2035年までに10車種以上の電動バイクを市場投入すると発表しているホンダから、その第1弾モデルがついに発表されました。「EM1 e:」と名づけられた同モデルは、ヨーロッパから販売がスタートする予定。日本国内での販売も期待される1台です。
交換式バッテリーで電動バイクの課題を克服!?
期待のニューバイクが多数出展されたEICMA(国際モーターサイクルショー)2022において、ホンダが新しい電動バイク「EM1 e:(イーエムワン イー)」を発表しました。
ホンダは2035年までに10車種以上の電動バイクを発売するとアナウンスしていますが、「EM1 e:」はその第1弾であり、ホンダが欧州で初めて販売する電動バイクとなります。
現時点では「EM1 e:」の詳細なスペックは明らかにされていませんが、原付一種(排気量50cc以下)に該当するモデルだといいます。最高速度は45km/h、1回の充電で走れる航続距離は40km以上とのこと。また、フラットなフロアを採用している点は、ヨーロッパ市場向けのスクーターらしいデザインといえます。
そんな「EM1 e:」で特徴的なのは、バッテリーにホンダが手がける交換式バッテリー“Honda Mobile Power Pack e:”を採用していることでしょう。
これは、車体から取り外して室内に持ち込んでの充電が可能な仕組みで、ステーションで充電済みのバッテリーと交換することで充電時間を待つことなく走り続けられるなど、数々のメリットが期待されます。
●将来的にはホンダのバッテリーで他社のバイクが走る!?
「ホンダは、この交換式バッテリーの充電ステーション整備を積極的に進めるようです」と話すのは、2輪車や電動モビリティについて継続的に取材しているライターの増谷茂樹さん。
「交換式バッテリーは、スクーター大国の台湾などで普及しているシステムです。他メーカーとの規格の共通化もホンダは視野に入れているようで、日本国内の4メーカーによるコンソーシアムも設立されています。将来的にはホンダのバッテリーで他社のバイクが走る、ということもあるかもしれません」(増谷さん)
電動モビリティの普及におけるハードルのひとつが充電時間といわれていますが、交換式バッテリーステーションが普及すれば、そうした障壁は解消します。クルマでは試みられたものの普及はしなかったバッテリー交換式というシステムを採用することで、充電時間をなくすというソリューションがバイクの世界では実用化しそうです。
日本国内での発売時期や販売形態などは発表されていませんが、これまでホンダが国内で販売してきた電動バイクはリース販売や法人・自治体向けがメインで、個人では購入できないものがほとんどでした。
ただし、ホンダは2035年までに10車種以上の電動バイクを市販すると発表していますので、そろそろ個人向けのモデルもリリースしたいはず。もしかすると「EM1 e:」が、その第1号モデルとなるかもしれません。