BMW「7シリーズ」はBMWのフラッグシップセダンです。今回登場したそんな7代目新型7シリーズはどんなモデルになったのでしょうか。BEVの「i7」を中心に米国で試乗しました。

まずは新型「7シリーズ」の後席を味わってみる

 7世代目になる新型BMW「7シリーズ」にアメリカで試乗しました。そのファーストインプレッションをお伝えします。

 開発コードE23と呼ばれる初代は1977年にデビュー、2世代目はE32で1986年、3世代目はE38で1994年、4世代目はE65、E66で2001年、5世代目のF01、F02は2008年、6世代目のG11、G12は2015年、そして今回登場した7世代目のG70が2022年と、ほぼ7年ごとに新しくなってきました。

 それぞれの世代において強いインパクトを残して来ましたが、今度の7シリーズはどんな特徴があるのでしょうか。

 一番のトピックスはラインナップにBEVが加わったことでしょう。つまり100%電気自動車です。

 BEVの7シリーズの名称は「i7」です。BMWの電動化を意味するサブブランドのiが最初についてます。試乗したのはi7 xDrive60です。

 これまであったホイールベースの違いによるふたつのボディではなく、ひとつのボディに統一されました。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも用意されています。2023年春にはプラグインハイブリッドも追加されます。これらをすべて開発コードはG70と呼びます。

 まずは後席で乗り味を試しました。

 新型7シリーズは、6世代目のロングホイールベースのG12より5mm長い3215mmのホイールベースを持っています。

 簡単にいえば、新型7シリーズは標準ボディを廃止し、ロングホイールベース版の1ボディになったということです。助手席を前に追いやって42度まで傾くリクライニングを倒しレッグレストを出せば、のびのびとくつろぐことができます。これはエグゼクティブ・ラウンジシートと呼ぶもので受注生産のオプションです。

 ホイールベースが長くなっても四輪操舵システムの4WSが付くので、高速安定性と小回り性は全車に共通のスペックです。

 後席はすこぶる快適でした。ホイールベースが長いことでゆったりとした揺れになり、フロア下にはアルミフレームで囲ったリチウムイオン電池が格納されているので、桁違いにフロア剛性が高くなり微振動を微塵も感じさせないボディに仕上がっていました。

 それに加えて、ドライバーがいくらアクセルを踏もうと静かなままの電気モーターは格別な快適さでした。

BMW新型「7シリーズ」の後席

 後席でも筆者が飽きずに乗っていられたのは、ドアに収納された5.5インチのタッチスクリーンがあったからです。シート、エアコン、ブラインド、ライトなどの調整だけでなく、電話やTVも可能です。

 ボタンひとつでドアの開閉もできます。これは車外からも運転席からも中央のモニター画面で4枚のドアを電気モーターで開閉が可能なのです。外に障害物があればセンサーによりドアはその手前で止まります。

 さらに映画を見るには最適な、BMWシアタースクリーン(オプション)が圧巻でした。

 31.3インチのスクリーンはドライバーからルームミラーを奪ってしまいますが、細密な画像とドアに内蔵された高性能なスピーカーが車内を極上のシアターに変えてくれます。

BEVの「i7」から感じられるBMW流の「駆けぬける歓び」

 次にドライバー席を体験しました。
 
 ここで驚いたのは、ハンドル操作に非常に素直に反応してくれることでした。直進のニュートラル感は遊びがなく、よく締まっていて微小舵角から正確に反応してくれます。

BMW新型「i7」の走り

 コーナーに差し掛かっても直進からのブレーキング、ハンドルを切ってコーナリング、アクセルを踏み込んで立ち上がるという一連の操作に対してとてもスムースに反応してくれました。応答遅れはなく、ロールも小さく気がつかないほどです。

 車両重量は決して軽いほうではないのに、それを感じることなく、これほどまでにドライバーの指示に素直に反応してくれるのに驚きました。

 これもフロア下にアルミで格納されたリチウムイオンバッテリーをレイアウトしていることが効果を発揮しているようです。フロアの剛性アップが乗り心地とハンドリング性能に絶大なる影響を与えているのです。

 4WSは高速での安定性向上と駐車時の小回り性に貢献しますが、欠点としては浮遊感を感じる走行フィールがありました。

 今回もそれをチェックしようと乗ったのですが、4WSだということを感じさせない味付けになっていました。エンジニアは4WSのふらつきがないようにセッティングしたと証言していました。恐らく小舵角での後輪ステアは封印したのではないかと思われます。

 BMWの「駆けぬける歓び」はBEVのi7でもビシビシと感じられます。

 新型7シリーズのバリエーションには直列6気筒、V型8気筒のエンジンを搭載したモデルも用意されています。直列6気筒のディーゼルもあります。日本で発売されるのは、i7の他に直列6気筒のガソリン(740i)とディーゼル(740d)もあります。

BMW新型「7シリーズ」のインテリア

 今回試乗したもう1台は、日本には導入予定のないV8エンジンを搭載したBMW760i xDriveでした。

 ツートーンカラーに塗り分けられたボディを見ると、ロールス ロイスを思い出させます。それは長く伸びたボンネットがストンと切り落とされたシルエットが凄く似ているからです。この風格あるシルエットにより、新型7シリーズの格が黙っていても上がる気がします。

 BEVのi7に乗ったあとにICE(内燃機関)の760iに乗ると、ハンドル中央付近の小さな遊びやコーナーに入ったときの緩やかなロールが感じられ、いかにi7が良くできているのかを改めて感じることになります。

 恐らく最初から760iに乗っていれば、静かで洗練されていて乗りやすいクルマだと感じたはずなのですが、あまりにもよくできたi7に先に乗ったことで評価基準を厳しくしてしまいました。

 BEVが嫌いな人でもi7に乗ると、BEVを買おうかという気にさせる出来の良さだからです。