フェラーリ初のSUV「プロサングエ」が、ついに日本でも発表されました。類を見ないほどの注目を集める、12気筒エンジンを搭載した“4ドア・フェラーリ”のポジショニングや今後を考察します。

類を見ないほどの注目を集めるフェラーリ初の4ドアモデル

 先ごろ京都にある世界遺産・仁和寺にて、フェラーリ「プロサングエ」のジャパンプレミアがおこなわれた。

 2022年9月にイタリアのトスカーナでワールドプレミアがおこなわれて以来、ハイパフォーマンスカー界では“プロサングエ旋風”が吹き荒れている。類を見ないほどの高い注目がプロサングエに集まっているのだ。

 フェラーリのコアな顧客にとっては、自分へのデリバリーがいつになるのか、その順番も大いに気になるところであろう。皆が注目を集めるフェラーリ初の4ドアモデルを、誰よりも早く手に入れたいと熱望しているのだ。

 フェラーリの限定モデルは、発表とともにソールドアウトがアナウンスされるのが常だ。つまり、事前にそのモデルの概要が優良顧客にだけアナウンスされ、公式発表前にすでに商談は終わっている。優良顧客と見なされることを期待しながら、多くのフェラーリオーナーはせっせとカタログモデルを買い続けるのだ。

 プロサングエは限定モデルではないが、この手法で事前営業が進んでいた。プロサングエという名前しか知らされない状況で、顧客は何がしかの手付金を支払い、発注をしなければならなかったのだ。スタイルもスペックも価格も不明なクルマを発注するのは、普通に考えればリスキーではある。しかし、ここで発注しないことには納期が遅くなるどころが、発注そのものすら打ち切られるかもしれない。優良顧客として“声がけ”された顧客の多くは喜んで発注したはずだ。

 プロサングエのジャパンプレミアがおこなわれたのは、京都にある世界遺産の仁和寺だった。日本全国からプロサングエを発注したであろう優良顧客が集まり、おごそかな演出の下にプロサングエの実車が登場した。

 フェラーリジャパンのCEO(最高経営責任者)であるフェデリコ・パストレッリは「フェラーリを愛するファミリーとこの喜びを共有するべく、この場を設けました」と語った。そう、プロサングエは基本的に、フェラーリの顧客層の幅を広げるために企画されたニューモデルではない。あくまで優良顧客からの強い要望に基づいて開発されたというのがメインのスタンスだ。

 他ブランドのSUV(フェラーリはプロサングエを決してSUVとは称さないが)は量産を基本とし、既存のカスタマー以上に新たな顧客層獲得に重点を置いているのとは対照的だ。そのため、前述した敷居の高いセールス手法をとり、希少性を追求する。だから生産台数も「フェラーリ全モデルの年間生産台数の20%を超えるものではない」と宣言されている。

●4人で共有できるドライビングプレジャーはまさしくフェラーリ

 プロサングエは、フェラーリの市販モデルとして初めて4ドアが採用された。しかし“ウェルカムドア”と称する観音開きスタイルによって、リアドアの存在感は限りなく小さい。

 加えて、ロングノーズに搭載されたV12エンジン、トランスアクスルレイアウトの採用など、スペース効率を重視する普通のSUVとは全く異なるアプローチが採用されている。

 ライバルと比べて5cmほど低いルーフを持つプロサングエはてスタイリッシュで、ユニークなテイストで魅せてくれるのは間違いない。前出のパストレッリは「プロサングエのドライビングポジションは、あなた方が楽しんでおられるフェラーリのスポーツモデルと同じです。エモーショナルなドライビングを妥協なしに、どんな状況でも楽しむことができます」と強調する。

 ワールドプレミアに際し、フェラーリのマーケティング部門と販売部門を率いるエンリコ・ガリエラは「新開発のアクティブサスペンションの存在があって初めて、プロサングエの企画が承認することができた」と語っている。スポーツカーとしてのエモーショナルなドライビングプレジャーを最大4名で共有し、そこには十分な快適性も備わっているというのがポイントである。

 フェラーリの業績はきわめて好調だ。2021年を通して、前年比23%増となるおよそ48億ドルの売上高を達成した。年間販売台数も過去最高の1万1155台を記録しており、前年比22%増。さらに2022年9月期までの実績も上々だ。今のところフェラーリは、その希少性を保つという基本戦略から年間1万台前後という販売規模をキープするとしている。

 プロサングエはフェラーリにとって大きな収益の柱となることは間違いない。年間で最大2000台程度の生産にとどめるということから、生産施設への大規模投資もおこなわれてはいない。既存のV12モデルの組み立てラインを利用し、大量のバックオーダーをさばいていくのだ。

 ちなみに日本マーケットでの販売価格は4760万円(消費税込)。もちろんこれはベースモデルのものであり、実際には相当な金額のオプションが加わるのだが……。