2023年1月26日に日本で登場したアルファ ロメオの新型SUV「トナーレ」は、そのスタイリッシュなデザインや全長4530mmというサイズ感から、すでに多数の予約注文が入っているといいます。新型トナーレとはどんなクルマなのかあらためて解説するとともに、ライバルとなる輸入車SUVを紹介します。
ブランド初の電動モデルで今後PHEVも登場予定
アルファ ロメオから新型SUVが発表されました。その名は「トナーレ」。2023年2月18日より発売開始となります。
価格は基本となる「トナーレ“Ti(ティー)”」が524万円、導入記念で装備を充実化した「トナーレ“Edizione Speciale(エディツィオーネ・スペチアーレ)”」が578万円です。
アルファロメオは、もう少し大きな「ステルヴィオ」というSUVも販売していますから、トナーレはアルファ ロメオとして2台目のSUV。いわゆる弟分的な存在となります。
そしてトナーレの最大の特徴が、アルファロメオとして初のマイルドハイブリッド車であることになります。
では、もう少しトナーレについて詳しく説明していきましょう。
その寸法は全長4530mm×全幅1835mm×全高1600mmで、いわゆる輸入車コンパクトサイズSUVとなります。ステランティスグループのFF用の「スモールワイドプラットフォーム」をベースに、前後ストラットの専用サスペンションの採用やシャシー補強などが実施されています。
マイルドハイブリッドとなるパワートレインは、新開発された1.5リッターの直列4気筒直噴ターボに48Vシステムを組み合わせました。
エンジンの出力は最高160馬力・最大トルク240Nm。ハイブリッドとして、7速のデュアルクラッチトランスミッション(いわゆるDCT)の中に、48Vで駆動する最高出力15kW(20馬力)・最大トルク55Nmのモーターを配置します。
これに減速エネルギー回収の回生ブレーキとエンジン始動を兼ねるベルト・スターター・ジェネレーター、さらにはリチウムイオン電池を組み合わせます。トランスミッション内にモーターがあるため、時速15〜20㎞くらいまでは、モーターだけの走行が可能。それ以上の速度域になるとエンジンが始動して、エンジン主体で走ることになります。
ターボエンジンは最大トルクが240Nmもありますし、トランスミッションはDCTですから、アクセル操作に対するレスポンスがよく、キビキビとして走りが期待できます。それでいて、マイルドハイブリッドということで、燃費性能は16.7㎞/l(WLTCモード)という優れた燃費性能を持っているのが売りと言えるでしょう。
そして、もうひとつのトナーレの魅力が、アルファロメオの伝統を感じさせるデザインです。
ヘッドライトに採用された3連のU字型デイタイムランニングライトは、1989年に登場した往年の名車「アルファロメオSZ」から着想を得たとか。2000年代のアルファロメオのセダンたちも3連のヘッドライトを採用していました。
ブラック主体でスポーティかつダンディなインテリアの雰囲気も、過去のアルファロメオのイメージそのまま。トナーレを見ていると、随所にアルファロメオの歴史が感じることができるのです。このデザインこそ、トナーレの魅力であり、アルファロメオの魅力と言えるのではないでしょうか。
ライバル筆頭はドイツ・プレミアム3ブランドのSUV
では、そんなトナーレには、どんなライバルが存在するのでしょうか。
全長が約4.5mである「トナーレ」は、輸入車としてはコンパクトなSUVになるため、非常に多くのライバルが存在します。このクラスは、取り回しが良いということで、世界的に人気が高く、それに伴い世界中の自動車メーカーが、このクラスのSUVを投入しているのです。
そういう意味で、プラミアムブランドとなるアルファ ロメオのライバルとなるのが、「ジャーマン3」と呼ばれる、ドイツのプレミアム3ブランドがライバル筆頭です。メルセデス・ベンツ、アウディ、そしてBMW。該当するモデルはメルセデス・ベンツの「GLA」、アウディの「Q3」、BMWの「X1」となります。
メルセデス・ベンツGLAは、同ブランドの最小サイズのSUVです。といってもサイズは全長4415mm×全幅1835mm×全高1620mmで、ほぼトナーレと同じ。2014年に初代がデビューしており、現在は2020年より発売される第2世代が発売されています。

特徴は、流麗なルーフラインのクーペ的なスタイルであること。そして、最新のメルセデス・ベンツの共通の特徴であるMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)と呼ぶモダンなインフォテイメントシステムを採用していることとなります。
また、1.4リッターのガソリンターボエンジンから、2リッターのディーゼル、そしてハイパフォーマンスのAMGモデル用に最高出力310kW(421馬力)の2リッターガソリンターボまでが用意されています。駆動方式もFFだけでなく4WDを用意します。価格は556〜\万円から971万円。ラインナップが豊富なだけ、価格帯も広くなります。
アウディの全長4.5mクラスのSUVとなるのが「Q3」です。兄弟車として、よりクーペ的なルーフを持つ「Q3 Sportback(スポーツバック)」も存在します。

また、高性能版として「RS Q3」「RS Q3スポーツバック」があり、現在日本では、この4モデルが発売されています。
エンジンは、Q3とQ3スポーツバックには、1.5リッターのマイルドハイブリッドのガソリンターボと、2リッターのディーゼル。そしてRS Q3/RS Q3スポーツバックには、最高出力294kW(400馬力)の2.5リッター直列5気筒ターボエンジンが搭載されています。
1.5リッターはFFのみとなりますが、それ以外はアウディお得意のクワトロと呼ぶ4WDシステムが採用されます。価格は463万円から923万円です。
BMWで「トナーレ」のライバルと目されるのは「X1」です。

現行モデルは2015年より発売される第2世代。2019年にはマイナーチェンジ、新世代の大型化されたキドニーグリルを採用したのがトピックとなりました。
搭載するのは最高出力150kW(204馬力)の2リッターガソリンターボエンジンで、駆動方式は4WD。
“駆けぬける歓び”を謳うBMWらしい、軽快なハンドリングと、500リッターを誇る大容量のラゲッジを擁する実用性の高さを両立するのが魅力となります。価格は500万円から520万円です。
このX1はまもなく日本でフルモデルチェンジがおこなわれる予定で、その際にはBEVの「iX1」も同時に登場する予定です。
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その他にもボルボ「XC40」やレクサス「UX」など、このクラスのSUVはドイツブランドだけではなく人気のモデルが多数存在しています。
トナーレとライバルを比較すると、ライバルの多くは4WDや高出力の高性能バージョンなど、バリエーションが豊富なところが、大きな差となります。
とはいえトナーレは導入されたばかり、今後のバリエーションの拡大の可能性も大きく残ります。バリエーション拡張に期待しましょう。