日本の道にちょうどいいボディに実用的なパッケージングを内包したジープ新型「コマンダー」を横浜で試乗しました。日本仕様としてはジープ初となるディーゼルエンジンと3列シートの組み合わせにより、日本でもヒットを記録しそうです。

人気車の穴を埋める役割を担う新生「コマンダー」

 日本上陸を果たしたばかりのジープ「コマンダー」に試乗した。

 全長4770mm、全幅1860mmという大きすぎないボディサイズに3列シートを内包した実用的なパッケージング、そして、日本市場向けとしてはジープブランド初となるディーゼルエンジンの搭載が、このモデルのハイライトとなるだろう。

 コマンダーという車名を聞くと、なつかしさを覚える人がいるかもしれない。ジープにはかつて同名のモデルがあり、2006年から2009年にかけて日本でも販売されていた。また、2018年から2022年まで、中国市場向けにもコマンダーという名のモデルが生産されていた。

 しかし、日本でジープブランドを展開するステランティスジャパンは「新生コマンダーはそれらとの関連性はない」という。かつて日本で売られていたコマンダーは、全長4795mm、全幅1900mmと新型より少々大きく、パワーユニットも3.7リッターV6や5.7リッターV8という大排気量エンジンを縦置きに搭載していた。

 一方、新生コマンダーは、2リッター4気筒ディーゼルを横置きに搭載。これらの車体構成を見ても、新型は全くポジショニングが異なるSUVであることがわかる。とはいえ、3列シートを内包するパッケージングは新旧共通。このポイントこそが、時代を超えて受け継がれるコマンダーの個性と考えればわかりやすい。

 そんな新生コマンダーについて、ステランティスジャパンは「『チェロキー』の穴を埋めるモデル」だと説明する。実際、日本でよく知られたチェロキーの現行モデルは、すでに日本市場向けは販売休止に。本国のホームページを見ても、他のモデルが2023年仕様を紹介しているのに対し、チェロキーは2022年仕様までしか紹介されていない。おそらくチェロキーは、このままフェードアウトしていくのだろう。そう考えると、日本市場では新生コマンダーがその穴を埋めるという説明は納得がいく。

 一方、新生コマンダーとチェロキーの間には、シートレイアウトに明確な違いがある。2列シートだったチェロキーに対し、新生コマンダーは3列シートで、その分、実用性や利便性が高まっている。

 コマンダーの日本仕様は基本的に1グレードで、「リミテッド」と呼ぶベースグレードに、パールコート塗装仕様、サンルーフ仕様、そしてパールコート塗装&サンルーフ仕様が用意される。

インテリアはラグジュアリーな仕立て

 そんな新生コマンダーに触れてみて実感したのは、このモデルはジープブランドの象徴である「ラングラー」のように野性味あふれる仕立てではなく、上級SUVである「グランドチェロキー」のような高級ラインに属しているということだ。

経済性に優れる上に力強いディーゼルエンジンに3列シートを備えたキャビン、そして高級感あふれる仕立てのインテリアと、売れる要素が盛りだくさんのジープ「コマンダー」

 実際、四角いヘッドライトとメッキで囲んだ“7スロットグリル”を組み合わせたコマンダーのフロントマスクは、グランドチェロキーから継承したもの。コマンダーは全グレードを4WDとするなど、他ブランドのSUVに比べて悪路走破性を高めてはいるが、それについても道なき道を走るための機構ではなく、あくまで上級SUVらしい余裕をねらってのものだ。

 それもあってか、コマンダーのインテリアはラグジュアリーな仕立てだ。レザーシートを標準装備するのに加え、クロームのアクセントで上質感を高めたダッシュボードなど、あくまで都会的な仕上げとなっている。ラングラーのようにワイルドな仕立てではないため、ジープらしくないと感じる人もいるかもしれないが、上級SUVという位置づけとしてはコレが正解。それにしても、ここ5年ほどでジープ各車のインテリアは、上質感が大きくアップしていることに驚かされる。

 気になるサードシートの居住性は、大人2名が座ってロングドライブに出かけることなどは避けたいレベルだが、かといって、座るのに困るほど狭いわけではない。“体育座り”のような着座姿勢にならないのがコマンダーのサードシートの美点であり、大人1名なら足を斜めにして座ると姿勢が楽になるため、長距離・長時間も対応できそうな印象だ。

 2リッターの4気筒ディーゼルターボエンジンは、昨今のユニットとしてはサウンドの面でディーゼルらしさを感じさせるもの。170psという最高出力、1750〜2500回転で発生する350Nmという最大トルクは動力性能的には十分で、アクセルペダルを深く踏み込まなくても周囲をリードできるだけの加速力を発揮する。その上、コストの安い軽油を燃料とするため、ロングドライブなどでは優れた経済性も実感できる。

 そんなコマンダーの魅力は、サードシートの背もたれを畳んだ状態だと筆者は思う。サードシートを設置できるほどキャビンは前後方向に長く、サードシート畳めば奥行き約1.1mにも及ぶ広いラゲッジスペースを確保できる。キャンプやウインタースポーツなど、たくさんの荷物を積んでアクティブに遊びたい人にとって、この荷室の広さは大きな魅力となりそうだ。

* * *

 このところ、ミドルクラスの3列シートSUVの人気が上昇中だ。その代表格といえば、日本車ではマツダ「CX-8」、輸入車ではメルセデス・ベンツ「GLB」といったところだが、新生コマンダーもそこに割って入りそうな気がする。何しろジープは、日本市場において大成功している輸入車ブランドのひとつであり、今、日本において絶大なブランド力を持っているからだ。

●Jeep Commander Limited
ジープ コマンダー リミテッド
・車両価格(消費税込):597万円
・全長:4770mm
・全幅:1860mm
・全高:1730mm
・ホイールベース:2780mm
・車両重量:1870kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・排気量:1956cc
・変速機:9速AT
・最高出力:170ps/3750rpm
・最大トルク:350Nm/1750〜2500rpm
・駆動方式:4WD
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)235/55R18、(後)235/55R18