2020年に施行された妨害運転罪であおり運転に対する罰則強化がされました。あおり運転自体は減っているようですが、逆にわざと低速で走行して、あおり運転を受けているシーンを動画サイトなどにアップする「あおられ屋」の存在も指摘されています。そんなあおられ屋に遭遇してしまった場合、どうすればいいのでしょうか。

追越車線をゆっくり走るなど、わざと後続車がイライラする運転をする「あおられ屋」

 2020年6月、“あおり運転”に対し厳しい罰則を与える「妨害運転罪」が公布、施行されました。

 しかしそれから2年経った現在でも、テレビではたびたび「あおり運転を受けた」というレポートが放映されています。またインターネットの動画サイトへも、同様の動画が数多く投稿されています。

 ただ、そうした動画のなかで気になるのは、ドライブレコーダーが記録した映像から「あおり運転を受けているシーン」だけを切り取ったのではないか?と思われるものが散見されることです。

 もちろん、テレビでは進行の関係から「重要なところだけ」をクローズアップして放映することもあるでしょう。しかしそうした時間の制限が厳しくない動画サイトでも、いきなり「あおられている」ところからはじまる動画があるのです。

 もし投稿者があおり運転に対して「危険な行為」と考え、社会的な啓蒙を促したいという意図で動画を投稿しているのであれば、たとえば車線変更や合流など、そのあおり運転のきっかけになったと思われる行動がわかるシーンも含めた動画を投稿すべきであるのがあるべき姿でしょう。

 そうではない場合、つまり「あおられた」という行為のみを切り取った動画の投稿については、センセーショナルな動画で話題になりたい、さらにはその動画がバズって再生数を稼ぎたいという思惑があると勘ぐられても仕方がないのではないでしょうか。

 動画サイトでは、再生数に応じ広告がより多くの利用者に向けて表示されるため、再生数が増えれば増えるほど、最終的には投稿主の収入増につながります。つまりそうした動機で「わざとあおられる動画」を投稿する人がいる可能性は少なくないのです。

 実際に動画サイトを検索すると、追い越し車線をゆっくり走るなど、わざと後続車がイライラするような運転をおこない、あおり運転を“誘っている”というように見受けられる動画がいくつも確認できます。

 そうしたドライバー、いわゆる「あおられ屋」は、一般道では片側一車線の道路をゆっくり走る、二車線の道路では遅く走る左車線のクルマと同じような速度で並び右車線を塞ぎ、追い越しを妨げるように走ります。

 また高速道路では、制限速度を下回るような速度で追越車線を走り続けます。

 もちろんこれは道路交通法第二十七条(他の車両に追いつかれた車両の義務)や、第二十条(車両通行帯)に違反する行為です。しかしその場にパトカーがいるような場合でなければ摘発は困難でしょう。

「あおられ屋」に遭遇したらどうすればいい? 警視庁に聞いてみた

 ではそうした「わざとあおられる悪質なドライバー=あおられ屋」に遭遇したら、どうすればいいのでしょうか。

高速道路を走行していると知らずに車間距離が縮まっているため、注意して運転したい

 そうしたドライバーに出会ったときは、まずカッとならないことが最重要です。

 相手はこちらが速度を上げて車間を詰め、あおり運転ととられかねない行動に出ることを狙っています。そのためこちらが速度を落とすと同様に速度を落とすなどして、離れようとはしないはずです。

 もっとも有効な手段は、ロードサイドにあるコンビニなどにいったん入り、相手との距離をとることです。もし同乗者がいれば、スマホの地図アプリなどで検索してもらい、別ルートを選ぶという手もあるでしょう。

 では高速道路ではどう対処すべきでしょうか。

 この場合もSAやPAに入り、休憩することが考えられます。ただ基本的に分岐の少ない高速道路では、5分ほど休憩しても、すぐに同じクルマに追いつくという可能性があります。

 ではこうした状況では、あくまでそのクルマの後方でじっとガマンしなければならないのでしょうか。

 警視庁は、あくまで管轄である東京都内の高速道路であることを前提に、以下のように解説します。

「高速道路の追越し車線を60km/hなど低速で走る先行車に追いついた場合でも、その車両が急停止したときにおいても、これに追突することを避けるため必要な車間を保って走行しなければなりません。車線変更して左側から追い抜くことは、左側を通行しはじめた時点で違反になることから、抜いたあとに追越し車線に戻る、戻らないを問わず、『追越しの方法違反』となります」

 もちろん、追越し車線をずっと走りづける行為そのものは、前述のように道交法違反となります。

 しかしついイライラして「あおられ屋」を左から抜くと、道路交通法第二十八条(追越しの方法)の違反として、自分が摘発される可能性があるのです。

 では自分が走行車線を走っているとき、追越し車線に極端な低速車が現れ、そのまま左から抜き去る場合はどうなのでしょう。

「進路を変更せず、追越し車線の車両を追い抜く場合は、追越しの方法違反にはあたりません」

 高速道路で走行車線を走行中、前方の追越し車線に遅いクルマを見つけたら、車線変更して後方に付くことなく、走行車線をそのまま走って抜き去るのが正解と言えそうです。