火を囲み、眺め“何もしないをする”贅沢な外遊びとして大注目の焚き火。火つけから撤収まで、知っていそうで意外と知らない安全・快適な焚き火成功のコツを達人に聞きました。

●焚き火は心静かに野外を堪能できるアクティビティ

 ポスト・コロナのコミュニケーションとしても注目される焚き火。一歩まちがえば怪我や火事になりかねない火を扱うだけに、基本はしっかりと押さえておきたいもの。そこで、簡単で安全に楽しめる上手な焚き火の始め方を、東京屈指の焚き火スポットである「若洲アウトドアセンター」のマネージャー・金丸隼士さんに聞きました。

「焚き火台の設置場所を決めるのが焚き火の第一歩です」と話す金丸さん。「枯れ草や落ち葉、樹木のほか、テントやタープなど燃え移りやすいものがないか必ず確認し、風が強すぎる場合は着火を見合わせる勇気も必要です」とのこと。

●最初の難関“火つけ”を制するものが焚き火を制する

 場所が決まったら、焚き火台の下に防炎マットを敷き着火の準備をします。火つけには着火剤を使用しますが、火をつける前に細めの薪を漢字の「井」の形にして着火剤の上に乗せ、徐々に大きな薪を組んでいきます。

「大切なのは、下から上へと空気が流れるよう、適度に隙間を空けながら薪を組むこと。着火剤の小さな火が徐々に大きく成長するようイメージするといいですね。崩れないように組めたら、火口の長いライターなどで着火剤に火をつけます。急に炎が上がってくることもあるので、横方向から差し込むのがコツです」(金丸さん)

 着火剤の点火を確認したら、触らずに様子を見ます。焚きつけの細い木に炎が移れば勝ったも同然。薪の隙間に炎の通り道ができているので、黙っていても燃え広がります。

揺れる炎を見つめるだけで、なぜか心が落ち着きます(写真の焚き火台はsherry'sの「焚き火台 B-1」(消費税込み2万2000円)

 火つけさえクリアすれば、あとは適宜薪を足しながらゆったりと炎を愛でましょう。薪は一度に何本もくべるのでなく、炎の様子を見ながら一本ずつ足していきます。

●灰の後始末をするまでが焚き火です

 焚き火で忘れてはいけないのが火の始末。消火までしっかり面倒をみましょう。薪が燃え尽きると同時に終わるのが理想ですが、燃え残りがある場合は空気を遮断する「炭壺(すみつぼ)」に入れて完全に火を消します。「水を掛けると高熱の水蒸気と灰が飛び散る恐れがあり危険なのでNGです」(金丸さん)

「焚き火を囲みゆったりした時間を過ごすと、相手との心の距離が縮まっていきます。もちろん一人で物思いにふけりながら火を育てるのも最高です」と話してくれた金丸さん。基本を守って安全な焚き火を楽しんでください。