温泉は、公共機関を使った場合に東京からもっともアクセスが悪いといわれる地域にある秘湯。その温泉街に、新感覚の宿泊施設「Showcase Hotel KASANE(ショーケースホテル かさね)」がオープンしました。

 1300年以上前に、インドから来た法道仙人が見つけたとされる有福温泉。その温泉街は、昭和から平成にかけて豪雨による浸水被害を複数回受けたこともあり、20軒以上あった宿泊施設は3軒になり、それとともに飲食店や土産物屋も減り、人口は80人にまで減っていました。

 そんな苦境の温泉街に新たに誕生した「Showcase Hotel KASANE」は、50年ほど前に建てられた古い旅館を現代の職人の手仕事でリノベーションしたホテル。玄関の扉を開けて一歩中へ入ると、館内の空間の隅々を地元の職人たちが手がけた家具やふすま、のれんなどが彩り、手仕事のぬくもりを身近に感じられます。

 建物は、解体時に出てきた梁(はり)や柱など、いまでは手に入らない貴重な建材を再利用。また、古いタイルや木組みの穴、漆喰(しっくい)の下地などをデザインに取り込むことで、かつての匠のワザや知恵を目の当たりにすることができます。

「Showcase Hotel KASANE」はまさに、過去と現代の職人によるコラボ作品といえる存在であり、彼らの手仕事に触れられるショーケースでもあるのです。

 そんな施設を運営するSUKIMONO(数寄者)の宿部担当・稲積清子さんは、「Showcase Hotel KASANE」の魅力を次のように話します。

「歴史ある温泉街を盛り上げようと“てしごとの、そばで。”をコンセプトに『Showcase Hotel KASANE』は誕生しました。日本の古きよき伝統文化や職人のワザ、島根に息づく数々の手仕事を見て、触れて、感じていただき、皆さまの日々の暮らしの彩りになるようなものを見つけてお持ち帰りいただけたらうれしく思います。“KASANE”の名のとおり、滞在のひとときに時間、体験、思いを重ね、心のままにごゆっくりお寛ぎくださいませ」

 SUKIMONOはこれまで、主に建築デザインや家具デザイン、生活雑貨やファブリックの製作と販売をおこなってきました。そして今回、地元である島根県江津市による有福温泉の再開発計画に参画。「Showcase Hotel KASANE」の開業に至ったといいます。

●地元の人たちと触れ合えるチャンスも

「Showcase Hotel KASANE」の内外装や家具、ファブリックなどは、いずれもSUKIMONOと地元・島根のつくり手たちが手がけたもの。5室ある客室はいずれも、木のぬくもりを活かしたつくり手の息づかいの感じられる雰囲気です。

 もっとも広いスイートルームのひとつである「直線」は、ダブルサイズのベッドとキングサイズのソファベッドをひとつずつ用意し、さらにふとんをふたつ敷ける畳スペースを確保。室内にはバスタブも用意され、最大6名がゆったり過ごせます。そのほかの4室は、1〜2名での滞在に適した部屋から、4〜5名で過ごせる部屋が用意されます。

 宿泊プランは、近隣の洋食レストラン「有福ビアンコ」のコース料理がセットになったものや、食材を用意して客室のキッチンで料理を楽しめるタイプも用意されます。

 すべての宿泊プランには、徒歩圏内にある3つの外湯(共同浴場)を利用できる無料券がついています。有福温泉は無職透明な単純アルカリ泉で、美人の湯といわれる名湯。共同浴場を利用すれば、地元の人と触れ合える貴重な体験もできるかもしれません。

●施設概要
・施設名:Showcase Hotel KASANE
・定員:1室最大6名
・客室:5室
・駐車場:5台
・宿泊料金/2名1室利用時(消費税込):1万8700円〜(スタンダードルーム/1名/1泊2食 連泊日数、宿泊人数、シーズンにより変動あり)